唐組が唐十郎'85名作選『ジャガーの
眼』『ビニールの城』、唐ゼミ☆は『
ジョン・シルバー』『続ジョン・シル
バー』上演

劇団唐組は今年2019年、「唐十郎'85名作選」と銘打ち、春公演で『ジャガーの眼』、秋公演で『ビニールの城』を上演することを発表した。いずれも唐十郎が1985年に発表した傑作戯曲である。
『ジャガーの眼』は1985年4月に唐の率いる状況劇場が新宿・花園神社内に設置した紅テントで初演。その後、同じく唐の率いる唐組が1989年、1995年、1997年、2008年と4回再演した(いずれも演出は唐十郎)。この他、新宿梁山泊をはじめ他の劇団によっても上演される人気作品だ。本家の唐組としては11年ぶりの再演となるが、現在座長代行を務める久保井研による新演出への期待値が上がる。
『ビニールの城』は、石橋蓮司の劇団第七病棟のために唐が書き下ろした戯曲。1985年10月に浅草常磐座において緑魔子主演で上演され、大変な評判を呼んだ。2016年にはこの作品を上演する予定だった蜷川幸雄を追悼する公演としてシアター・コクーンでも上演された(演出は金守珍)。唐組が上演するのは今回が初となる。
新宿・花園神社内に立つ唐組の紅テント (撮影:SPICE安藤光夫)

一方、唐十郎が横浜国立大学の教育人間科学部マルチメディア文化課程教授を務めた際(1997~2005年)に、ゼミの生徒たちによって2005年に発足されたのが劇団唐ゼミ☆である。多作ゆえに埋もれがちとなる唐十郎の隠れた名作を丹念に発掘しては、ケレンと勢いがみなぎるハイレヴェルの上演で復活させてきたのは、劇団代表にして演出を務める中野敦之の手腕に負うところが大だが、同時に「特権的肉体」(唐十郎の言葉)を感じさせる俳優たちが揃っていることも注目に値する。
そんな唐ゼミ☆は、2019年1月12日(金)から第28回公演として『ジョン・シルバー』『続ジョン・シルバー』を、横浜の伊勢佐木バル333(The CAVE)にて上演する。
『ジョン・シルバー』は、状況劇場によって1965年12月に日仏会館ホールにて初演。『続ジョン・シルバー』は同じく状況劇場により1968年9月に新宿ピットインで初演。「ジョン・シルバー」は初期唐十郎の人気シリーズとして数々のヴァリエーションが発表されてきた。唐ゼミ☆も2002年5月以来、何度か上演してきたが、今回は横浜の地下空間で、各日に正続二本を上演するという野心的な試み。1960年代アングラ勃興期の傑作を再確認するには、よい機会となるだろう。

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