結婚がすべてじゃない!それでも同性
婚が認められるべき理由

こんにちは、歌人の鈴掛真です。5・7・5・7・7の短歌の作家です。

みなさんもご存じのとおり、日本の法律で結婚が認められているのは、18歳以上の男性と16歳以上の女性との間だけ。男性同士、女性同士では結婚することができません。
今回は、賛否両論がある『同性婚』について考えてみましょう。

詳しく知りたいけど、なかなか知る機会のない“同性愛”の話題。
【ゲイだけど質問ある?】では、オープンリー・ゲイの鈴掛真が、みなさんの気になる疑問・質問にお答えしていきます!

質問 【同性婚って意味あるの?】
今や、人生において結婚を重要視しない考え方が広まってきましたね。
法や制度に縛られない、いわゆる『事実婚』を選択するカップルもいます。
そんなみなさんから、
「わざわざ法律を変えてまで同性が結婚できるようにする必要はないんじゃない?」
「婚姻が無くたって、愛し合って暮らしていければそれでいいじゃん」
という意見が挙がることがあります。

いやいや、『結婚できる権利があるのにしない』のと『そもそも権利がない』のでは、全く意味が違いますよ!

確かに、結婚だけが人生のすべてではないし、2人だけの問題じゃなく親族も関わってくるから面倒!と感じる人は多いですよね。
でも、愛する人と結婚できないということは、実はとてもシビアで悲しい問題なんです。

では、どんな問題が起こるのか、例を挙げて見ていきましょう。
 

「必ず最後に愛は勝つ」って歌があったけど…
まず、人が生活する上で最も大切な場所、それは住まいですね。
夫婦が二人暮らし向け物件やファミリー向け物件を借りることはできても、同性カップルでの入居はほとんど不動産屋か大家さんに断られます。
どちらかが広い家を借りて、こっそり上がりこむ手もありますが、申し出の無い人を同居させるのは契約違反ですし、バレれば退去命令が下ることも……。
結果、同性カップルは友達同士のふりを強いられて、ルームシェア可能物件にしか住むことができないわけです。

それから、もしパートナーが大病や大怪我で生死の淵に立たされたとき!
病室のパートナーに面会しようとしても、危篤であればあるほど「ご家族の方以外はご遠慮ください」と跳ねのけられてしまいます。

そして、パートナーが亡くなってしまったとき。
その人が所有していた財産は、親や兄弟に分与されます。
他人であるパートナーには、遺産はもちろん、思い出の遺品ですら、相続する権利は無いんです。

これらは極端な例なので、現実感が無いかもしれませんが、つまりは「いっしょに住んでるんだから“家族”です!」と感情論を語っても、社会的に『家族』と認められているのは『親族』だけなんです。
どんなに愛し合っていても、婚姻が無ければ、法律上は所詮ただの他人。
愛は法律には勝てないんです!!

制度が面倒……親戚関係が面倒……と、やたらと面倒くさがられつつある『結婚』ですが、パートナーであることを感情論じゃなく社会的に証明できる素晴らしい制度だと思いませんか?

結婚の制度を使う、使わないは、個人の自由。
でも、制度自体が与えられていないことが問題です。
同性婚とは、「わざわざ同性でも結婚できるようにする」のではなく、みなさんと同じように人間として元々与えられてしかるべき権利だと、僕は思います。


他人が親族になる方法は、結婚のほかに『養子縁組』があります。
年下のパートナー(同い年の場合は誕生日が遅い方)が養子になって、戸籍に入ることができる方法です。
これを同性婚の代替として活用するカップルもいますが、結局は文字通り“法の抜け穴”を狙ったやり方なので、なんだか気が引けます……。パートナーなのに養子、というのも無理やりですしね。

東京都渋谷区を発端に始まった『同性パートナーシップ条例』は、同性カップルが婚姻に相当する関係であることを認める画期的な制度です。
渋谷区に続いて世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市にも広まっていますが、現状はまだまだ自治体単位でのこと。

制度や法律が変わることもさることながら、みなさんの意識が少しずつ変わっていって、いつか日本でも正式に同性婚が認められることを願っています。
 

質問、お待ちしています!
鈴掛真の【ゲイだけど質問ある?】第19回、いかがでしたか?
次回は、【ノンケと付き合ったことある?】という疑問にお答えしたいと思います。

みなさんからの質問も募集しています。
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メッセージお待ちしています!

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●vol.16 【やっぱりゲイバーに行くの?】
●vol.15 【同性愛って“趣味”なんでしょ?】
●vol.14 【カミングアウトされたとき気をつけるべきことは?】

鈴掛真プロフィール

鈴掛 真(すずかけ しん)歌人
愛知県春日井市出身。東京都在住。
著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。
雑誌『東京グラフィティ』で連載中。
Twitter・ブログでも短歌を随時発表中。

●Twitter http://twitter.com/suzukakeshin
●ブログ さえずり短歌
●オフィシャルWEBサイト http://suzukakeshin.com

Written by 鈴掛 真

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