首振りDolls

首振りDolls

現在の首振りDollsと
ニューアルバム『アリス』の
関係について迫る
マンスリーインタビュー 第4弾公開

優しいバラードを
サラッとやっちゃうのも
首振りDollsの良さ

――なるほどね。すごくギタリストとしてのジョニーが浮き彫りになった話になったね。バンドって、この時期、この時期って、時期ごとに変化があったりするけど、そういう意味では首振りDollsってあんまり変化がなかったりするの?ショーンが入ってからの第2章からはガッと変わっているけど。
ジョニー:いや、なんだかんだ変化はあったんやない? ちょっとずつ。
ナオ:うん。あったと思う。最初はもう、本当俺がガレージが大好きだから、完全にガレージっぽい感じだったよね? ガレージ色強い。その後のシングル4枚で、あれどういう変化なのかな? 変わってないとこは変わってないんだけど、なんかちょっと変わったみたいな。
ジョニー:うん。でも、やっぱりガレージっぽさはあったと思う。バラードとかも作り出したもんね。やれるようになったというか。

――首振りDollsの番最初のバラードって何?
ジョニー:「渇いた雨」じゃない?
ナオ:そう。「渇いた雨」。ジョニーにAerosmithの「クライン」みたいなロックバラードを作ろうって言われて。「クライン」みたいな感じか〜って思って俺が考えてて、なんか出来ちゃったのが「渇いた雨」。
ショーン:そうなの!?
ナオ:そうそう(笑)。どちらかというとサンハウスの「スーツケース・ブルース」な雰囲気だね。

――ショーンはバラードは作ったりしないの?
ショーン:バラードバラードしたやつは作んないですけど…、優しい曲は作ります。美メロというか…。

――『アリス』収録曲のショーン曲は、リズミックな楽曲が多かったから、いつかそういう側面のショーン曲も聴いてみたいな。優しい曲調の首振りDollsの曲といえば?
ジョニー:いっぱいあるよ。
ナオ:今回のアルバムでいったら「BROWN SUGAR」とかそうじゃない?  ジャケットを描いてくれたカネコアツシさんが、「BROWN SUGAR」はすごく切ないねって言ってくれたの。“お迎えに来たよ、笑って泣いて”っていう歌詞がすごく印象的だったって。子供の頃の心情みたいなイメージなの? って。何か保育園とか幼稚園とかに行ってる子供の目線なのかと思ってたって言われたの。子供の頃の、すごく寂しい気持ちなんだろうなと勝手に思ってたって。

――カネコさんは、今回のアルバムのジャケットのアートワークを手掛けてくださったからね。
ショーン:そうなんです。ジャケットには今回のアルバムの歌詞やタイトルとリンクさせてくださっていて。
ナオ:そう。私もカネコさんの作品からセリフを引用したり、場面を切り取って歌詞にしたりしたんだけど、カネコさんもすごく歌詞を読み込んで下さって。「BROWN SUGAR」の歌詞のことも、カネコさんなりにすごく深く分析してくれたんですよね。カネコさんの「BROWN SUGAR」の感想を聞いて、子供を育てたことがある人は、そんな風に感じるのかもしれないなって思ったんですよね。

――なるほどね。でも、たしかに「BROWN SUGAR」は郷愁感があるというか。私も自分が子供だった頃の景色を思い出しながら聴いたからね。あったかくてすごく優しい曲。
ナオ:それすごく嬉しい。聴いてくれる人が思い浮かべてくれる景色があるって素敵なことだからね。でも、俺の中で「BROWN SUGAR」は、大学生だった頃のことを描いた曲なの。俺公園の隣に住んでて、ちょっと出たらすごいトラックとか走ってる通りで。当時すごく落ち込んだ時期とかもあって、当時は朝から夕方までの仕事をしてたりとかしてたんで、バイク乗って川沿い走って帰るんですけど、空がめっちゃ綺麗にクリーム色になるんですよ。九州ってあの、黄砂とかすごいから、光がこうパーってなって、普通の夕焼けと違う時あるんですよね。なんかその夕焼け空がお迎えに来た感じがしてたというか。

――いい曲だよね。ロックンロールバンドがこういう優しいバラードをサラッとやっちゃうのも首振りDollsの良さだったりするんだろうね。
ナオ:うん。俺ね、今回のアルバムの中で一番聴き入っちゃう曲だったりするんだよね、「BROWN SUGAR」って。
ショーン:いい曲ですよね。すごく優しくていい曲。
ナオ:1枚目のアルバムだったら「月のおまじない」とかもそうだし。
ジョニー:「冷たい涙」とかも優しいんじゃない?

――「冷たい涙」はまたあれ名曲だよね。
ナオ」:「冷たい涙」が出来たとき、ジョニー興奮しとったよね。
ジョニー:うん(笑)。俺、これだ! って思った。絶対売れる! と思ったもん(笑)。
ナオ:シングルにしか入ってない曲だから、知らない人の方が多いと思うけど、あれは本当に名曲だと思う。歌詞もジョニーが書いてきて。
ジョニー:でも結果、1番のAメロだけ俺。あとはナオちゃんが書いてくれた。
――"探しものが見つからないわ、この先もずっと"って歌詞がすごく残った歌詞だった。
ナオ:そこ俺か。
ジョニー:そう。1番だけどそこはナオちゃん。
ナオ:ジョニーがサビのメロディーとサビの歌詞だけ持ってきたんよね、たしか。
ジョニー:Aメロはどうしたらいいか分からないから、お願いしたい! ってお願いして書いてもらった。
ナオ:これはね、よくジョニーがやるの(笑)。今回のアルバムで言ったら、「lazy」とかで、ちょっと思い浮かばんってなったらポンって投げてくるから(笑)。わりとそこから受け取って書くっていうのが得意になったというか(笑)。ジョニー的に「lazy」は意図した形になったの?
ジョニー:満足。良い。OK!みたいな(笑)。「lazy」はもう全然本当にいい感じ!

――なるほどね(笑)。やっぱり早くショーンのバラード曲聴いてみたいね。
ショーン:優しい曲調っていうのがスーパーファミコンとかで、隠れた名曲というか、ドラクエやFFではない、隠れた名作と言われてるゲームのBGMみたいな曲を作ることが多いですね。

――ショーンは、映像から曲がつくられていくことが多いんだね。
ショーン:たしかにそうかもですね。イメージというか、インスピレーションが大事かもしれない。
ジョニー:あぁ。なんかそれ俺と違う。俺、そういう作り方したことないなぁ。面白いなぁ。やってみよう。

――ジョニーはどっから始まるの? リフ? サビ?
ジョニー:いや、散歩。

――散歩!?
ジョニー:そう。散歩しながら作る。

――へぇ〜! ギターも持たず?
ジョニー:そう。まず何も持たないっす。ギターも持たない。頭の中から。歌詞とメロディー同時に考える派です。
ナオ:“冷たい雪があなたのまつげの先に触れて真冬なのに…(「冷たい涙」より)”も?
ジョニー:そうそうそう。あれも、職場から帰ってくる家の間にできたからね。

――すごいよ!
ジョニー:すごいでしょ! ポール・マッカートニーか俺は!って思った。俺、すげえ! って思いながら(笑)。なんて素敵な曲と歌詞が生まれてしまったんだ! って。
ナオ:“真冬なのに溶けて頬を伝う…(「冷たい涙」より)”
ジョニー:そう、涙! 我ながらでかしたー!って思いながら。
ナオ:“あなたがついたため息〜…(「冷たい涙」より)”
ジョニー:へ? 忘れた(笑)?
ショーン:あはははは。忘れた(笑)。
ナオ:いい話だったのに、歌詞忘れちゃった(笑)。
一同:(爆笑)
ジョニー:「ティーンネイジャーアンドロックンロール」はサビだけはもうスコーン! ってきたけど、それ以外はそんなに…。「星くずのメロディ」は、結構悩んだからな…。

――「星くずのメロディ」なんて、ジョニーそのものなのに!
ジョニー:うん。サビだけはずっとあったんですけど。そこからなかなか出てこなくてすっごい悩んだ。
ナオ:迷ってたよね、ジョニーね。
ジョニー:うん。迷ってた。なにが正解か分からなくなって。そうそう、大分変わったよね。
ナオ:そう。結果いろんなアレンジがある。作ったけど、結局今の完成形に落ち着いて。いろいろと試したもんね。
ジョニー:そう! サビも全然違ったもん。サビもコードも変わったし。
ナオ:速さも変わった。
ジョニー:そう。実はいろいろとやってるんすよ。
ナオ:ポッと出来ましたってインタビューでは言ってるけど、振り返ると、ちゃんといろいろやってるわ(笑)。ちゃんと振り返ると(笑)。
ショーン:あはははは。やってるやってる(笑)。

――でも、その散歩作曲の話の続きだけど、人間って書いておかないと忘れちゃうじゃない?
ジョニー:そうそう。忘れたやつは俺の中でボツになる。よくないってことだなって。覚えてるやつは名曲やって思ってるから。だから、基本あんまり録らない。
ナオ:俺すぐ録る。
ジョニー:まぁなんか酔っ払っとるときとかは、忘れるからって録ったりするけど、次の日聴いたらなんじゃこれ? みたいな(笑)。寝言? みたいな。
ナオ:分かる! わかるわかる!

――ショーンは、このイメージで作ろうみたいな、アニメのエンディングでお願いしまーすって依頼されたみたいな感じで書くの?
ショーン:依頼されたって感じではないかもしれないですけど…。
ジョニー:阿久悠みたいな。
ショーン:あははは。ん〜、依頼されて作るとまたちょっと、わかんないですね。また考え方変わっちゃうかもしれないですよね。なんか自分で作るときは、ふわっと浮かんたのが、ふわっと落ちてくる感じですかね。

――歌詞は?
ショーン:歌詞は、無いです。基本的に歌詞ないです。書けないです。書こうともあんま思わないです。苦手なんですよね、書くの。
ジョニー:矢沢永吉スタイルやな。
ショーン:出てくる名前がビックですね(笑)。でも、首振りDollsってすごく不思議だなって思うんですけど、ジョニーさんが書いてもナオくんが歌うとナオくんの歌になるんですよね。けど、「星くずのメロディ」なんかは、ナオくんの歌になってるんだけど、ちゃんとジョニーさんも感じられるっていうとこがすごいなって思ったんです。不思議だなって。
ナオ:最初にジョニーが作った曲が「タイムマシーン」だったんだけど、ジョニー、俺の作った曲に関しては俺がどんな風に歌おうが何も言わないけど、自分の曲のときはすげー言ってくるからね。「タイムマシーン」のときとか、“とにかく、ほんっとマジでめちゃめちゃ弱い、いじめられっ子みたいな感じで歌って!”、みたいに言ってきたもんね。
ジョニー:そうそうそう。死にかけの感じで!って言ったよね(笑)。そうそう。そういう歌い方してほしかった。
ナオ:だいたいオーダーでよくあるのが、なんかスライダースみたいな感じっていうのが多い。
ジョニー:あ、そうそう!

――THE STREET SLIDERS? HARRYみたいな感じってこと?
ジョニー:そうそうそうそう! HARRY。気怠い感じ!
ナオ:そのオーダーに答えようと思って、やろうとするんだけど、俺の中で一生懸命やるんだけど、結局、なってるんかな(笑)? 今回のアルバムの「星くずのメロディ」に関しては、エンジニアのKENさんが、俺がちょっとメロディーを伸ばし気味に歌ってたら、“もっとブツブツ切った方がいいと思うよ”って言われて。試してみたらジョニーもそれがいいってなって。
ジョニー:そう。そこでやっと、自分が求めていたものが見えたというか。あぁいい感じ! って思えて。
ナオ:“ビブラートしちゃダメ!”って言われたの。

――KENさんの感覚ってすごいよね。
ナオ:本当にすごい。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着