サンボ、ユニゾン、神サイ、PEOPLE
1らを迎えた『HIGH!HIGH!HIGH!』ライ
ブレポートが到着『ROCK KIDS 802
-OCHIKEN Goes ON!!-』にてオンエア

8月9日(水)、10日(木)、FM802が主催する『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by ナカバヤシ』が行われた。当日のオフィシャルレポートが到着したので、お届けする。

この『HIGH!HIGH!HIGH!』は、毎週月~木曜の夜にFM802で生放送中の番組『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-』発のインドアライブイベントで、その初回は2014年。今では縁日のブースなども設置され、大阪の夏の風物詩とも言える存在だが、なんと今回は初の2デイズ開催に! 4年ぶりに会場を『HIGH!HIGH!HIGH!』発祥の地・なんばHatchに戻し、番組同様、FM802のDJ・落合健太郎によるテンポのよい進行のもと、リスナーの“聴きたい”がめじろ押しとなった、2日間、全12組のライブを順に紹介する。
【Day1】
帝国喫茶
帝国喫茶
帝国喫茶
今年の『HIGH!HIGH!HIGH!』は、地元・大阪発の4人組が切り込み隊長。いきなり「愛していたいよ」のアカペラで来場者を覚醒し、感傷的に声をあふれさせれば、FM802の今月のヘビーローテーション「夏の夢は」と、「夜にえて」で走り出す。軽快なビートにのせて描くひと夏の青春、そして衝動は、若者のハートをがっちり。頭上に掲げられた手もそろって揺れる。だが、「じゃなくて」からの中盤も上昇の一途。「燦然と輝くとは」などでギターに鳴かせ、ドラムも躍動。ボーカルもフルスロットルで煽り、観客はクラップでこたえる。さらに赤い車のワードが頭をめぐり、人間味がにじみ出る直球ロック「カレンダー」で頭は心地よく真っ白に。しかもゴールに向けて「季節すら追い抜いて」と「春風往来」で追撃し、その咆哮や疾走感にたくさんの拳はとうとう下ろされることはなかった。終演後、彼らが置いていった高揚感でザワつきが。10月のニューアルバム到着と、続くツアーにも期待が高まるばかりだ。
●imase
imase
imase
豪華なバンドの音色に呼び込まれるようにして姿を現すと、デビュー曲「Have a nice day」でimase印のやさしいファルセットを聴かせ、いっきに自身の音世界へ。さらにFM802の6月のヘビーローテーション「Nagisa」のポップで追い風を吹かせれば、左右に手が振られてこれぞフェス!の光景に。MCでは大阪でのライブがまだ2回目と明かすものの、「行くぞ、大阪!」と、勢いよく呼びかけて「僕らだ」でもっと会場を沸かす。まるで何人もいるかのようなボーカルのミラクルについくぎづけになるが、ここでひと息つくナンバー「でもね、たまには」でチルアウト。フロアから聞こえる「ラララ」とクラップに彼のラップを溶け合わせたら、「18」でもう一度ポップに、軽やかに。またポカリスエットのCMソングであり、Toby Fox、PUNPEEとのコラボレーション曲でもある「Pale Rain」もエモーショナルかつエッジーに体現し、代表曲「NIGHT DANCER」では“踊ろうぜ!”とオーディエンスを揺らして歌わせ、「ユートピア」の多幸感でとどめ。楽しいピアノと変幻自在な歌声で明るく最高潮に達した。
●ねぐせ。
ねぐせ。
ねぐせ。
りょたちが雄叫びを上げ、まずロックで「出会いに乾杯!」をしたら、「スーパー愛したい」で一層ご機嫌に。曲の持つ親しみやすさは4人の様子と重なってアットホームな空気が広がり、最後方の人までスマイルになる。そして本領を発揮するセンチメンタルなラブソングは止まらず、「スウェット」の温もりでほっこりさせたかと思えば、「独占愛」でじわじわ、ひりひりと聴く者を侵食。また、バラード「日常革命」の抑揚には全員が集中して4人を凝視し、ミュートでは思わず立ちすくむ。そんな場面のあとは「愛してみてよ減るもんじゃないし」でギアチェンジし、アップテンポで耳になじむメロディと、青く潔いショートチューンで、観客をもれなくハンズアップの状態に。となれば、ラストは「グッドな音楽を」で「歌えんのか!」(りょたち)と挑発。もちろんファンは受けて立ち、たっぷりと弾んで大合唱&大クラップ。その満足の証しに終了後の拍手が長く続いたのは言うまでもない。
にしな
にしな
1曲目の「スローモーション」から唯一無二の歌声で魅了し、「東京マーブル」などでは舞台上を行き来して、楽しげにも艶やかにも。魅惑のハイトーンは切り裂きもするが癒しもするといった具合で、豊かな才能に目を見張るも、MCはフレンドリーで人となりをうかがわせる。そんな彼女が「フェスを見て作った」という「ケダモノのフレンズ」で映し出すのは、空想も膨らむ物語だが、直後の「U+」では別の鋭い一面。ボーカルも次第に熱を帯び、加えて「ヘビースモーク」、「ワンルーム」の心震わす曲の連続へ。言葉も声もメロディも情感にあふれ、語りとギターで人々を深遠に引き込むと、「クランベリージャムをかけて」で終着。チェキ片手にバンドと響かせるダンサブルでどこかあやしげなこの新曲で、さらに千変万化な姿を強く印象に残していった。ちなみに去り際は「不思議な時間(笑)」と言いながらの飴ちゃんまきタイム。そういった人懐っこさも彼女の人気の理由だろう。
サンボマスター
サンボマスター
7月でデビュー20周年、今回の『HIGH!HIGH!HIGH!』一番のベテランは年月を経ても変わらぬ熱量で今日も圧倒。山口が歌う前から大観衆に発破をかければ、歓声と手拍子が盛大に発生して「輝きだして走っていく」で爆走を開始する。「ヒューマニティ!」のレゲエで夏を感じさせつつ、踊らせて跳ねさせて歌わせれば、2曲で満腹になりそうだが、この先にはじっとはしていられない名曲「青春狂騒曲」と「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」が。あのメロディ、ビート、コールで盛り上がらないわけがなく、山口のギターソロもアジテーションも人々を射抜いて、会場中でピースサインがアップ&ダウン。当然、福島弁でまくし立てるMCも健在で、感情を爆発させて突入する「Future is Yours」では困難な時代に希望ある未来を力強く約束する。そこに投下する「できっこないをやらなくちゃ」と「花束」は突破力を増し、拳が続々と突き上がり、シンガロングも渦を巻いて全員優勝。山口の「愛してる!」も高らかに轟いた。
PEOPLE 1
PEOPLE 1
初日のトリ、ピポ1は、「怪獣」などで出だしから凶暴に。Deuのボーカルもバンドも畳みかけて不敵。ビートやシャウトも刺激強めで、彼らに伸びる手が上下する。3曲でがっちり彼らのペースになると、Itoは「きっといいMCは出切ってるので、僕は歌詞にのせて届けます」と話し、自身のマイクで「魔法の歌」と「GOLD」へ。清涼感も温かみもある声でる晴れやかで突き抜けるポップチューンはムードを一転させ、次は新曲「closer」へ。2声が織り成す展開は多面的でも耳なじみ良好。その勢いで「アイワナビーフリー」と「銃の部品」と続け、オーディエンスも一緒に歌えば鋭利なラップもきまり、拍車もかかって「DOGLAND」のトリッキーさで大衆を征服。彼らの実力を十二分に見せつけた。そして大きな拍手でカムバックしてセレクトするお代わりは「エッジワース・カイパーベルト」。ピカイチの爽快感で回るタオルの花畑を出現させ、存分にぶち上がって1日目は閉幕。興奮のバトンを翌日へとつないだ。
【Day2】
●Tele
Tele
Tele
2日目は「こんにちは。大阪のクソガキども!」というTeleのかわいい憎まれ口で狼煙を上げ、初手は「ロックスター」のしなやかでひとくせある憧憬。心をほぐすボーカルとピアノとビートが空気も柔らかにすると、「私小説」と「夜行バス」でのクラップ、ハンズアップ、ジャンプは一体感が大に。曲の持つ熱も右肩上がりで、緩急をつけて刺す言葉はより強いパワーを持つ。またハンドマイクに変えると、次はTele流の朗らかなラブソング「Véranda」。どこか甘い香りも漂わせ、手を振らせておいてからの「ザマアミロ!」も痛快だ。そこからはバンドサウンドとハイスピードの歌が聴きごたえ満点のアッパーチューンや、葛藤も焦燥もキャッチーに疾走させるポップなナンバーでぐんぐん加熱し、「歌おう!」と「花瓶」で声を合わせて今日の景色を焼きつける。そして最新曲「ことほぎ」のダイナミズムを経ての「鯨の子」でゆったり寄り添い幕引きへ。再び起こったシンガロングは大きな感動を生み出した。
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN
「サイレンインザスパイ」でロケットスタートを切ると、超高速の「10% roll, 10% romance」や華やかな「kaleido proud fiesta」とつなげ、前方は蒸気が上がりそうな盛り上がり。後方も爪先立って3人のトップスピードやグッドメロディを堪能し、「場違いハミングバード」などでは大会場が一つになってさらなる高みへ。血をたぎらせるキレッキレのプレイで息を飲ませ、カオテッィクなフレーズやリリックで大波を立てれば、そこに放つ「シュガーソングとビターステップ」でのハッピーなバウンドはいつも以上。そして斎藤は世代を超えて多くの初対バンを実現した『HIGH!HIGH!HIGH!』について「超いいイベントだな」と口にし、締めくくりは「春が来てぼくら」。きらめくポップで人々を包み、花マルをつけて全8曲を終えた。途中、「年齢が『HIGH!HIGH!HIGH!』なもんで」(斎藤)とジョークも飛ばしたが、百戦錬磨だからこそのステージングは圧巻。若い世代の記憶にも確かに刻まれたことだろう。
Mr.ふぉるて
Mr.ふぉるて
温度も湿度も高めに「どうか幸せで」と繰り返し、最初にファンから歌声を引き出したあとは、「トライアングル」などで次々と青春を鮮やかに描写。観客は時に祈るように聴き入り、時に体を大きく動かしてリズムを取る。また駆け出したくなるバンドサウンドにはポジティブなエネルギーもみなぎって若者をロックオン。「最大の愛を込めて」(稲生)と「あの頃のラヴソングは捨てて」を鳴らせば、会場には拳も手拍子も。舞台がグッと近くなり、思いが通じ合うようなシーンになる。また、「マールム-malum-」でせつなく胸を締めつけたら、今度は「踊れる曲持ってきました」(稲生)と「Promenade」へ。小気味いい3弦にのせられて揺れ、勢いそのままに「シリウス」が始まったなら、耳に焼きつくのは 「君も誰かの一番星」のリフレイン。そして、ついに迎えるラストナンバーは「暗い部屋の中、明るいテレビ」で、その等身大の響きは集まった人たちの心に栄養を補給し、背中をそっと押してくれた。
TOMOO
TOMOO
TOMOO
Day2の折り返し地点をみずみずしい声で潤すのはTOMOO。「夢はさめても」の寂しさも内包する歌詞は可憐なボーカルでポップに昇華し、観客のクラップで完成させるナンバーや「花火ソング」へ。ステップを踏み、跳ねる鍵盤でアッパーに仕立てれば、歌にはパッと光も宿る。するとここで涼しげなモードにと「レモン」を弾き語り。甘酸っぱいストーリーはじわりと浸透して会場を鎮め、これに続くのはスケール感ある「Cinderella」と「夜明けの君へ」だ。曲調は違えど徐々に高ぶる歌声には迫力があり、聴く者を急速に曲の中へ。そして「来るたびに大阪が好きになっていて」と言うと、10月の「MINAMI WHEEL」での来阪も告げ、「オセロ」から「Ginger」へのスパート開始。弾けるリズム、メジャーとマイナーを往来する旋律、ポップコーンのごとく自身もスピンするロック、明るく照らすピアノetc.。その魅力を出し尽くして約40分を完走した。10月の再会も、9月発表のアルバム「TWO MOON」もなんとも待ち遠しい。
●syudou
syudou
syudou
駆け込んで登場すると、バリバリのやる気で暴れまわり、「爆笑」と「アタシ」で襲いかかる。剛速球で投げつける独特のリリックに観客はコールと拳で呼応し、獰猛さも増す一方だ。だが口を開けば気さくで、大阪4連泊も明かしてオープン。そしてヒットチューンの高速ボーカルと彼流ポップネスで気持ちよく手拍子をそろえれば大歓声も上がり、「コールボーイ」では荒ぶる歌声でオーディエンスをとりこにして2度目のMCへ。ここでは「今日、主役を取りに来ていますので!」と野望を語ったうえ、残りは「笑うな!」、「インザバックルーム」、「ギャンブル」というキラーチューンの連投で追い打ちをかける。ささやく瞬間からのバーストで最高潮!と思いきや、もう一段上のスピードと高揚を更新し、体を折り曲げ、叫びを超える叫びで煽りまくって、「これだから大阪はやめられねえぜ!」とフィニッシュ。徹頭徹尾、テンション高く突っ走った今夜のライブは、アーティスト・syudouの存在感をくっきりと示すものだった。
神はサイコロを振らない
神はサイコロを振らない
まずは夏の風を吹かせる「カラー・リリィの恋文」で透明な世界を広げ、よりさわやかに「LOVE」、そしてEDMテイストの「巡る巡る」へ。ハートのハンドサインが頭上を埋め、伸びやかなボーカルに解放されてクラップ&ジャンプが続く。柳田も「炎天下より熱いな(笑)」ともらし、ここからさらに豊かな音像と表情へ。美しい調べで浮かべる夜の情景、全員の大跳躍を誘導するスターっぷり、スタジアムの感触、心の琴線に触れる人気のバラードなどに加え、ほのぼのMCも「宇宙飛行士への手紙」(BUMP OF CHICKEN)の1コーラス付きという贅沢。しかも9月リリースのアルバム「心海」から大阪では初披露の「Division」をプレイする大盤振る舞いもあり、誰もが狂喜乱舞せずにはいられないうえ、「修羅の巷」の重厚感と妖艶さで大詰めまで極上の翻弄。アンコールでもかつてFM802のヘビーローテーションだった「未来永劫」を雄大に奏でてガツンと没入させ、大トリらしい深い爪あとを残した。最後に柳田が放った“最高だったぞ。この景色、絶対に忘れません!”の言葉は、今年「HIGH!HIGH!HIGH!」を訪れたすべての人に通じる思いに違いない。
なお、上記イベントの模様は8月21日(月)~24日(木)21:00-23:48放送の「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-」22時台にてオンエア予定。お聞き逃しなく。
取材・文=服田昌子 撮影=渡邉一生

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