伯爵と少佐は「いろんな意味で濃いシ
ーンになりそう」~ステージ『エロイ
カより愛をこめて』中山優貴インタビ
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2023年5月11日(木)~5月14日(日)に東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールにて上演される、ステージ『エロイカより愛をこめて』。1977年に連載を開始した青池保子による同名漫画を原作に、「怪盗エロイカ」を名乗る男色の美術品泥棒が巻き起こすコメディありの怪盗&スパイ活劇が描かれる。
怪盗エロイカこと、ドリアン・レッド・グローリア伯爵を演じる中山優貴にインタビュー。怪盗エロイカこと、ドリアン・レッド・グローリア伯爵を演じる中山優貴にインタビュー。稽古の様子や、W主演となる“鉄のクラウス”という異名を持つ超堅物のドイツ人NATO情報将校、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐役の村田充とのエピソードなどを語ってもらった。
中山優貴
ーーこの取材時点では、稽古も間もなく終盤に差し掛かるところ。手応えはいかがでしょうか?
これぞ『エロイカより愛をこめて』という世界観を作っているところ。お芝居はもちろん、今回は歌も盛りだくさん、パフォーマンスもたくさんあります。初めて台本を読んだときは、歌の多さに驚きました。一瞬、漫画の一コマを描くような場面があったり、逆に舞台ならではの良さを生かすシーンがあったり。原作を知っている方はもちろん、舞台で初めて作品に触れる方も楽しめるはずです。
ーー完成度の高いメインビジュアルに圧倒されましたが、どのように撮影されたのでしょうか。
ありがとうございます! まず、原作を読んで自分なりの伯爵を出していこうと考えて臨みました。僕自身はガンガン前に出ていく性格ではないんですが、伯爵は周りを巻き込み引き連れていくタイプ。普段より自分自身を前に出すことを意識しました。スタッフさんからアドバイスを受けながら、撮られている状態というよりは「撮らせてやっているんだ」という気持ちで臨んでみようと。そうしてみたら、現場で好評なカットが多かったんです。演じる上でも、より前に出ていく気持ちが大事なポイントになってくるんじゃないかと感じました。伯爵を演じる上では、僕にはまだ足りない。この要素に向き合うことによって、役の魅力を深めるためだけじゃなく、自分の新しい一面を出せるようになる気がします。
中山優貴
ーー自分の中にないものを出すのは、お芝居の醍醐味であり難しさでもあるのかと。
そうなんですよね。そういう時は、周りや過去の経験に頼ります。今回でいうと、学生時代にやっていたサッカーの経験を思い出しています。小学校の頃はキャプテンをやっていたんです。ここぞという時は確実に決めなきゃいけない役割だったので、あの時の自分を重ねるのもヒントになる気がします。
ーー伯爵の魅力や、演じる上で特に意識されていることを教えてください。
一番は美しさ。自分が信じるものを追求しているし、自分が良いと思ったものが価値になる。美しさの中に、自分の芯がしっかりあるところは本当に魅力的です。その場にいるだけで、まるで薔薇のような存在感がある。演じる上でも「いるだけで美しい」と周りに思わせるような居方は模索しています。立ち振る舞いはもちろん、少佐との関係性も重要なポイントですね。原作の漫画を読んだときに、少佐がメインのコマでも一緒に描かれている伯爵がとても綺麗なのが印象的でした。
ーー伯爵と少佐の関係も、かなり丁寧に描かれるそうですね。
少佐と伯爵の、特に伯爵にとっての関係性がグッと変わるシーンがあります。戦車も……あります(笑)! 原作を知っている方は「あ、これね!」と思っていただけるはずです。(少佐役の村田)充さんとこれから詰めていくところではありますが、いろんな意味で濃いシーンになりそうです。
中山優貴
ーー村田さんとは2016年の『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’ S SHOW TIME~』以来の共演ですね。
そう、かなりお久しぶりなんですよ。少佐を演じるのが充さんだと知ったときはめちゃくちゃ嬉しかったですね。充さんは、充さんにしかできないお芝居を持っている方。存在感も抜群ですし、何より大人の色気があるんです。充さんならではの雰囲気に影響されて、引っ張ってもらうことも稽古の段階からすでにたくさんあります。
ーー稽古では、どんなやりとりをされていますか?
少佐とは一緒のシーンがたくさんあるので、かなり話し合いを重ねています。原作にあるシーンを演じる時は、演出の児玉明子さんと3人でコミックス片手に位置関係や体の向きを綿密に決めることも。充さんからアイデアをいただきながら、お互いに連携を作っていっていますね。スムーズに稽古ができるよう、充さんがやりやすい空間にしてくださっているのも感じます。充さんからもらうものがたくさんあるので、僕からもたくさん返していきたいです。
ーー伯爵の部下であるジェイムズ(杉江大志)とボーナム(藤原祐規)とは、コミカルなシーンにも期待が高まります。
これはもうシンプルに、楽しいシーンになると思います! 少佐と一緒にいる時とは違う、仲間内での伯爵らしい表情も見せたいですね。ふっきーさんとは、今回が初共演。大志くんは何度か共演しています。ジェイムズにも、大志くんらしさがかなり出ているのではないでしょうか(笑)。
中山優貴
ーー今作の見どころを教えてください。
特に、歌でのやりとりに注目してほしいですね。ソロやみんなで歌うだけではなく、掛け合うように歌う楽曲もあります。伯爵自身の葛藤、相手を想うナンバーが個人的にはお気に入りです。かなりエンターテインメントに富んだ作品になっていて、楽しんでいただける要素がたくさん詰まっています。
ーー原作は1977年にスタートし、長く人々に愛されている作品。中山さんご自身にとって、“不朽の名作”を挙げるなら?
マイケル・ジャクソン。僕が生まれる前からずっと有名で、誰もがどの曲も一回は聞いたことがあるすごい存在です。音楽をやっていたので自然と気になりましたし、先輩からも勧められて聴くことも。組んでいた音楽グループの活動で、アカペラでThe Jackson 5のカバーをしたこともありました。『エロイカより愛をこめて』にも感じるのですが、古くからずっと愛されているものは突出した何かがあるからこそ惹かれますよね。僕の出演を知った先輩たちの中には「青春時代に読んでたんだよ!」って教えてくださる方もいました。知っている方が多かったので、本当にたくさんの人に愛されている作品なんだなと日を追うごとに実感しています。
ーー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
歌ありダンスあり、もちろんお芝居あり! いろんなエンターテインメント要素が詰め込まれた作品です。何より、出てくるキャラクターが魅力的。伯爵と少佐が物語の軸になっていますが、全員の個性がとにかく強く、お気に入りのキャラクターが必ず見つかるはず。見てくださる方の心に刺さるフックがたくさんあるので、ぜひ劇場で体験していただきたいです。キャスト、スタッフ全員で“エロイカより愛をこめて”を作り上げていきます。
中山優貴
取材・文=潮田茗    撮影=池上夢貢

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