【訃報】歌舞伎俳優・市川左團次さん
(82)

歌舞伎俳優の市川左團次さん(本名:荒川欣也)が、令和5(2023)年4月15日(土)午前3時48分、右下葉肺癌により死去した。享年82。葬儀は、4月20日(木)午前9時30分より家族葬にて執り行われ、香典・供花を辞退する旨、家族からの意向が伝えられている。
『助六由縁江戸桜』意休(2017年3月歌舞伎座) ((c) 松竹)
市川左團次さんは、昭和15(1940)年11月12日、東京都生まれ。三代目市川左團次の長男。昭和22(1947)年5月、東京劇場『寺子屋』の菅秀才で五代目市川男寅を名乗り初舞台。昭和37(1962)年2月歌舞伎座『曽我の石段』の八幡三郎などで五代目市川男女蔵を襲名。昭和54(1979)年2月歌舞伎座『京人形』の左甚五郎、『毛抜』の粂寺弾正で四代目市川左團次を襲名。尾上菊五郎劇団としての世話物に留まらず、時代物、新歌舞伎における重厚な演技に芝居の厚みを加える、歌舞伎界における貴重な俳優。敵役の演技に定評があり、歌舞伎十八番『暫』の清原武衡、『助六』の意休、『実盛物語』の瀬尾十郎、『御所五郎蔵』の星影土右衛門などでは圧倒的な存在感を発揮。『髪結新三』の長兵衛、『らくだ』の佐兵衛、『魚屋宗五郎』の家老浦戸十左衛門や、『盛綱陣屋』の和田兵衛秀盛、『仮名手本忠臣蔵』の高武蔵守師直、不破数右衛門、『夏祭浪花鑑』の釣舟三婦、『身替座禅』の奥方玉の井、『夕顔棚』の爺など、老け役から女方、敵役からユーモラスな役柄を幅広く演じていた。最後の舞台は令和5(2023)年1月国立劇場『遠山桜天保日記』羅漢尊者。平成9(1997)年第十八回松尾芸能賞優秀賞。平成10(1998)年眞山青果賞特別賞。平成23(2011)年旭日双光章。平成28(2016)年度日本芸術院賞。
『夏祭浪花鑑』三婦(2022年7月歌舞伎座) ((c) 松竹)

■尾上菊五郎丈のコメント
本当に突然の報せでしたので、驚きと共にさみしい気持ちでいっぱいです。
今日、左團次さんに会ってきましたが、側にいてお顔を見ているといろいろな思い出が胸にこみ上げてきました。
年代も近いので、小さい時から一緒でしたし、今に至るまで共に数多くの舞台に立ちました。役者としても人間としても明るく優しい、茶目っ気もある、素晴らしい仲間です。
五月、六月の歌舞伎座でご一緒できるのを楽しみにしていました。今はゆっくり休んで欲しいと只々願うばかりです。
尾上 菊五郎
尾上菊五郎 ((c) 松竹)

■市川團十郎丈のコメント
昨日訃報を聞いて、愕然としました。
左團次のおじさまは、私が生まれた時からお世話になった大恩人です。特に『助六由縁江戸桜』で私が初めて助六を勤めた際にも、左團次のおじさまが出て下さいました。その時の感謝はもちろんのこと、舞台で対峙した時のあまりの大きさに驚いた記憶が、今も鮮明に残っています。
もちろん父團十郎とも仲が良く、父と左團次さんが遊ぶ時には私も誘っていただき、可愛がっていただきました。また昨今では、市川宗家としての私に対して、「市川宗家である」ということを左團次さんは行動で示し続けて下さいました。言葉では言い表せない感謝があります。そして昨年十一月、十二月の團十郎襲名では、二か月間お付き合い下さり、倅の
『外郎売』では朝比奈を、私の『助六』ではくわんぺらを、そして十二月の『口上』では襲 名の披露の口上をしていただきました。本当に感謝してもしきれません。私自身はもとより、歌舞伎界にとりましても大変な損失です。この悲しみは、言葉では言い表すことができませ ん。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
市川 團十郎
市川團十郎白猿 ((c) 松竹)

謹んでお悔やみを申し上げます。

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