関西の情報番組でおなじみの武田訓佳
が舞台『尼崎ストロベリー』に新加入
、主演・真丸も「間違いなくパワーア
ップ」と“武田効果”に期待大

落語作家の成海隼人による原作小説を舞台化した『尼崎ストロベリー2024』が3月2日(土)から4日(月)まで兵庫・あましんアルカイックホール・オクトにて上演される。同作は、2023年に上演されて全3回が完売となった『尼崎ストロベリー』の再演作。笑いと人情の町・尼崎を舞台に、笑うことで活性化するがん細胞攻撃法「ナチュラルキラー(NK)細胞」の存在を知った主人公の高校生・駿一が、胃がんの母親のためにお笑いに打ち込み、友人とともに漫才コンテストに挑む姿を描いている。
真丸、武田訓佳
●真丸「佐藤太一郎さんがお兄さん的存在、稽古場は和気あいあい」
出演者は、駿一役の真丸、駿一の母親・貴代子役の篠原真衣、さらに春名真依、堀くるみ、井本涼太、桜井雅斗、堀川絵美、佐藤太一郎らが前作から続投。そんななか、『ぐるっと関西おひるまえ』(NHK)、『朝生ワイドす・またん!/ZIP!』(読売テレビ)、『大阪ほんわかテレビ』(読売テレビ)、『熱血!タイガース党』(サンテレビ)など関西で多数のレギュラー番組を持つ武田訓佳がカンパニーに新たに加入。大人になった駿一の婚約者・高野すずという、原作には登場しないオリジナルキャラクターに扮する。
まだ稽古がスタートしていない1月上旬、「初めまして」と自己紹介をし合う真丸と武田の姿があった。ともに大阪を拠点に活動し、真丸は『おはよう朝日です』(朝日放送テレビ)、武田も先述の出演にするなど情報番組ではおなじみの存在であるにもかかわらず、これまで会う機会は一度もなかったという。
真丸
「初演を観ているのでちょっとプレッシャーがあって。メインキャストのみなさん、スタッフのみなさんが続投なので、出来上がった空気があるはず。そんななか「大丈夫かな」という不安も少しあります」と語る武田に、真丸は「キャスト同士に壁がなくて、フラットな稽古場。たとえば休憩時、太一郎さんが「ちょっと寝るわ」と横になったとき、僕らがちょっかいをかけたら「起こすなや!」とツッコミをいれてくれて。そのくだりを2、3回やったあと止めたら「いや、やらんのかい」って。太一郎さんがお兄さん的存在で、良い意味でイジらせてもらったりして。和気あいあいとしています」と雰囲気を説明。
●武田訓佳はしっかり者?「それは“テレビの武田さん”なんです」

真丸、武田訓佳
武田は、同作の脚本、演出を手掛ける木村淳とも初めての「仕事」となる。ただ数年前、武田の所属事務所でひらかれた演技のワークショップで木村から指導を受けた。当時の武田は舞台への出演経験もなく「演技のお仕事を本格的にやりたかったけど、なにも分からない状態」だったそう。そのため、積極的にアピールできる場面はなかったと話す。

ただ、木村は「演技に対して真摯に向き合っていた。その姿勢通り、非常に素直な感情表現が印象に残りました。そのあと、武田さんが出演する舞台を数本拝見しました。いずれも、自分のキャラクターを押し出すのではなく、虚構の世界の中での「私」として存在していました。そこに好感を持ち、今回現場をご一緒する機会となりました」という。
武田は「あれから7、8年が経って、いろんなお仕事を経験したことで当時の素直さが失われていなければ良いのですが」と苦笑いを浮かべつつ、「でも演技に関しては素直なアプローチしかできないですし、自分が感じたままをぶつけてみようと思います」と意気込みを口にした。
真丸は、木村の稽古場での演出について「台本の読み方、役の作り方について気づくことが多い」と話す。「自分が台本を読み込めたと思っていても、もっとその先のことを考える重要性を教えていただきました。たとえば、おかんから病気であることがみんなに告げられる場面。駿一の友人たちはそれを初めて聞いて驚くけど、駿一は事前にそのことを知っているから別の反応をする。初演時の稽古では、その反応の仕方がなかなかうまくいかなかったんです。でも木村さんは答えを言わずに「じゃあ、もしこういうシチュエーションだったら駿一はどう考えると思う?」など、台本に書かれていない場面について考える機会を与えてくれて。そこで自分なりに答えを出していったら、「あ、そういうことか。こういう反応になる」と気づくことができた。役者自身が答えを導き出せるような演出をしてくださるんです」と振り返った。
武田訓佳 1587
武田は情報番組でMCやレポーターを担当することが多いことから、カラッとした明るさと場をちゃんと進行するしっかり者の印象が強い。ただ木村は「『尼崎ストロベリー2024』では、在阪各局の情報番組でのイメージ、あと阪神タイガースの“勝利の女神”ではない、“役者・武田訓佳”を見ることができるのではないでしょうか」と期待を寄せる。
武田は「嘘だあっ!」と照れながら、「MC、アシスタント、リポーターとしていつも時間管理を大事にしているので、きっちりしているふうに見られがち。でもそれは“テレビの武田さん”なんです(笑)。実は、私が演じるすずみたいに砕けた性格でもあって。成人式で寝坊をしちゃったり、ちょっと抜けている部分もあるんです。だけど番組を回す立場だとそういうわけにもいかないですから、いつも気を張って、集中力を高めて過ごしています」と語る。すずという役を通して、武田の素顔をのぞくことができるかもしれない。
●武田訓佳「原作にはないキャラクター、高野すずを作った理由を擦り合わせたい」
真丸、武田訓佳
本番が近づいてきたが、真丸は「武田さんも加わって、間違いなくパワーアップしています」と胸を張る。初演では漫才シーンの演技を通して「笑わせることの大変さ」を実感。「台本自体がおもしろいから「これはウケる」と思っていたんですけど、相方役の井本涼太さんといざやってみたら稽古場がシーンとしたんです。太一郎さんも「いやあ、おもしろくないなあ!」と(笑)。台本がどれだけおもしろくても、演じる人の間合い、言い方で変わってくる。「このネタを見てくれ」「おもしろいですよ」みたいな感じでいくと良くないことに気づきました」という。
そんな真丸が今回、力を入れたいのは普段の生活での会話や仕草。「尼(尼崎)っぽいなあと思われる感じをナチュラルに出したいです。そこを素直に演じることができれば、もっと作品が鮮明になって「関西人はおもろい」となるはず」と力を込める。
武田は「木村さんが今回、原作にはない役を作った理由がきっとあるはず。私の想像が当たっているか、どうか。それを稽古の中で擦り合わせていきたいです」と推察する。さらに「今回は、たくさんの中高生に作品を観てもらうためにクラウドファンディングが実施され、多くの方が支援してくださいました。舞台って、若い人に生で観てもらうのが難しいものでもありますよね。ただ、10代のときに生で舞台が観られるのは本当に素敵なこと。たくさんの方が賛同した作品だからこそ、自分が加わったことでもっと良いものにしていきたいです」と想いを伝えてくれた。
真丸、武田訓佳
取材・文=田辺ユウキ 撮影=福家信哉

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着