L→R MINATO(Dr)、MORRIE(Vo)、“CRAZY”COOL-JOE(Ba)、YOU(Gu) Photo by Hidekazu Maiyama

L→R MINATO(Dr)、MORRIE(Vo)、“CRAZY”COOL-JOE(Ba)、YOU(Gu) Photo by Hidekazu Maiyama

【DEAD END インタビュー】
4枚を聴いて思うのは
“カッコ良いバンドだったと思う”
ということ

全体的にものすごくシンプル、
ダビングも少ないし

1989年にリリースした『ZERO』に対するリスナーの反応に関しては、どのようなものを感じていました?

MORRIE
『shámbara』まではハードロックやメタル的なものが中心にあったバンドが『ZERO』みたいなアルバムを作ったというのは、もともと聴いていた人たちにとっては“前と違う!”と思ったでしょうね。
“CRAZY”COOL-JOE
賛否両論あったと思うけど、いろんな実験みたいなのが入っているアルバムになった気がする。曲調も音の作り方もそうやし。これが一番イギリス寄りと言えばイギリス寄りなのかもしれない。録った場所もイギリスやし。まぁ、イギリスで録るからって、そういう曲を作ったわけではないんやけど。あと、『ZERO』にはポップなイメージがあるね。そういうのを聴いて“今までと違う!?”と思った人はいたかもしれない。でも、そういうふうにしようと思ってやったわけでもないし。ただ単にこの頃は、こういう感じが良かったんやろうね。

『ZERO』は、U2のギタリストのエッジみたいなディレイの付点8分を使った曲もあって、これは下の世代のミュージシャンに影響があった要素だと思います。

MORRIE
付点8分ディレイは「So Sweet So Lonely」でやっていますね。これはシングル曲っていうのもあって、こうなったんだと思います。岡野さんもシングル曲として、そこは考えたでしょうから。でも、当時はU2の影響で猫も杓子も付点8分で、やっている人が本当に多かったんです。個人的には“こういう曲はもういいよ”っていうのが正直なところでした。

このサウンドの手法は効果的に用いるとカッコ良いですよ。

MORRIE
まあね。僕も今でも使いますし。解散したあとに「GOOD MORNING SATELLITE」がシングルでリリースされて(1990年4月発表)、『ふうせん』という映画の主題歌だったんですけど、あれも付点8分で、グルービーで疾走感があるんですよ。でも、『ZERO』に入らなかったボツ曲だったんです。YOUちゃんは20曲弱くらい作ってきたけど、ボツになったそのうちの一曲なんです。

「GOOD MORNING SATELLITE」が当初はボツ曲だったというのは驚きです!?

MORRIE
岡野さんは“覚えてない”って言っていましたけど、この曲を『ZERO』に入れることに関して岡野さんが反対したんです。“付点8分で♪タカタカタカタカ~っていうのはもうやめようよ”と。僕もそれは一理あると思いました。曲はカッコ良いけど、手法としてはもう「So Sweet So Lonely」だけでいいんじゃないかなと。YOUちゃんの中では、もしかしたらそういう意見に関して腹に据えかねるものがあったのかもしれないですけど、最後に『ふうせん』の曲をやるってなった時、あれを出してきました。それで“曲としてはカッコ良いからやろう”ってなったんです。

ということは、「GOOD MORNING SATELLITE」は世に出なかった可能性もかなりあったということですね?

MORRIE
そうなんです。僕は知らないんですけど、シューマッハが勝利するとあの曲のインスト版が流れたらしいですね。

『ZERO』のボツ曲のデモの中には秀逸なものが他にもあるのかもしれないですよ。

MORRIE
解散したあと、僕とYOUちゃんは同じくらいの時期にソロアルバムを作ったんです。『PSYCHICAL ISLAND』(1990年9月発表)というYOUちゃんの1stアルバムで彼は自分でも結構歌っていたんですけど、『ZERO』のボツ曲が入っていましたね。“それ、俺のメロディーやん!”って、びっくりしました(笑)。「I Only Believe in Demons」とかですね。

どこかに眠っているボツ曲が気になります。“リリースしてほしい”みたいな声があがると思いますよ。

MORRIE
いやぁ、メンバーがみんな死んでからじゃないですか?(笑) どんな曲だったか忘れちゃいましたけど。曲って時代性との兼ね合いがあるから、そこが難しいんですよ。当時のことが分からない若い世代は曲の良さだけで自然に聴けるだろうし、それはそれでいいんですけど。

『ZERO』に収録された曲の中から挙げるならば、「So Sweet So Lonely」は今のリスナーが“いい曲!”という反応をするでしょうね。

MORRIE
あのアルバムで一番好きじゃない曲です。
“CRAZY”COOL-JOE
あっ、そう?(笑) 俺は嫌いじゃないけどなぁ。
MORRIE
まぁ、僕のソロでもやっていますけどね(笑)。人気があるのは分かります。メジャー感がありますし。でも、付点8分ですし(笑)、あのコード進行も簡単に言うとU2っぽいじゃないですか。メロディーはまったく違いますけど。

「Serafine」はファンからの圧倒的な支持がありますよね?

MORRIE
たぶん一番人気があると思いますね。
“CRAZY”COOL-JOE
俺も好きと言えば好きだなぁ。これもUKニューウェイブと言えばUKニューウェイブなんやけどね。
MORRIE
『ZERO』の曲は全体的にものすごくシンプルですね。ダビングも少ないし、ロンドンでレコーディングしましたけど、すぐに終わっちゃった記憶があります。

多彩なアイディアや手法が花開いた作品ですね。

MORRIE
花開いたというよりも破れかぶれ的なとことがあったんです。“これで最後じゃないかな?”っていう感じがあったので。MINATOはその前から“辞めたい”と言っていたし、“誰かが辞めたら解散かな?”みたいな気はしていた。そういうのがあったから、“極端にやっちゃおうぜ”みたいな気持ちがあったように思います。
“CRAZY”COOL-JOE
俺はそんなに意識はしていなかったかな? むしろ、“次どうする?”っていうような感じはあった気がするけどね。MINATOはDEAD ENDをやって良かったとは言うてるし。まぁ、この時はこの時で楽しくできたからいいと思う。

解散の予兆はMINATOさんが辞めたいとおっしゃっていたこと以外に、何かありました?

MORRIE
なんかバンド内の感じなんですよ。YOUちゃんは『ZERO』用に作った曲がかなりボツになったりして、僕の記憶ではそれでちょっとやる気をなくしたようなところがあった気がしますね。『shámbara』であそこまで来て、次でもっとガーン!って行ってほしかったんですけど、引いちゃったみたいなところがあって。

『ZERO』のタイミングでレコード会社を移籍しましたよね?

MORRIE
はい。レコード会社を移籍して、宣伝にも力を入れてくれたんですけどね。自分は一般誌のインタビューも受けて、『anan』にも記事が載ったりしましたから。でも、バンドの雰囲気は“いくぜ!”みたいな感じじゃなかったんです。それである日突然“もうやめようか?”と言ったら、みんなも“やめる”って言い出して、“あぁ、やっぱりな”みたいな。

OKMusic編集部

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