7つの指標から見る音楽チャートって
?アーティスト・レーベル活動の指標
にも。【前編】

そんな中「音楽のランキングはどうなるのか」という素朴な疑問を持っている方も少なくないかと思います。いくつかの人気を図る指標を組み合わせ、総合的に判断をするチャートがあったら便利ですよね。

実は、音楽好きなら知らない人はいないであろうビルボードジャパンが、複合型音楽チャートの日本版を「チャートインサイト」としてリリースしています。

今回は「複合型とは?興味深いぞ・・・」ということで、実際にどういうものか、複合チャートになることでアーティスト・レーベルにとって注目すべきポイントなど、ビルボードジャパンのチャートディレクターである礒崎さんにお伺いをさせて頂きました!

気になる、複合型音楽チャートの仕組み

ーーまず、チャートインサイトとはどのようなランキングになるのでしょう?

「所有」と「接触」を組み合わせたヒットチャートは日本ではまだまだ馴染みが有りません。複数のデータがどう関連して総合順位が決まるのか、もっとデータに触れて頂きたい、そこから「体験型ヒットチャート」というアイディアが生まれました。

新HOT100は、「フィジカルセールス」「デジタルセールス」「ストリーミング」「ラジオ」「ルックアップ」「Twitter」「YouTube」の7つからなるランキングです。

ーーこのようなチャートサービスを提供するきっかけとは?

日本には昔から複合チャートがあったんですけど、第三者団体による複合チャートがなかったんですね。ザ・ベストテンやJ-WAVEさんのTOKIO HOT100など、番組としての複合チャートというものは存在していたのですが、放送媒体が関与していない複合型のウィークリーチャートというのが存在していなかった。
我々はBillboardのライセンスを2006年に取得したのですが、当初から日本でのマーケティングを進める上でジャパンHOTチャートを作ることは必然でした。アメリカのメインチャートに「HOT100」がありますが、その日本版としての「JAPAN HOT100」をまず作りたかった。

ランキングの公表および提供はもちろんですが、エクセルでも法人向けにこのデータの提供はしていたのですが、これをWeb上でいつでもアクセスできたら便利で、かつ通勤・通学も閲覧できて楽しいんじゃないか、と思い「チャートインサイト」の提供を開始しました。

ーー例えば、近年人気なYouTubeでは、どのようにしてランキングへ反映しているのでしょうか?

楽曲名とISRCをひも付け、マッチするものをカウントします。
楽曲を権利者側が登録するときに、設定した使用範囲に適合した動画に関してはカウントの対象となります。例えば「踊ってみた」等であっても、権利者側が許諾設定していればランキングへ反映されるわけです。

YouTubeの画面上は世界での累計の再生回数ですが、僕らは1週間の国内再生数をフォローしています。例えば、国内で100万回再生はすごいのか、すごくないのかわかったり。

アーティスト・レーベルの為の指標に

ーーTuneCore Japanは、様々なアーティスト、レーベル・事務所の方々にご利用頂いているサービスですが、そういった方々が「チャートインサイト」を活用する方法などがあればお聞きしたいです。

レコードレーベルの使い方として、より細かく「フィジカルセールス以外のユーザーの動向が見える」ということが挙げられます。

気になる楽曲にこれらのハイブリット指標を使うとどうなるか、を比較していくことができ、自社のアーティスト以外のグラフも見ることができるので、各ランキング内でどう違うのか、例えばラジオがソーシャルにどんな影響を与えているのか、などを知ることができます。

ーー海外のように複合型のチャートが一般化する中で、国内個人のアーティストにとってどのようなことが活動する上で重要と思われますか?

世の中で所謂ヒット曲を出す為には、すでにフィジカルのセールスのみでは足らないと思います。それぞれのチャンネルを併せてヒットが生まれていますよね。チャートインサイトでは、例えば「他のアーティストの楽曲がどこから(どのチャンネルから)ヒットしていったのか」を追うことができるので、活動する上で参考になると思います。複数のチャンネルで、自分はどこのチャンネルを攻めていくかということが活動の重要なところですよね。似たようなジャンルのアーティストのヒット曲のグラフも参考になると思います。
まあ、これは恐らく昔から変わっていないと思いますが(笑)。

ーー確かにそうですね。今だとソーシャルとの接触は重要ですよね。

はい、ソーシャルやYouTube、またはラジオなどがセールスに影響するのかどうかをきちんと見ていくことは大切でしょう。

セールスが上がった時、その理由はラジオでのプレイなのか、他のメディアの発信を受けてバズるTwitterなのか、YouTubeなのか、またはそれ以外の何かなのか。聞いてくれるユーザーに向けて曲を書いたりすることがある様に、未開拓のマーケットにアプローチするにはどういったチャンネルにアプローチしていけば良いかをイメージをすることもできるのではないでしょうか。

後編は明日公開します。

Billboard Japan

米国で最も権威のある音楽チャート・Billboard(ビルボード)の日本公式サイト。洋楽チャート、邦楽チャート、音楽ニュース、プレゼント情報などを提供。

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