【堀込泰行 インタビュー】
音楽的なチャレンジを含んだ
セルフカバーとして伝わってほしい
このアイディアを中心に
まだまだできることはある
新曲の「涙は星屑のように」は今回の編成でレコーディングするという意識はありましたか？ それとも以前からあった曲なんですか？
これは今回の編成用に作ったわけではなくて、もともとこの曲のデモテープがあって、その評判が良かったので、新しく何かを出す時に新曲はこの曲にしょうという話がレコード会社からあったんです。なので今回、僕がこの4人のアレンジにはめてみて…実際はみんなでスタジオに入って作っていきましたが。これ、今回の4人のかたちにどう落とし込んでいくかが結構難しかったというか。曲自体がミドルテンポのバラードだったんで、最初は癖をつけようと思って試行錯誤していたんですけど、結局普通にやるのが一番だってなり、このアレンジになったと思います。
《君は今 見知らぬ誰かの真夜中へ》のところのメロディーが特徴的ですね。
あそこは、個人的にはクラシックっぽいメロディーの動きかなと思っていて。ピアニストが作りそうなメロディーだなって。ただ、アレンジの中にピアノが入っていないっていうことも面白いと思ったりしますね。その部分は僕も自分で作って気に入っています。
この楽曲にも“星屑”が登場しますね。
そうですね。今回、まずセルフカバーする4曲は決めてあって。プラネタリウムでやっていた曲たちなので、星にちなんだ曲が多く、当然というかどの曲にも星が出てくるから、この新曲の歌詞にも星は入れようと。まぁ、星縛りと言いますか。僕の曲って意識しなくても星が出てきがちなんで、星縛りと言いつつ意外とやりやすかったんですけどね。
この曲が1曲目にあることで本当にミニアルバムみたいなとらえ方ができるなと。
本当ですか？ それは良かったです。僕も本当はミニアルバムって言いたいんですけど、僕の権限ではどうにもできないので。言い間違いをずっと繰り返していければ、みんなミニアルバムって呼んでくれるかもしれないですけど（笑）。
この5曲をまとめたEPのタイトルが“星屑たち”なのは納得です。
そうですね。一曲一曲が星屑たちにも聴こえるし、どの曲にも当然登場人物がいて、その人たちの物語が描かれているので、“みんな星屑だよ”みたいな感じで。ここに並んでる曲たちとか登場人物たちを俯瞰するっていう意味で、“星屑たち”っていうタイトルを思いつきました。ちょっと古臭いところがまたいいかななんて感じもして。
星屑“たち”って言ってもらえると、どの過去も認められるというか、仲間もいるみたいな感じがして。
うんうん。確かに単純に“星屑”だとちょっと寂しい感じというか、宇宙の塵のような扱いになってしまうかもしれないけど、“たち”ってつけると、それぞれにそれぞれのストーリーがあるみたいな、そういう肯定感が出ると思います。
そう思います。そして、今回はひとつのチャレンジがあったので、アルバムに向けてのヒントはこのEPの中に含まれているのではないかと想像するのですが。
いろんなヒントは得られましたね。ドラムキットがなくてもリズムは作れるっていうこととか…さっきも言ったけど、これよりも編成を小さくしてももっと面白いものができるとか。あとは、この感じプラス今のサウンドのエッセンスをちょっと混ぜたりすると、またそれはそれで面白いかなとか。次のアルバムはどういうものになるか分からないけど、これを作ってみて、このアイディアを中心にまだまだできることはあるなぁってのは感じましたね。
オリジナルがすごく良いので、セルフカバーってそれを超えられるのだろうかとなりがちじゃないですか。でも、この作品はこの作品として独立した存在という感じがします。
そうやって楽しんでもらうとやりがいがありますね。特にセルフカバーはなかなかね…“もともとのでいいじゃん”って言われがちなところがあるから（笑）。“昔の曲を新しいバージョンで聴いてください”とか、手なぐさみで作ったセルフカバーじゃなくて、音楽的なチャレンジを含んだセルフカバーなんだっていうところが伝わるといいなと思っています。
取材：石角友香
『星屑たち』トレイラー
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