神戸セーラーボーイズの芝居好きペア
が登場ーー卒業を控える塚木芭琉 x
ミュージカル経験者の津山晄士朗が語
り合う演技観

関西発の10人組ティーンエイジャー演劇ユニット・神戸セーラーボーイズ。昨年4月の結成以来、技術も心も身体もたくましく成長してきた10人。そんなメンバーの魅力を掘り下げるべくスタートした、リレー対談企画も今回で第4弾。登場するのは、3月15日(金)~17日(日)にAiiA 2.5 Theater Kobeにて行われる『神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)「Boys✕Voice 403」』をもって卒業することが発表された、高校3年生の塚木芭琉。そして普段はシャイながらステージに立つとたちまち輝きを放つ、中学3年生の津山晄士朗。お芝居が好きだと公言するふたりに、自身の演技観や、先輩からもらった言葉、これまでの1年を振り返りつつ、塚木の卒業に向けた想いも語ってもらった。
津山晄士朗、塚木芭琉
「全力でやらずに後悔するのは大っ嫌い」(津山)
ーーもう1年近く前のことになりますが、お互いの第一印象は?
津山:ハルくんはとにかくデカくて、オーラがすごくて。どーんって高くて。最初に一列で写真を撮った時、隣にハルくんがいたんですけど、もう壁みたい(笑)。だから正直ちょっと怖かった。でも8月の『Boys✕Voice 308』公演のときくらいから、どんどんハルくんの面白いところが見え始めて、そこからは「めっちゃ面白い大人」です。
ーーたしかに面倒見のいいお兄ちゃんというイメージがあります。前回インタビューした時、田中幸真くんが「まだ表に出てない塚木くんのおちゃらけたところを見せたい」と言っていました。
塚木:どうなんですかね(笑)。僕は長男なので、特にチームブルー(中学生組)には兄弟みたいに接することが多いですね。時々友達といる時のふざける自分が出ることもあるのかな。それこそ物語のメインの役どころをさせていただいた8月公演あたりで、メンバーとの関係が仕事仲間から友達に変わったので。
塚木芭琉
ーー津山くんの印象はどうでしたか?
塚木:少し話し始めてから、めっちゃ可愛い子やなと思いました。神戸セーラーボーイズではりゅうちゃん(髙橋龍ノ介)が可愛い弟キャラなんですけど、こうちゃんも負けないくらい可愛い。でも9月くらいから、熱いものを持ってる子だなと思うようになって。何でもできるので、こうちゃんがいることで全体のクオリティが上がるし、チームの土台だと感じています。根底にプロ意識を持ってるのかな。
津山:泣きそうです(うるうる)。僕は、今の仕事を頑張りたいと思ってて。皆で成功させたいし、皆で活躍したいと思ってるのが伝わったのかなと思いました。
ーーおふたりはいつ頃からお芝居を始めたのですか?
塚木:幼い頃にモデルをしていて、中学3年生の時に『第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』に応募してからお芝居を始めました。そこから常に自分なりにお芝居と向き合ってきました。
津山:僕は音楽が鳴ったらすぐ踊り出す子だったみたいで、2〜3歳の頃に親が事務所に入れてくれてからレッスンやダンスを続けてきました。今は自分の意思でお芝居をやりたくて、神戸セーラーボーイズのオーディションも受けました。
津山晄士朗
ーーお芝居のどういうところに魅力を感じますか?
津山:僕、人見知りなんです。人前で話すことがすごく苦手。でもお芝居をやりながらだと、たくさんの人の前でも表現ができる。だからお芝居が好きです。
塚木:普通に生きていたら知らない自分の一面を見られること。ちょっとイケイケな自分から、内気な自分。色んな自分に出会えるのが楽しいです。
ーー誰にでもなれるということですもんね。これまでの対談で他のメンバーから、塚木くんがお芝居のアドバイスをしてくれたというお話を聞きました。
塚木:自分もまだまだ未熟なので、他の人のお芝居に対してあまり口を挟まないようにしています。でもシーンを通して見た時に、例えば全体の流れがもうちょっと明るく、もしくは暗くなればいいなと感じたら「ちょっと、こうやってみてくれへん?」とは言いますね。こうちゃんに言うことはあまりないかもしれないです。
ーー津山くんはミュージカル『忍たま乱太郎』などの舞台にも立たれていましたが、自分なりの見せ方を意識したりしますか?
津山:まだ全然歴が浅いので、これといったものは持っていませんが、でも自分の中でセーブしたくないんです。「こんな感じにやればこう見えるかな」と小手先でお芝居をしないように、実際に役の人間になれるように。それで失敗することもいっぱいありますが、とりあえず全力でやってみることは常に心がけてますね。
先輩からもらった言葉と、柔軟な考え方
塚木芭琉、津山晄士朗
ーー11月には、著名な物語を神戸セーラーボーイズ風にアレンジする「定期公演」として、戯曲 MANKAI STAGE『A3!』(以下、エーステ)~SPRING & SUMMER 2018~の劇中劇『ロミオとジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』を上演されていました。津山くんは『Water me!』で女性のシェヘラザード役を演じていましたが、難しさはありましたか?
津山:姿勢をスッと伸ばして、腰をグッとあげて、男っぽくならないよう意識しました。エーステの映像を何回も観て、どういう雰囲気の役なのか、とにかく勉強してましたね。衣装は装飾が多かったり、お腹が出て恥ずかしかったけど、お稽古をするうちに慣れてきました。1番苦戦したのはダンスです。個性をどう見せるか、細い腕でどうやったらダンスを大きく見せられるかを模索していました。
ーー演出は、キャストとしてエーステに長年関わってきた古谷大和さんが手掛けられていました。
津山:古谷さんが全体に向けて言ってくださった言葉で、「とにかく全力でやって、失敗したなら直せばいい」という、全力で演じる心構えを教わりました。今までもそういう気持ちだったんですけど、もっと想いが強くなりました。
ーー塚木くんは『ロミオとジュリアス』のジュリアス役で殺陣をされていましたね。
塚木:初めて殺陣に挑戦しました! 一手一手の型がつけられているのでダンスみたいな印象を受けたんですけど、剣を振ることが非現実的すぎて、動きと気持ちを繋げるのが難しかったです。普段、剣を持って人に襲いかかることはないじゃないですか。でもお客さんの目に「剣を振って人を斬ろうとしてる人のモノマネ」に映りたくない。必死なんですけど、自分の中で必死感があるのが嫌なんです。
ーー原作のある「定期公演」と、等身大の自分たちを投影した「SF(セミフィクション)公演」では入り込み方も違うと思います。
塚木:SFは自分を元に台本を書いてくださってるので、役に関してあまり困ることはありません。SFはとにかく自分らしく。神戸セラボでは年上組で、台本も「皆のお兄さん」ポジションで書いてくださることが多いので、応えたいですね。あと8月公演のゲストの神里優希さんには、個人的に相談させてもらって。「自由にやってみる、とらわれない」と、お芝居に対する柔軟な考えを教えてくださいました。
ーーすごくニコニコして話を聞いておられましたが、津山くんがお芝居する上で大事にしていることはありますか?
津山:僕もハルくんと似ていて、手は抜きたくない。全力でやって失敗するなら後悔もないんですけど、全力でやらずに後悔するのは大っ嫌い。とにかく全力で、自分のできるところまで出し切ることを心がけています。
初代・神戸セーラーボーイズとして、これからも戦っていきたい(塚木)
塚木芭琉、津山晄士朗
ーー3月公演で塚木くんが卒業ということで寂しいですが、新しい門出ですね。卒業を決めた理由は?
塚木:神戸セーラーボーイズは色んなステージに立たせていただける、色んな経験やお稽古をさせてもらえる場所。ここに居るのはすごく贅沢なことなので、10年でも20年でも、居ていいなら全然居たいと思う自分もいます。だけど初めに憧れた、好きなお芝居がずっと自分の中にあって。ちょっとわがままなんですけど、後悔しないために、ここで積んだことを活かして、この先どれだけ通用するか試したいです。
ーー挑戦をするため、役者としての道を精一杯進むために。
塚木:前回の『Boys✕Voice 312』でゲスト出演されていた、山田ジェームス武さんと川上将大さんも「まだまだ若いんだから、やりたいことをやりなさい」と言ってくださってたんです。僕もメンバーの皆も、それぞれ将来について不安なことがあると思うんですけど、実際にこの世界で先を走っている先輩方からそう言っていただけて、ちょっと安心しました。今後僕が役者として何かしら活躍できれば、神戸セラボにも貢献できるかもしれません。そういう意味では初代・神戸セーラーボーイズとして、これからも戦っていきたいと思ってます。
ーーセーラーボーイズでの1年間は、どんな1年でしたか?
塚木:本当に一瞬でした。目まぐるしく、10人で全力で取り組んできたのであっという間で、めちゃめちゃ濃かった。でもこんなに感謝が詰まった1年は初めてです。ファンの方もメンバーもスタッフさんも、全てにおいて、してもらうことばかりだなと。早く恩返しがしたいです。
ーーそう思えるのは素晴らしいことです。津山くんは、劇中で塚木くんのことを気にかけるシーンもありましたが、卒業のお話を聞いた時はどう思いましたか?
津山:寂しいという気持ちはあったんですけど、これからハルくんが将来色んなところで活躍して、テレビに出たりしてる姿を見たいです。行ってほしくないとか寂しいとかよりも「頑張ってほしい」が強かったです。
ーーでは、おふたりが1年で自分が成長したなと思うところは?
塚木:経験しないと身につかないものがあるというのは、この1年間で実感しました。公演だけじゃなくイベントにも出させていただいたり、ラジオや取材など、今の段階でこれだけ経験できることは、なかなかないと思うんですよ。他のオーディションや現場でも、ここでの1年間がすごく後押ししてくれる。「神戸セーラーボーイズでこれだけやったんだから、ここでもできるでしょ」みたいな安心感すらあります。
津山:ライブパートで、例えば「撃って」みたいなメッセージが入ったうちわを持ってくれていたら、撃つ真似をしてみたり。そうやってお客さんと接するうちに、楽しくて色んな人と関わりたいと思うようになってきました。まだちょっと人見知りですけど、少し自信もついてきました。
ーーそんな1年の集大成は、3月にSF公演『Boys✕Voice 403』で観られそうです。
塚木:お稽古も始まっていて、自分が言うのもあれなんですけど、ほんとに皆上手になっています。
ーーゲストに大見拓土さんが出演、前回公演『Boys✕Voice 312』で振付されていた後藤健流さんは、『Boys✕Voice 403』で演出・振付を担当されますね。
津山:大見さんは、面白い方。言葉選びだとか、何でそんなに盛り上げられるのかというのはすぐ聞きたいです。僕はトークが苦手なので、トークのコツや心がけると良いものを聞けたらいいなと思います。
塚木:「大見さんといえばこう!」という雰囲気を持たれているので、どうすれば自分の個性を出し続けられるんだろうと気になっています。役者としても、人としてもすごく魅力的な方です。
津山:後藤さんは、たまに公演とは関係なくダンスの指導をしてくれるんです。僕たちのことをちゃんと見てくれて、1人1人的確にアドバイスをくださいます。後藤さんのおかげで自分は上達したと思っています。
リレー対談企画、最終回は中川月碧&細見奏仁ペア
塚木芭琉、津山晄士朗
ーー次のリレー対談企画は、中川月碧(るきあ)くんと細見奏仁(かなと)くんです。
塚木:かなてぃ(細見)こそが1番中学生らしい。めっちゃしっかりしてるし、大人っぽいんですけど、ふとした時に中学生らしさが見える。僕も中3の弟がいるので、らしいところが出るなと感じてます。そういう意味では、こうちゃんとちょっと似てるところはあるのかな。可愛らしさもありますね。
津山:奏仁とは仲が良いです。事務所が同じで、神戸セラボに入る前も一緒にレッスンを受けたり、遊びに行ったりしてて。色んなところで尊敬してる部分があります。奏仁は何でもできるので、一緒に頑張っていきたいなと思っています。るきあくんは、ダンスめっちゃ好きで。第一印象は「ダンスめっちゃうまい」。今はリーダーをしてくれてるので、ハルくんみたいに頼りになる存在です。
塚木:僕は神戸セーラーボーイズに入る1年前ぐらいに、るきあと初めて会っているんです。るきあは彼にしか持ってないクールな雰囲気があるので、最初はめちゃめちゃ怖くて。今でも大人っぽい時もあるんですけど、10人でオフな空気感でいる時は、「こんな子やったんや」と高校生らしさを感じさせられて、可愛いところもあります。
ーー最後に、公演以外でも様々なイベントに出演されていますが、2月23日(金・祝)には神戸ロフトにて開催される『神戸タータンまつり』で特典お渡しイベントがありますね。来場される方にメッセージをお願いします。
津山:イベントに僕が出るのは結構久しぶりです。劇場以外で皆さんと会える機会だと思うので、楽しんでいただけるよう、いつも通り全力で取り組みたいなと思います。
塚木:神戸セーラーボーイズとしてファンの方の前に立てる回数がどんどん少なくなっています。何かしらを届けられるよう、1回1回を大事にしていきます。
互いを見合って描いた似顔絵とともに!
終始穏やかに、丁寧に言葉を選びながらインタビューに応えてくれた塚木と津山。話を聞いていると、根底に流れる情熱や意識は似ているのかもしれないと感じることができた。お互いの似顔絵を描く時も、納得がいくまで描き直したり、こだわりと個性が表れていた。
塚木芭琉 522
そしてSPICE編集部からは、卒業する塚木へひと足早く花束を贈呈。神戸セラボでの残りの時間を思い切り楽しんで、次なる一歩を力強く踏み出してほしい。編集部はこれからも応援している。
塚木芭琉、津山晄士朗
次回で最終回となるリレー対談は、中川月碧&細見奏仁ペア。神戸セーラーボーイズは3月15日(金)〜17日(日)まで、AiiA 2.5 Theater Kobeにて神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)『Boys✕Voice 403』を上演する。ゲストには大見拓土が登場。塚木の最後の勇姿を見届けてほしい。
取材・文=久保田瑛理 撮影=福家信哉

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