【井上実優】歌が自分を変えてくれた
と思っている
またもや音楽塾ヴォイスから新たな歌姫が誕生した。その名も井上実優。さまざまなジャンルを飲み込んだ、他者を圧倒する歌声と表現力、そして、独特の手法で綴る歌詞の創作力、想像力を持つ彼女にたっぷりと話を訊いた。
取材：吉田可奈
初めて歌声を聴いた時、あまりに圧倒的だったので、強めの女性を想像していたのですが…。すごく落ち着いた印象で驚きました。
あはは。よく“歌声のイメージと全然違うね”と言われます。今は19歳なのですが、“19歳らしくない”とも言われます。普段から落ち着いているせいか、怖く見られるらしく、友達からは本当に仲良くならないと話しかけてもらえないです（苦笑）。
本当は話したいタイプなのに？
はい！ でも、私自身も人見知りなので、一歩踏み出すのにすごく勇気がいりますね。
小さな頃から人見知りだったのですか？
そうですね。小学生の頃はあまりにも人見知りが酷くて、知らない人と喋ることさえ嫌でした。ある時、私の歌声を聴いた父親が歌を本格的にやってみたらどうかと言ってきてくれたのですが、人前で歌うなんてもってのほかで。泣きながら嫌がってました。でも、実際に歌ってみるとすごく楽しくて、夢中になっていきました。
そこから音楽塾ヴォイスに通うようになったわけですね。
はい。それからの自分はみるみる変化していったように思います。社交性も付き、中学生になると学級委員にも立候補するようになり、生徒会で全校生徒の前でスピーチをやったり。これは歌う前からは考えられなかったことで。なので、歌が自分を変えてくれたと思っています。
歌詞は当時から書き始めたのですか？
はい。でも、素の私は根暗だし、ネガティブなので、自分が思うことを歌詞にしても誰も共感しないと思っていて…。
すごい明るい声で否定的なことを言いましたね（笑）。
あはは。だからこそ、歌の中ではポジティブでいたいと思ったんです。歌詞は曲からインスパイアを受け、主人公を立てて物語を作っていくように書いていきます。もちろん、私が全ての曲を書いているわけではないのですが、できる限り私の声で曲のストーリーを染めていきたいと思っています。
ちなみに、デビュー曲「Boogie Back」はどのようにして生まれたのですか？
音楽塾ヴォイスの西尾芳彦さんから楽曲をいただいて、イメージするものから歌詞を書いたのですが、いつも“言葉が硬い”とダメ出しされるんです。この曲は“上司へのメールみたい”と言われ、何度も書き直しました（笑）。“本当に19歳なの？”と言われるくらいフレッシュさがなかったようで…。
あはは。それも個性ですよ。歌声からはすごく自由な空気を感じましたが、レコーディングはどうでしたか？
レコーディングも最初は真面目な性格が邪魔をして、優等生的な丁寧な歌い方しかできませんでした。でも、この曲はダンサブルな曲で、強い女性が主人公なので、大人な顔つきで叫ぶように歌うように心がけました。
それはまた普段の素顔とは正反対な感じがしますね。
そうなんです。でも、こういう曲では素顔が出てはいけないので、最後までしっかり演じ切りました。
曲によって“井上実優”が変化していくのですね。
そうですね。初回限定盤と通常盤のみに入っている「Slave」もタイトルの“奴隷”がテーマとなっている曲なのですが、これは恋愛と結び付けて、好きな人のためなら何でもするという、依存性の高い主人公を描いています。
歌い方も「Boogie Back」とは違いますよね。
そうですね。この曲の主人公はより暗くて性格的にも病んでいる…色で言うと黒。そんな大人の女性をイメージしていたので、少し吐息を意識して大人の色香を意識して歌いました。
カップリングの「I will be your love」は、またタイプの異なる曲ですね。
この曲をいただいたのは随分前で…自分の意思で“こう歌いたい”“こう聴かせたい”という自覚が何もない頃だったので、ただ上手く歌えるようにひたすら練習していました。その曲が大事な存在になったのは、ここ数年のことで。歌い続けるうちに、この曲の素晴らしさに気付いたんです。
この曲とともに成長していったのかもしれないですね。
そう思います。そんな思い出深い曲をデビューシングルに入れられるのはすごく嬉しいですね。
しかもこの曲は『ドラゴンボール超』のエンディングテーマという。
実はエンディングに決まったと聞いてから、鳥山明さんの書き下ろしジャケットができるまで絶対に嘘だと思っていたんですよ！（笑）。
なかなか信じられなかったんですね（笑）。
“まさか！”と思っていました。もともと大好きなアニメだったので、夢のようで！ まだオンエア前（取材は3月）なので、早くこの曲のエンディングの映像を観てみたいです！。
これからイベントやライヴなどが増えると、MCなどでこのナチュラルなキャラクターも広まっていくんでしょうね（笑）。
ライヴのMCは緊張して、いつにも増して話すことがとにかく硬くなるんです。まるで挨拶文を呼んでいるかのようなMCになってしまうので、よりナチュラルになれるように頑張りたいと思います。
では、最後に今抱いている将来のビジョンを教えてください。
自分の力で日本武道館ワンマンライヴをすることです。いつか自分が思うセットリスト、舞台構成などで気持ち良く歌えたらいいなと思っています。あと、ハンドメイドが得意なのでグッズなども作ってみたいですね。今はたくさんの夢があるので、ひとつずつ叶えていけたらいいなと思っています。
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