須賀健太が『けむりの軍団』への想い
を語る! 「この作品のオアシスにな
りたい」

2019年7月15日(月・祝)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演される劇団☆新感線「いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」。頭の切れる軍配士(古田新太)とずる賢い謎の浪人(池田成志)を中心とした王道の人情時代劇が描かれる本作にて、清野菜名演じる紗々姫を守る、厚見家の家臣・雨森源七役に扮するのは須賀健太。新感線には『髑髏城の七人』Season月 に続き、2度目の出演となる須賀の本作に向けた想いとは? また劇団☆新感線とはどのような存在なのか。話を聴いてきた。
■楽しみなのは古田新太&池田成志との共演!
ーーいのうえひでのりさんの演出を受けるのは舞台『鉈切り丸』を含めると3回目ですね。稽古は始まったばかりですが、今回、須賀さんが演じる雨森源七をどう作っていきたいですか?
劇団☆新感線の稽古は特殊で、いのうえさんが自分で演じながら動きをつけてくれるんです。だから、事前に準備しすぎるのもあまりよくなくて。自分自身では作り込み過ぎず、稽古場で言われた事、見せられたものをしっかり形作る事が大切かなと思っています。とはいえ、自分の中でも大枠でキャラクター像を作りながら、いのうえさんのプランに寄せていく感じになるかな。今回演じる源七は、真っ直ぐな人物なので、そういうところをちゃんと表現出来たら、と思っています。
ーーこれまで経験した新感線の稽古の雰囲気をちょっと教えていただけませんか?
いのうえさんが稽古場で見せてくれる演技がいちばんおもしろいんです。悔しい事に(笑)。いのうえさんが思っている動きをいかに自分の中に落とし込むかが勝負かな。本当に速いんですよ、稽古の進行が。「こうやってああやって。はい、やってみて!」っていうくらい! 頭の回転力が必要で稽古が終わるとドッと疲れるんです。前回は『髑髏城の七人』の兵庫役だったので、やたら動く役柄だったんですが、いのうえさんはそういう役への熱量がハンパない! めちゃくちゃ笑顔で「ホレやれ! それやれ!」でした(笑)。稽古が終わった後の疲れがまた新感線らしくて、「今日はアレを言われたけど、出来なかったなあ」とか思いながらトボトボ帰るんです(笑)。でもまたその稽古を受けたくて稽古場に行くんですけどね。
須賀健太
ーー大変さが伝わってきますね(笑)。さて、今回『けむりの軍団』に出演するにあたり、いちばん楽しみにしている事は?
やっぱり、いちばんは古田さんと成志さんと一緒にお芝居ができる事がなにより嬉しいですね。また劇団員の皆さんもほぼ総出演ですし、憧れの人たちと芝居ができるって事が。一緒に会話が出来るだけでも嬉しいんです。でももちろんそれだけではダメなので、ちゃんと芝居を成立させて作品の中に溶け込んでいく事が大事。僕だけが面白かったというんじゃなくてね(笑)。
ーー若手俳優の方が誰しも「一度は共演したい」と口にする古田さん。その魅力を須賀さんの視点で分析するなら?
色気じゃないですか? 舞台上の古田さんって形容しがたい色気があるんです。舞台を降りるとものすごい酒飲みの人(笑)って感じですが、いざ舞台に立つと場の掌握力がすごくて。新感線の公演だとその力を最大限に発揮するから、お客さんも古田さんが出てくると「待ってました!」な雰囲気になる。これは惚れるわ~って思いますもん。客席で観ていても気持ちいいですし、本当に憧れますね。
ーーそんな古田さんと共演できるとあって、須賀さんもやる気十分! といったところですが。前回出演された『髑髏城の七人』の話も少し聞かせてください。兵庫役を演じる上で悩んだりされた事はありましたか?
『髑髏城の七人』の時はWチーム制で、僕と同じ兵庫役をやっていたのが木村了さん。兵庫って「兄貴!」って呼ばれるキャラクターなんですが、どう考えても了さんが演じている方が「兄貴」度が高いんですよ。本当に頼れる兄貴で、手下を引き連れて、一本気な「王道」の兵庫像でした。稽古の初めの頃「僕もあんな兵庫が出来たらなあ」って思い悩んでいたんです。その時に極楽太夫役の(高田)聖子さんに助けていただいたんです。
ーー今回も共演される高田さんからどのようなアドバイスをいただいたんですか?
聖子さんは「こうやりな~」とは言わないんです。聖子さんは極楽太夫として役の上での兵庫のいじり方、いなし方をつけるなど、いろいろな色を見せてくれて僕は「太夫、大好き!」ってそこに乗っかるだけで形になる環境を自然と作ってくださったんです。僕の兵庫は聖子さんの極楽太夫がなかったら完成しなかったように思います。稽古から本番まで本当にありがたかったです。
そんな聖子さんと今回も一緒ですが、敵方なんですよねえ(笑)。
須賀健太
ーー「困った時の高田さん」に頼れないとなると……。
いのうえさんがボソッという事が結構大きい意味を持つ事が少し分かってきたんです。「お前、戦っていない時はブルース・リーみたいな動きをしてみろ」って言われた事があって。最初「ブルース・リーみたいな動きって何だ?」って思っていたんですが(笑)。最終的にはこう、鼻を親指で軽くこするみたいな動きを至る所でやり続けていました。いのうえさんは最初、殺陣とかの「待ち」の時にやれ、と言っていたのを僕が勝手にいろいろな場面で入れていったんです。そのうちいのうえさんも笑っていて「じゃそれを打ち出そう」という事になりました。たい​ちゃん(早乙女太一)には「お前(動きが)うるさい(笑)」と言われましたが「いのうえさんにやれと言われたのでやってるんだ」と言い返したりね!
今回もいろいろ悩む事はありそうですが、何かあったらいのうえさんがボソッと口にする言葉を聞き逃さずにいようと思います。
ーー製作発表などでは主に古田さんと早乙女さんとの殺陣が話題となっていましたが……源七も殺陣の場面はあるのでしょうか?
一応、僕の役も殺陣はありますよ(笑)! 敵方になるのでおのずとたい​ちゃんと戦う場面もあります。が、いかんせん、強くないので防戦一方です。台本のト書きにも「防戦一方」とか「じりじりと追いつめられる」ばかりです(笑)。そこはうまくリアクションしたいですね!
僕の役はどちらかというと会話の中で動く、リアクションで動く役回り。古田さんと成志さんの掛け合いの中に一言ポンと台詞を言ったりすることもあるので、そのタイミングなどが今から怖いですね。稽古で何度も試して作られていくとは思いますが、早く本番になって欲しいです(笑)。
ーー須賀さんはこの作品でどのような存在になりたいですか?
古田さんに「お前、この作品のオアシスになれ」って言われたんです。それに尽きるかなって思いますね。誰かが誰かを裏切ったり、だまし合ったりする人間味あふれるキャラクターが多い中で、源七は真っ直ぐで、姫様を守るためだけに存在する人。その真っ直ぐさがかわいらしく見えたり、また面白くなったりすると思うので「こいつが汗かいていると和むなあ」という存在になりたいですね。
須賀健太
■すべては『IZO』から始まった
ーー須賀さんが初めて生でご覧になった劇団☆新感線の作品は?
『IZO』なんです。森田剛さんと一緒にTVドラマ『喰いタン』をやらせていただいた事がご縁で、森田さんが主演する『IZO』を観たのがきっかけでした。ある意味、『IZO』は新感線っぽくない作品ですが、舞台ってこんなにもすごいエネルギーを発しているんだ! ビリビリする生の迫力が本当に凄い! と知りました。生の迫力って言う点においては新感線の右に出るものはいないし、今もなお日本一だと思うんですが、それを幸運にも早いうちに知る事が出来て嬉しかったです。
ーーそんな須賀さんに大きな影響を与えてくれた人は?
やはり森田剛さんですね。僕は『鉈切り丸』でもご一緒させていただきましたが、本当に好きな俳優さんです。先輩としてだけでなく、舞台で魅せられた初めての人。「スゲー!」と純粋に思った人でした。僕、『IZO』を観た当時は中学生だったので、物語の内容は正直難しくて分からなかったんですよ。薩長がどうとか(笑)。でもこの以蔵という人が苦しんでいたら自分も苦しくて、以蔵が叫んでいたら自分も同じ気持ちになる、そんな体験を間近で見せられて。「いつかこんな芝居を舞台でしたい」と思わせてくれた人でした。
ーー『IZO』そして森田さんから大きな衝撃を受けた後、舞台に出演される機会が徐々に増えてきましたね。
僕は今の事務所で初めて舞台の仕事をしたのは、うちの若手俳優が出る公演で、劇場のキャパも150~200人くらいの場所でした。お客さんとの距離が近い場所で初舞台を踏めたのは幸運でした。しっかり芝居をやる事も学べました。また、今は「2.5次元」と呼ばれる作品にも出させていただく機会に恵まれ、それらを通して「舞台上での見せ方」「感情の伝え方」を知る、得難い経験が出来ました。一つひとつの経験が今に繋がっている事をひしひしと感じています。
新感線でもかつては漫画『犬夜叉』を舞台化するなど、ある意味2.5次元舞台の「元祖」みたいなところがありますしね。「2.5次元」という言葉が出来てしまったからこそカテゴライズされてしまっていますが、原作のある活劇のハシリが新感線の舞台ですしね。
須賀健太
■感謝を伝えたいのは「家族」「きょうだい」そして……!?
ーーこの『けむりの軍団』は劇団☆新感線の39興行の一環でもあります。そこでベタな質問ですが、須賀さんが「39(サンキュー)」と伝えたい相手は誰ですか?
無茶苦茶いっぱいいますが、やはり家族ですね。僕は小さい頃から仕事をしていたので、現場への送り迎えから体調管理、台詞を覚えるのに付き合ってくれたりなど、一人ではできなかった事を支えてくれたのは家族でした。なかでも妹と弟は意外と大変だったと思います。僕の現場に父や母が付いていかないとならなかったので、ある意味「僕ファースト」な生活だったと思うんです。でも二人ともすごく真っ直ぐに育って、申し訳なくなるくらい僕の事を気遣ってくれて、「ようこんな立派に育ったなあ」と思います。だからこそ父や母だけでなく、あえて妹と弟に「サンキュー」と伝えたいです。
もう一人。僕は現場と家の往復でインドア。それ故に、友達があまりいないのですが(笑)、最近たい​ちゃんがご飯に誘ってくれるようになったのにも「サンキュー」です。僕が仕事などを理由に何度も断ってしまうんですが、たい​ちゃんは毎回根気よく誘ってくれるんです。人見知りだとかいろんな方に思われ続けてきましたが、早乙女太一は変わりました! ……って自分が言うなよって(笑)。
須賀健太
取材・文=こむらさき 撮影=岩間辰徳

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