『セールスマンの死』演出の長塚圭史
、出演の風間杜夫、片平なぎさのコメ
ントが到着 公演詳細も発表

2021年1月、KAAT 神奈川芸術劇場 <ホール>にて上演される『セールスマンの死』の演出家、出演者のコメントが到着、そして公演詳細が発表された。
本公演は、2019年4月よりKAAT 神奈川芸術劇場芸術参与を務める長塚圭史が、2018年11月に上演し、高く評価された。この度、KAAT 神奈川芸術劇場 10周年の記念プログラムの一作として再演される。
主人公ウィリー・ローマンの死に至る最期の2日間を描いた本作は、1949年、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツァ賞を受賞し、テネシー・ウィリアムズとともにアメリカ現代演劇の旗手と呼ばれるアーサー・ミラーの地位を確立した彼の代表作。
演出を手掛ける長塚は、コンスタントに新作の上演を続ける一方、自身が主宰する演劇ユニット・阿佐ヶ谷スパイダースでの活動、子供向けの演劇作品の創作など、劇作家・演出家として、意欲的な活動を続けている。コロナ禍の6月には自身の演劇ユニット「新ロイヤル大衆舎」で予定していた公演の延期を受けて、『緊急事態軽演劇八夜』(演出・出演)をライブ配信、公演直前に少数の観客を入れることができることになり、「改めて観客が存在することの大きさ、演劇について考えることができた」と語る。
また、KAATが開館した2011年に上演した『浮標』(三好十郎作、長塚演出)以降継続的に作品を上演しており、2017年10~11月には、KAATプロデュース公演に初参加。イタリアの劇作家ルイージ・ピランデッロ作『作者を探す六人の登場人物』を上演、その後2018年には本作『セールスマンの死』の初演、2019年は秋元松代作『常陸坊海尊』を上演し、いずれも好評を博した。
初演から2年を経て、自身も年齢を重ねることで、本作が描く“老いの切実さ”を感じるようになったという長塚は、「老いてからの自身の人生に対する後悔、執着というテーマが身近になった。老いてなお持つ生きるエネルギーとその変質を通じ、“老い”という視点にも肉薄していきたい」とコメント。
本作では、現代の日本・家族にも通じうる、競争社会の問題、親子の断絶、家庭の崩壊、若者の挫折感など、第二次世界大戦後に顕著になったアメリカ社会の影の部分を鋭くえぐる。
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『セールスマンの死』(2018年上演) 撮影:細野晋司
主人公の老セールスマン ウィリー・ローマンを再び演じるのは、40年以上にわたり舞台・映像の第一線で華のある実力派俳優として走り続ける風間杜夫。2018年の初演では風間ならではの猛烈で新たなウィリー像を造形、その演技は「子供のような大人、父になろうとしてなれない悲しみを体現」(18年11月16日 日本経済新聞/評:内田洋一より)と評され、多くの観客の感動を呼んだ。その妻リンダ・ローマンには、映像や舞台で活躍する片平なぎさ。初演では夫ウィリーを献身的に支えつつも、崩れていく家族に心を痛める複雑な役どころを繊細に演じました。主人公の長男ビフに舞台や映像で独特の存在感を示し、長塚らと結成した「新ロイヤル大衆舎」による『緊急事態軽演劇八夜』も話題を呼んだ山内圭哉。そして次男ハッピーを小劇場からミュージカルまで話題の舞台作品に欠かせない個性派俳優、菅原永二、ウィリーの友人チャーリーに舞台・映像で渋い演技が光る大谷亮介、ウィリーの兄ベンに映像での活躍のほか、『子午線の祀り』など舞台でも存在感が光る実力派俳優、村田雄浩ほか、加藤啓、智順(ちすん)ら初演時の演技が高く評価されたオリジナルキャストが集結した。
さらに新キャストに、所属している演劇ユニット*pnish*での活動だけでなく、舞台、映像、ナレーションなど多方面で活躍する土屋佑壱をはじめ、山本圭祐、佐野瑞稀、浜崎香帆(東京パフォーマンスドール)が加わる。
本公演は2021年1月8日(金)~12日(火)KAAT 神奈川芸術劇場 <ホール>にて上演後、厚木、岩手、松本でも実施される。
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『セールスマンの死』(2018年上演) 撮影:細野晋司
【STORY】
舞台は1950年代前後のアメリカ。かつて敏腕セールスマンで鳴らしたウィリー・ローマンは、60歳を過ぎて得意先も次々と引退してしまい、思うように成績も上がらない。かつてのような精彩を欠いており、二世の社長にはお荷物扱いされている。そんな夫を優しい妻リンダは献身的に支えているが、30歳を過ぎても自立出来ない2人の息子への不満と不安もウィリーの心を押しつぶす。ブルックリンの一戸建て、愛しい妻、自分を尊敬する自慢の息子。一度は手にしたと思った夢は脆くも崩れはじめ、全てに行き詰った最後に選んだ道とは―。

長塚圭史(演出) コメント
理想の座組で時間をかけて作り上げた「セールスマンの死」を再演できることを心より嬉しく思います。新たな出演者と共に、精度を高めてお届けしたいと思います。ウィリー・ローマンは時代が生んだ怪物です。70 年以上経っても全く色褪せないのは誰しもがウィリーの影を抱いているからです。恐ろしいスピードで拡大していく経済と技術に振り落とされた名もなき男の誇り高き人生と、彼と向き合った家族の葛藤。また大きく社会が変質する中でアメリカ現代演劇の金字塔がその普遍性をどのように響かせるのか。ご期待ください。
風間杜夫(ウィリー・ローマン役) コメント
役者人生の中で、幾度かは「この役をやるために今まで時を重ねてきたのではないか」と思う作品に出合えるとすれば、間違いなくその体験をした。その作品が、再演の運びになった。もう一度演じるのではない。この普遍性に満ちた作品世界にもう一度生きるのだ。経済の渦に巻き込まれて、虚栄と現実の狭間に自分を見失いながらも、叫びを孤独の中に塗りこめたウィリーと家族の姿は、遥かな時間と空間を越えて魂を揺さぶられる。失意の迷路をさまよった果てに見たものとは、何か。きっと、大切な何かを届けられるに違いない。現在、世は混沌として未知のウイルスに怯えるばかりで、文化も経済も、発展しているはずのものが手に掴めない。今この時に上演する意味が、また僕を震わせている。
片平なぎさ(妻/リンダ・ローマン役) コメント
初演から2年。再びウィリー・ローマンの妻リンダを演じられる喜びを感じています。またあの愛する家族に会える。そしてまた崩壊してゆくあの家族に心を痛めるのです。
今「ウィズコロナ」が謳われ、働き方や生活が大きく変わってゆく中で、観劇される方々にはどのようなメッセージとして伝わるのでしょう!? リンダとして伝えたい気持ちは、やはり “愛” です。

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