歌舞伎と“KAWAII”が融合! サンリ
オのキャラクターたちによるミュージ
カル『KAWAII KABUKI ~ハローキティ
一座の桃太郎~』レポート

サンリオキャラクターたちが歌舞伎を演じる話題のミュージカル『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』が、3月10日より上演される。一般公開に先駆け3月7日、会場となるサンリオピューロランド内メルヘンシアターで公開ゲネプロ(総通し稽古)と記者発表会が行われた。
これまでさまざまなエンターテインメントとコラボをしてきたサンリオピューロランドだが、日本を代表する「歌舞伎」と「サンリオキャラクター」がコラボレーションするのは今回が初めて。脚本・演出・作詞にはこれまで数々の「スーパー歌舞伎」を手掛けてきた横内謙介が、歌舞伎演技の指導は市川笑三郎が担当した。さらに中村獅童が声の出演、坂東巳之助が映像出演。豪華メンバーによる強力なバックアップのもと、ハローキティたちは歌舞伎に初挑戦する。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』
伝えたいことは「個々の違いを受け入れ、みんななかよく」
当日は上演に先立ち館長の小巻亜矢が登場。本作を制作した経緯について「2020年、そしてその先に向けて海外と日本の距離がますます近くなり、インバウンドの需要も高まっている。その中でピューロランドが、海外からのお客様に印象深い思い出を残すために、日本で生まれ育った方々が日本の文化を誇らしく思えるように何かできないかと思い、伝統的な“和”である歌舞伎とクールジャパンの一端を担うといわれるハローキティを融合できないか考えた」と説明。
また本作を通じて「みんな仲良く。その前に違いを受け入れて、心を一つにみんな仲良く」ということを伝えたい。「全面監修を務めた松竹株式会社がこれまで人の思いに寄り添いながら伝統と革新を紡いできたことや、ピューロランドがオープン以来“みんななかよく”を理念としてきたこと、さらにストーリーの題材となったおとぎ話の根底にも“人の思い”というものがある」と話し、「桃太郎」を題材としたわかりやすいストーリーの中を通じ、平和な世界に向けた思いを伝えたいと決意を語った。
小巻亜矢館長 (撮影:於ありさ)
「本作をきっかけに、幅広い層の方々の歌舞伎への興味に繋がれば…」
また、声の出演を務めた中村獅童と映像で出演している坂東巳之助からもビデオメッセージが届いた。
今回の上演について獅童は「楽しいことはもちろん、自分の子供のころから人気があるサンリオキャラクターとコラボレーションできるというのは歌舞伎役者としてうれしい。ストーリーもわかりやすくなっているため、小さいお子様から年配の方、幅広い層の人に見てもらいたいです」とメッセージを寄せた。
中村獅童
巳之助は、「普段歌舞伎に触れる機会がない方や、歌舞伎を初めて見る小さなお子さまが歌舞伎に興味を持つきっかけとなってくれたら嬉しい。難しいことは考えずに、自分の目の前で起きていることを感じるままに楽しんでください」と思いを語った。
坂東巳之助
お客様とともに成長していく作品にしていきたい
さらに上演後には演出の横内謙介と歌舞伎演技指導の市川笑三郎によるトークセッションも行われた。その中で横内は「最初お話しを伺った時には、歌舞伎役者がやるとたとえ歌舞伎の衣裳を着ていなくても歌舞伎になるが、逆に歌舞伎役者以外の方が歌舞伎をやると歌舞伎にはならない…かなり難しいことなんだとキティ座長に伝えました。でも、「そういわれたら余計やりたくなった!」とキティ座長が聞かなくて…」と会場を笑わせた。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』 (撮影:於ありさ)
演出については、「こういう時の所作や演技指導は日本舞踊の先生がついてくださることが多い。でも、ぜひ歌舞伎役者の方についてほしくて、女形でありながら舞踊の世界でも名人である市川さんにお願いした」と市川に演技指導を依頼した経緯を説明。一方、市川は「本来長年かけて習得する歌舞伎なので、演技指導をしながらよくこの短期間で、毎日演じながら仕上げることができた。やればできるんだな~と実感しました。一座が仲良く切磋琢磨する環境だからこそできた」とコメント。
また、横内は本作のこれからについて「作品を大きくするためにも、たくさん見に来て、たくさん発信してください。実はまだ出てきていない演出や出てきていないキャラクターもいるので、今後一座がどう成長していくのかというところを含めて見てください」と発言、続編の可能性を思わせる発言に会場にいたファンからは歓声があがった。
最後に市川が「ぜひこの公演に興味を持った方は歌舞伎座にも足をお運びください。でも、まずはその前にメルヘンシアターでの歌舞伎をどうぞごひいきに!」と話し、トークセッションを締めくくった。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』
<あらすじ>
ピューロランドに誕生したハローキティ一座。一座のこけら落とし公演『桃太郎』の上演から物語はスタートする。鬼はバッドばつ丸、その鬼に立ち向かう正義の武者を、シナモロール・ポムポムプリン・ディアダニエルが演じ、鬼達との戦いに三武将は悪戦苦闘するも、ハローキティ座頭演じる桃太郎の登場で無事に劇中劇は幕を閉じる。しかしその公演が終わった後、一変して劇場中の電気が火花を散らして停電に。やっと明かりが戻ると、目の前に現れたのは、一座の誰も見覚えの無い鬼。突如現れた見知らぬ鬼の姿に劇場裏は大パニック! 果たして、この鬼の正体は一体誰なのか?

『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』 (撮影:於ありさ)
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』 (撮影:於ありさ)

【見どころ1】本物の歌舞伎さながらの演出
ショーの冒頭、黒子のとうさんが登場し、客席の記者や関係者を巻き込み、客席の笑いを誘った。その後、映像で登場した歌舞伎のPRキャラクターかぶきにゃんたろうと遊び人のげんさん(巳之助)とともに、拍手や掛け声などで客席と舞台が一体となる歌舞伎のおもしろさを伝え、これから上演されるハローキティ一座にも本物の歌舞伎と同様掛け声をかけるよう促した。横内もトークセッションの中で「ゆくゆくは大向うさんがこの劇場に生まれてほしい」と期待を寄せた。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』 (撮影:於ありさ)
また世界に9人しかいない歌舞伎の附け打ちだが、本作の上演にあたり10人目の附け打ちも誕生したそう。この他にも、ミュージカルの中では、ハローキティ一座たちが見得や大立廻り、六方にも挑戦。「重い衣装に身をまといながら、歌舞伎ならではの技法や演出に挑戦しているキティたちが見どころです。たくさん声援を送ってあげてください」と演技の指導をした市川も太鼓判を押した。
さらにショーのフィナーレには歌舞伎と“KAWAII”が融合したオリジナルデザインの衣裳を身にまとうキャラクターたちが登場。衣裳の華やかさはもちろん、それぞれのキャラクターらしさを表現するデザイン(例えばキティのお引きずりがリンゴ柄になっているなど)といった細かいポイントにもぜひ注目して見てほしい。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』
【見どころ2】臨場感あふれる映像効果
本作の上演にあたりメルヘンシアターの座席や設備を歌舞伎のからくりが生きるように座席や設備を改修した。特にメルヘンシアター初のプロジェクションマッピングの演出は圧巻。作中では一座の上演風景、舞台裏、鬼ヶ島などと場面は頻繁に変わるが、そのどれもが映像効果により臨場感あふれるものとなっている。特に物語の重要人物である“鬼”が映し出された影と戦うシーンはその迫力に思わず息を飲み込んでしまった。
個々の違いを認め合い「みんななかよく」をテーマとしたストーリーの中で、歌舞伎の演出、臨場感ある映像での演出、ピューロランドならではのアクロバティックなダンスなどさまざまな魅力が詰まってた本作。ピューロランド未経験、歌舞伎未経験の皆さんはもちろん、ファンの方々も楽しめること間違いないだろう。
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』
『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』 (撮影:於ありさ)
取材・文=於ありさ

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