新国立劇場、倉持裕が作・演出する2
021年11月公演『イロアセル』の全キ
ャストオーディションを開催
何かを伝えたり議論していくために意見を述べることと、相手のことを何も考えないまま自分の不満や苛立ちを主張することは全く違うものです。
その思いから、この度、『イロアセル』という作品を選ばせていただきました。初演時は鵜山仁さんが演出を担って下さいました本作を、今回は倉持さんご自身が演出して下さいます。
て下さった方の中からの、役に合ったキャスティングと、何にも縛られず公平でのびのびとした稽古場からこそ、観客を魅了する作品が生まれると信じています。
相変わらずテレビも映画も演劇も、商業的であればあるほど、集客力のある俳優を一人でも多く確保しようと躍起になっています。もちろん利益第一に考えれば、それも間違ったやり方ではないでしょう。
しかし、何事も偏ってはいけません。人気優先で、役に合うかどうかは二の次のキャスティングばかりでいいわけがない。
まず役があり、その人物を演じるのに適した俳優を探す、あるいは俳優自身が演じたい役を見つけて来る、という内容優先の作品も、儲け主義の作品群に負けないぐらい存在しているべきです。
そうでないと「“推し”が出てさえいれば中身はなんでもいい」というお客さん以外は誰も楽しめない作品だらけになってしまいます。
とある島に暮らす住人達の声にはそれぞれ固有の色が付いていて、おかげで口を開けばすぐに発言者が特定されてしまう。ところがある日、住人達は声が無色透明になる場所を発見し……という、匿名性を手に入れたことによって豹変する人間達の物語です。
はじめはまさか自分の戯曲を演出しようとは思っていなかったので、小川絵梨子芸術監督始めプロデューサー達からこれを勧められた時は驚きました。しかし、ネットを中心とした匿名による集団リンチや同調圧力は十年前より激化しているし、このコロナ禍、現実世界でもそうした風潮が露呈しています。そんな今、この作品を再演する意味は大きいと思い、選びました。
あと、冒頭で商業的キャスティングについて書きましたが、別に僕はそれに対抗して、「有名人を使わずにいい芝居を作ってやる」なんて意気込んでいるわけではありません。あなたが有名であろうとなかろうと、この芝居に出演したいと思って下さったなら、また、演じてみたい役が見つかったなら、どうぞご応募下さい。お待ちしております。
SPICE
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