【LONG SHOT PARTY】
取材:高橋美穂
今、自分が伝えたいことにリセットした
「あの日タイムマシン」は印象的なタイトルですね。
sasaji
前のシングルが去年の夏前くらいに出たんですけど、それから何にもしてなかったわけじゃなくて、ずっと曲作りはしてたんですね。ところが、今までって自分の中にあるものをやりきってナンボみたいなところで頑張ってたんですけど、メジャーに来て、それだけじゃいかんような気もしてきたら、全っ然できなくて(苦笑)。お蔵には100曲近くあるんですけど、これでいいんかなって、物すごく煮詰まってたんですね。そしたら、今、毎月一回『月刊LONG SHOT PARTY』っていうワンマンをやってるんですけど、その時にお客さんに“最近ライヴで笑ってないですよね”って言われちゃって。僕といえば、花のような笑顔で会場内を照らす存在だったのに (笑)
kj
自分で言うの!?(笑)
sasasji
それは考えて笑ってたんじゃなくて、楽しかったからだったんだけど。それでハッとして、自分にないものを捻り出そうとしても、結局それは積み上げていけなければいけないもので、今は積み上げてる最中なんだなって。だから、今の等身大の気持ちを曲に出そうと思ったんですね。で、あの日笑顔でやってた自分に背中を押されながら頑張っていこうっていう。
kj
一生懸命やってる人って、昔のことを思い出すというか、それを大事に生きてると思うんですよね。適当にやってる人は思い出さないと思うんです。自分で自分を応援できてる人ってキラキラしてるし。LONG SHOT PARTYって、今までがむしゃらな感じで、そういうことを考えずにやってきたんですけど、煮詰まった時に、頑張ってたから今があると思えたっていうか。
なるほど。曲も詞もポップス色が強くて大人っぽくって、新局面を感じたので、等身大っていう言葉は意外ですね。
sasaji
LONG SHOT PARTYってこうだよねっていうイメージに向かって球を投げることすら取っ払ったって感じですかね。ほんとに今、自分が伝えたいことにリセットしたっていう。
kj
“Hi-STANDARDで育ってライヴハウスに行きました”って核から始まったバンドではあるんですけど、その呪縛にとらわれてたっていうか。でも、僕ら平均年齢は30歳くらいなんで(笑)、スローな曲やらせるとみんな引き出しもあったりして。
サックスの使い方も変わりましたよね。
kj
だんだんブラバンに戻ってる感じもあるんですよ。普通ならストリングスとピアノ入れるところを、管楽器でできないかなって。今までは二管のユニゾンで“スパン!”て感じだったんですけど、今回みんなコードを整理してくれてて、自由なスペースが多かったんで。僕ら、スカパンク系と言われるアレンジは、ひとしきりやったと思うんですよ。そこから違うことをというか。
2曲目の「東京ポラリス」も、思い出を描いた歌詞ですが。
sasaji
ポラリスって北極星のことなんですけど、これさえあれば頑張れるってものの象徴なんですよ。歌詞は上京がテーマなんですが、田舎で見た星って綺麗ですけど、東京って星が見えないじゃないですか。でも、心の中にあの時見た北極星があるから、それを東京の空に投影して頑張っていこうっていう。
kj
北極星が田舎で綺麗に見えるのは、周りに光がないからで。東京は周りも光ってて見えなくなっちゃう。だけど、東京でも星を見ていられる人が、頑張っていられるのかなって。
自分たちはポラリスを持ち続けてきたと思います?
sasaji
持ち続けてきたっていうか、持ち続けていたいですね。ともすれば、簡単になくなりますから。