【ライヴレポート】
『DIAMOND FES 2021 AUTUMN
HIPHOP ARTIST in Zepp Yokohama』
2021年11月8⽇
at KT Zepp Yokohama
ヒップホップの強豪勢が勢揃いのライヴイベント『DIAMOND FES 2021 AUTUMN HIPHOP ARTIST in Zepp Yokohama』が、11月8日(月)に横浜・KT Zepp Yokohamaにて開催された。ラインナップはNITRO MICROPHONE UNDERGROUND、ラッパ我リヤ、韻踏合組合、餓鬼レンジャー、KEN THE 390という布陣。90年代中盤からフロアを熱くし続ける彼らだけに、個性際立ちまくりのテンションの高いライヴが繰り広げられた。
■ ラッパ我リヤ ■
トップバッターで登場したのはラッパ我リヤ。DJ TOSHIの鳴らすハードなギターリフに乗って、戦い続ける姿勢をラップする「Big Show」からライヴはスタート。Mr.Qと山田マンが煽り、観客はハンドクラップで応戦する。「日本語ラップ」「RG力学」「邦楽界」と楽曲が披露されていくに連れ、会場の熱気はぐんぐん上昇。ラッパーのARKを呼び込み、Mr.Qの“すごいのやるよ、落とせ!”の声から「Deep Impact」をドロップ。ヘヴィなサウンドがループする中、Mr.Q、山田マン、ARKは攻めのラップをぶちかます。3人は「My way」を拳をあげてラップ。勢いを上げる彼らは「Do The Gariya Thing」を届け、観客を興奮を高めていった。さらに韻踏合組合を呼び込むと「ヤバスギルスキル10 with韻踏合組合」を披露。Mr.Q、山田マン、ARK、SATUSSY、ERONE、HIDADDY、遊戯がステージに並び、強烈なグルーヴを作り上げてラッパ我リヤのライヴは締めくくられた。
■ KEN THE 390 ■
続いてはKEN THE 390が登場だ。自分のスタンスをラップする「Verses」から、「Turn Up」では攻めビートに乗って切れ味鋭いフロウをかましていく。「Clap」ではステージを動き周りマシンガンラップを炸裂。“手を叩いてもらえますか!”“気分を! 拳をあげていきましょう!”と観客をリードし、フロアーをガンガンにアゲていった。MCでは“今日のイベント、これだけ出てて僕が歳が一番下なんです。今日めちゃ楽しみです!”と語り、「真っ向勝負」を披露する。そして、“今日はたくさんの先輩に囲まれて、しかも僕以外グループなんです。これはひとりでやるわけにはいかないんで、頼りになる相方を連れてきました!”と盟友のTARO SOULを呼び込み「We Back」「PASS THE MIC」を立て続けに投下。ふたりはバチバチのラップをぶつけ合い、ライヴのテンションをアゲまくった。TARO SOULとの熱戦のあとは、梅田サイファーのテークエムとともに「BREAK ALL」、さらに韻踏合組合のERONE、ラッパ我リヤのMr.Qと「インファイト」へ。最後に「Overall」をドロップすると、限界を超えて突き進む思いを力いっぱいラップし、ステージを終えた。
■ 韻踏合組合 ■
お次は、大阪の韻踏合組合のライヴ。ソウルフレイバーの「Street Survivor」でこれまでのストーリーをラップし戦いの狼煙を上げると、「マイクリレー」で、SATUSSY、ERONE、HIDADDY、遊戯は強力なマイク回しを見せる。ラテンサウンドの「Sky’s The Limit」「マラドーナ」で賑やかにブチ上がり、会場全体が手を振っての大盛り上がりとなった。彼らの勢いは止まることなく、MIGHTY JAM ROCKをフィーチャーしたダンスホールレゲエチューン「Never Die」で会場を沸かせまくる。MCでHIDADDYが“コールアンドレスポンスの“セイ・ホー”の“ホー”代わりにクラップで返してみて”と新たな考案を実践。どんな状況でもファンと楽しみたいという彼ららしい姿勢の表れだ。まだまだアツアツの彼らは「そろい踏み」「前人未踏」をたたみ込み、観客と一体となって燃えたぎる。ステージに広がって「百戦練磨」をラップし、“行くぞ! 『DIAMOND FES』!”の声から「一網打尽」を披露。メンバーのラップ合わせて観客が手をあげ会場のボルテージも最高潮。最後は“俺らがマイク握れば一網打尽!”の声でステージをばっちりと締めた。
■ 餓鬼レンジャー ■
続いてのアクトは餓鬼レンジャー。現在の彼らは、MCのYOSHI、ポチョムキン、DJのGP、DJオショウ、そしてダンサーのタコ神様というオリジナルなスタイルの5人編成に進化している。YOSHIとポチョムキンがラップする中、タコ神様が素早くしなやかに踊る「TACO DANCE」でライヴをスタート。「ちょっとだけバカ」ではDJオショウのスクラッチが炸裂する。5人が別のベクトルでパワーを発揮しながら、それがひとつの塊となって観客に届くという、他のグループとはまた違う凄味は斬新だ。ゲストにKEN THE 390とTARO SOULを加えて賑やかに「Booyaka!!」を披露し、「MY STYLE IS THE BEST」や「ラップグラップラー餓鬼」では、声の出せないお客さんに変わってDJオショウがコールアンドレスポンスを繰り広げるなど見どころは尽きない。和なフレーバーの「ばってんLINGO」では、DJオショウが踊り、タコ神様がDJブースに立つなど遊び心も満載だ。グルーブ感たっぷりの「MONKEY」、攻めのナンバー「超越&火ノ粉散ラス登龍」と曲を披露し会場の熱気を高め、ラッパ我リヤを呼び込むと「RAP WARZ」を投下。“餓鬼!”“我リヤ!”の応酬が繰り広げられる熱き戦いが展開した。MCでポチョムキンが“僕らは何度も新曲作って、何度もライヴしに来ますんでよろしく!”と声を上げ、ラストチューン「アゲナゲン」へ。ギターサウンドのヘヴィなグルーブで《前進するのみ!》とラップ。音楽をやり続ける想いを観客に伝えて、餓鬼レンジャーのステージは終了となった。
■ NITRO MICROPHONE
UNDERGROUND ■
さぁ、いよいよ大トリのNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの登場。デビュー20周年の2019年に、7年間の活動休止期間を経て復活を遂げた彼ら。DJ HAZIMEがブースに立ち、BIGZAM、DABO、DELI、GORE-TEX、MACKA-CHIN、SUIKEN、XBSがステージに表れると、「LIVE19」で口火が切られる。順々にラップしていく7人は、ギラつき感に渋さが加わっている。「STARIGHT FROM THE UNDERGROUND」でマイクリレーを見せ、「ASAMA 131」で会場をますますヒートアップさせた。「WATACK」ではBIGZAMが“俺が代表して言ってやるぜ、コロナバカヤロー!”とシャウトし、7人で攻めのラップをたたみ込んでいく。「SPECIAL FORCE」のパワー感も圧巻で、まさに凄まじい貫禄だ。「ナンカナイノカヨ」を攻め攻めにラップし観客を楽しませ、「歩くTOKYO」では幻想的なトラックで郷愁と憂いが詰まった思いを伝える。MCでSUIKENが“新曲が出ます。俺ら、これからもマイペースにやっていくんでよろしくお願いします”と話し、“じゃあ、俺らの歴史をやります”と「The Chronicle」を投下。自分たちの歩んできた道をラップすると、最後は「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」をドロップ。ヒップホップクラシックを渾身のラップで観客に届け、大団円でイベントは終了した。
錚々たる面子で開催された『DIAMOND FES 2021 AUTUMN HIPHOP ARTIST in Zepp Yokohama』。長く活動するラッパーの凄味や各アーティストの味の濃さを改めて痛感させられる濃密なイベントだったことは言うまでもない。なお、早くも『DIAMOND FES 2022HAPPY NEW YEAR HIPHOP ARTIST』の開催が、サイプレス上野とロベルト吉野、般若、NORIKIYO、ラッパ我リヤ、呂布カルマという豪華なラインナップを揃え、2022年1月25日にZepp Haneda(TOKYO)にて決定しているので、こちらにも注目したい。
撮影:青木早霞/取材:土屋恵介