渡辺えりと八嶋智人の名コンビが笑い
を連れて京を目指す! 『喜劇 お染
与太郎珍道中』が開幕へ

2021年2月1日(月)より東京・新橋演舞場にて『喜劇 お染与太郎珍道中』が開幕する。初日前日となる1月31日(日)、同劇場にて初日前会見とゲネプロ(通し稽古)が公開された。

本作は、昭和54年に明治座にて『与太郎めおと旅』という題名で初演、作家の小野田勇が稀代の喜劇俳優・三木のり平とタッグを組んだ、ワケあり男女のドタバタ珍道中である。今回、この名作に挑むのは、渡辺えりと八嶋智人。演出は、今作で大劇場初進出となる寺十吾だ。
初日前会見には渡辺と八嶋、そして西岡德馬と太川陽介が出席し、今の心境を語った。
(左から)太川陽介、八嶋智人、渡辺えり、西岡德馬
会見スタート早々に渡辺は突然席を立ち、スタスタと舞台袖に引っ込む。そして次に姿を現した時には「渡辺」と書いてある自分専用の折りたたみ椅子を持参。「こっちのほうが高さがあるので座りやすいんです」と笑顔を見せる渡辺に「既に珍道中が始まっております」と八嶋がフォローを入れていた。
改めて渡辺は自身が演じるお染について「たぶん20歳くらいの大店のお嬢さま。今年66歳になったんですが、20歳の役を全編通して演じるという生まれて初めてのこととなっています。どうなることか楽しみにしてください」とどこか嬉しそうに語っていた。
八嶋は与太郎という丁稚役。「喜劇、そして珍道中という言葉がタイトルに入っていますので、おもしろくないはずがないように一同頑張っております」と笑いを誘いつつ、自身の役を「ちょっとすっとこどっこいなところがあるが、どうにも憎めないところがある大店の丁稚役です。えりさんが演じるお嬢様とは幼馴染のような関係でもあって。江戸時代はヒエラルキーがものすごくはっきりしているんですが、ちょっととぼけているが故にそんなヒエラルキーを飛び越えてお嬢様と仲良くさせてもらっている役どころです」と解説し、「かつて三木のり平さんがおやりになった役をやらせていただくことで非常に恐縮しております」と大先輩に敬意を示していた。
渡辺えり
渡辺が20歳くらいのお嬢様を演じることについて八嶋は「最後のほうには本当にそういう風に見えてくるんです。稽古が始まる時はそうは思えなかったんですが、本当にかわいく見えてきたんです」と真面目に説明するが、隣から渡辺が「元からかわいいの!」と口を挟むと「もともとかわいいということに今僕が気付いたんです! ……そういうことでよろしくお願いします」と報道陣に修正連絡を入れていた。一方、渡辺は八嶋の立ち回りが見どころだと語り、「元・体操部だったっけ?」と問いかけるが「どこからその情報が出たんですか? 水泳部ですよ!」と交わされ、既に会話自体が“珍道中”となっていた。
西岡は泡手十郎兵衛という浪人役。「この二人とは珍道中をする間に巡り合って、助けたり助けられたりする役どころ」と語り、「かたい、かたい、堅物の浪人役。まさに私にピッタリの役だな、と。そのままやればいいんだなと思っています」というと八嶋が大笑い。
『喜劇 お染与太郎珍道中』舞台写真
西岡は今回実の娘・優妃と父娘役で初共演するということで、「自分のことより娘のことが気になってしまう」と苦笑い。「観察して家に帰ってからダメ出しをしている」とこぼしていた。と言いつつも、周りから見れば親子のやり取りが「微笑ましくて羨ましいです。ニコニコと嬉しそうに観ているんですよ」と渡辺が笑顔で語っていた。
『喜劇 お染与太郎珍道中』舞台写真
太川が演じるのは鳶の半次。「曲がったことが嫌い、おっちょこちょいの頭の役」とコメント。渡辺と八嶋の珍道中ぶりについて「稽古場で八嶋くんがものすごくきついツッコミをすると、えりさんが本気でむっとするんです。結構マズい状態もあったのでなるべく近寄らないようにしていました」としれっと語っていた。
会見の後、ゲネプロがスタートした。
【あらすじ】
江戸時代、指折りの大商人、米問屋「江戸屋」にお染(渡辺えり)という箱入り娘がいました。久兵衛夫婦にとっては一粒種の娘で、わがまま放題に育ち過ぎてのグラマー美女に。蝶よ花よと、金にあかせての花嫁修業、お茶にお花、お琴に三味線、踊りに料理、さらに手習いにと大忙し。
ついでの事に恋の手習いにも精を出して、お出入りの大名・赤井御門守の家中での美男の若侍・島田重三郎と良い仲でした。
ところが、二人の仲を裂く悲しい出来事が起こります。重三郎が京都藩邸へ転勤ということになったのです。追い討ちをかけて、赤井家からお染を妾に差し出せとの無理難題を突き付けられました。
『喜劇 お染与太郎珍道中』舞台写真
お染は、一つには赤井家から逃れるため、また一つには重三郎を追って、京へ旅立つことになりました。過保護で親馬鹿の久兵衛夫婦は、お染に付き人まで付けて京都に送り出すことに。その付き人に選ばれたのが手代の与太郎(八嶋智人)、ドジで間抜けでおっちょこちょい、先輩の番頭・同僚の手代・ずっと年下の丁稚小僧まで日頃馬鹿にされている頼りない人物ながら、すこぶるつきのお人好し、無類の忠義者で、年頃の娘と一緒に旅をさせても、間違いも起こらないというのが与太郎当選の理由ですので、男としてはだらしがない話です。もっとも久兵衛もその点は抜かりなく、出入りの鳶の者、べらぼう半次をこっそり見張り役で跡を追わせる事にしました。
かくて、お染・与太郎は表向きは夫婦という態を取り、五十三次の珍道中が始まるのですが、世間知らずの娘と頼りない手代の二人旅、騒ぎが起こらぬ訳もなくー。
『喜劇 お染与太郎珍道中』舞台写真
『喜劇 お染与太郎珍道中』舞台写真

“喜劇”と銘打っている本作だが蓋を開けると、ドタバタコメディというよりは、むしろしっかりとした物語となっていた。お染・与太郎の道行きが描かれるのとは別で、二人を追跡する山伏二人組(石橋直也・三津谷亮)の動き、さらには十郎兵衛のアナザーストーリーに、謎の男・お役者小僧なども描かれ、厚みと深みを感じさせる見応えのある内容となっていた。
八嶋智人
もちろん笑わせるところは大いに笑わせ、渡辺がその体格を武器に笑いをとれば、八嶋は軽い身のこなしやちょっとすっとこどっこいな性格と行動でさらに笑いを誘う。名コンビぶりを発揮していた。
この日1幕のみ公開されていたが、2幕の展開が気になるばかりだった。
取材・文=こむらさき  撮影=(c)松竹

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