『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第八回 -
「マルコヴィッチの穴(Being John
Malkovich)」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏:みねこ美根

「私もマキシンとやりたい」
(1999年「マルコヴィッチの穴(Being John Malkovich)」)

 6月というと梅雨。じめっとして気分も晴れない。上着や傘は荷物になるし…。傘というと小学生のころ、帰りの会を終えて、持ってきていた傘を手にして帰ろうと思っていたら、取っ手部分がなくなった私の傘を発見したことがある。ボキッと柄の部分が折れていたのだ。はぁ??何をどうしたらこの部分が綺麗にスパッと折れる?お気に入りの傘だったのに…!犯人は分からずじまい、泣き寝入り。無法地帯の小学校。傘すら守ってくれない。この世に正義なんてないのだ…。子供の私はまた一つ学んだのであった。自分の物、思い出、記憶、大切な人々、自分の頭の中…これらが侵されるのは非常に許しがたい。私にとっては大変な恐怖だ。

 でももし、他人の頭の中に入れたら?他人の大切なものが手に入ったら?スパイク・ジョーンズ監督チャーリー・カウフマン脚本の「マルコヴィッチの穴」はそんな恐怖と好奇心を同時に感じられる映画だ。
 この作品、本当に頭がおかしい!(良い意味で。)まず「穴」がある場所。7階と8階の間にある7と1/2階は、天井が低く、ここにあるオフィスでは皆、腰をかがめて仕事をしている。会社紹介ビデオもなんともへんてこりん、胡散臭い感じがすごい。マルコヴィッチの頭の中に続く穴もなんだかドロドロしていて、とにかく謎につぐ謎設定…しかしここでそれらは最重要事項ではないのだ。それが良い。

 操り人形を操ること、支配、お金を払ってでもマルコヴィッチになりたい人々の成す行列、マルコヴィッチになることで性的倒錯が消えたロッテ、マルコヴィッチと中にいるロッテの二人の視線に興奮するマキシン、何をするかではなく誰がするかが重要なのだろうかという疑問、生きることへの執着、変身願望…。
 外見と中身…人を愛するとき、何を愛するのだろうか。登場人物の動向を見ていると、そんな疑問がわく。はたまた、自分が他人の姿になれたら…?15分だけなら無責任に行動してしまうかもしれない。マキシンのような美女とマルコヴィッチごしに(?)会うのも楽しそう。私たちは自分の体という一つの器しか持ち合わせていないから、逆に囚われてしまっているのかもしれないなぁ。マルコヴィッチ?マルコヴィッチ!のシーンも素晴らしい。他人の潜在意識や思い出は、部外者にとっては、悲しいかな、どうでもよいことなのだ。

 自分をおざなりにして誰かを操るより、自分の姿で満たされたいものだ。でも、どこかにある穴が貴方の頭の中に続いているかも…。雨が止んだら、みんなで穴という穴を塞ぎに行こう。
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指輪:モチーフ…マルコヴィッチ、サルのイライジャの左手、クレイグの操り人形の右手、
穴に入っていく人
音楽:「Future Vessel」 Carter Burwell (オルゴールver. cover)
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。5月にはサウンドプロデューサーの小名川高弘氏と2017年秋から続いている制作作業のなか生まれている楽曲から第二弾「数式」「悲鳴」を発表。みねこ美根 オフィシャルHP

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