〝美根〟『映画の指輪のつくり方』

〝美根〟『映画の指輪のつくり方』

〝美根〟
『映画の指輪のつくり方』
- 第八十回 -
「ジュマンジ」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〝美根〟が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:〝美根〟
立ち向かわなければならない(1995年「ジュマンジ(Jumanji)」)

小学生の頃、図書室でジャケ借りするのが好きだった。絵本の表紙で印象的なものを借りる。モノクロのリアルな絵に不気味な赤い文字で「ジュマンジ」と書かれた表紙は、ドキドキと子供の私の心を掻き立てた。不思議なボードゲームでとんでもないことが現実に起こり出すストーリー。その後少しして、たまたま午後のロードショーを途中から見始めた。ボードゲーム、突然現れる動物たち・・・あれ、これは「ジュマンジ」の映画!?絵本を飛び出してきたリアルな描写の恐怖と、絵本とは違う最後の展開に衝撃を受けたこの作品。クリスマスのシーンも印象なので、今年最後にこの作品を紹介する。

【謎のボードゲーム「ジュマンジ」】

いじめっ子に追いかけられ、父が経営する靴工場に駆け込んだアランは、試作品と機械を誤って壊してしまった。自分がやったと言えないまま、工場を後にしたアランは待ち構えていたいじめっ子たちに怪我を負わされてしまう。ボロボロで帰路に着こうとした時、不思議な太鼓の音が聞こえてきた。音の出どころを探し当て、埋まっていた箱を掘り出すと、ジュマンジと書かれた箱が。

開いてみるとボードゲームのようだった。たまたまアランの家を訪れた友達のサラとゲームを始めようとそれぞれにサイコロを転がすと、真ん中に浮き上がった文字の通り、コウモリが現実に飛び出し、「5か8の目が出るまでジャングルで待て」という駒に進んでしまったアランはゲームボードの中に吸い込まれてしまった。

コウモリに襲われ、逃げ出すサラ。そして時は経ち26年後。空き家となった元はアランの屋敷で、ジュディとピーターの姉弟二人の耳にあの太鼓の音が聞こえてきた。引っ越してきたその屋敷の屋根裏部屋で見つけたのはジュマンジというゲームボードだった・・・という話。

【リアルな恐怖が迫り来る!】

ジュマンジのゲームからは、コマを進めるたびに、猿やゾウ、ライオンに、どでかい蚊、人間を襲う植物、とにかく危険な生き物が現実世界にどんどん出てきてしまう! 家も街もひっちゃかめっちゃか!ゲームを終わらせるためにはゲームに参加している4人のうちの誰かがゴールしなければならない。やばすぎる双六なのだ! ジュディとピーターがゲームを再開したことで、ジャングルから26年を経て脱出できたアランは、すっかり大人の姿に。

心はまだ子供のままなアランを演じるのはロビン・ウィリアムズ。26年間ジュマンジのことを誰にも信じてもらえず、頭がおかしいと思われ続けて一人ひっそり暮らしていたサラもゲームを進めるために、強制参加。コマが進むたびに、一体何がくるんだ・・・という怖さと、家の中に現れ襲ってくる猛獣が、当時のCG技術ではあるんだけれど、距離感やスピード感の描写や、足音といった効果音の使い方が、絶妙にリアルな恐怖を感じさせてくる!結構びっくりするし怖い。

【父と子、後悔しないために・・・】

26年ジャングルで生き延びて現実世界に戻ってきたアランは、自分がいなくなったその後の両親の話、様子の変わった自分の家、廃墟となった父の工場にショックを受ける。ボードゲームを始める前に、父親と喧嘩をしてしまったこと、自分が起こしてしまった工場の事故のことへの後悔がアランの頭をかすめる。

また、アランやサラとともにジュマンジの危機に直面するジュディとピーターは、両親を事故で亡くしていた。二人に対して父親と同じ物言いをしてしまうアランがハッとするシーンや、弱虫だったアランがジュマンジの恐怖に対峙していく、心の成長にも感動する。

アランの厳格な父親を演じたジョナサン・ハイドは、大人になったアランを執拗に追いかけ殺そうとしてくるハンターも演じている! これは今回改めて映画を見て知ったのだが、アランの深層心理というか、乗り越えるべきものを暗示している感じがまた良い。

【迫り来るジャングル!
一体どうなる!?】

途中の動物たちの大暴走のインパクトも半端ないのだが、この得体の知れないジュマンジがもたらす最後の展開もかなり衝撃的で、怖さと感動が入り混じり強く印象に残っている。これでもかこれでもかと危機に瀕する4人のクライマックスも楽しみに、一緒にジュマンジに参加する気持ちで見てみて欲しい。

今回の指輪は、そんなジュマンジのボードゲームと出てくる動物たちを形作りました。ジュマンジがちゃんと開いてボードゲームになるところもこだわりです。蝶番、仕組みを再現するのに頭をかなり使いながら作ったのでそこも必見!

私自身、子供の頃だけじゃなく、大人になってからも、ああしておけばよかった、と罪悪感や後悔を抱きがちだから、いじいじしている子供アランにとても共感してしまうのだが、やり直せない人生を、来年もちゃんと積み重ねて、恐れるものにも立ち向かっていきたい。

今年も一年ありがとうございました。来年もたくさん映画をみて、心を豊かに、音楽も指輪も作っていくぞ!
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音楽:「We Wish You a Merry Christmas」
モチーフ:ジュマンジ、コウモリ、猿、ライオン
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<リリース情報>
■〝美根〟初フルアルバム「焔心の砦」
https://linkcloud.mu/976b2131

▼〝美根〟Link集
https://lit.link/minelink
〝美根〟 プロフィール

ミネ:オルタナティブ・シンガーソングライター。6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2017年より“みねこ美根”名義で本格的に活動を開始し、22年4月に改名。その後も「零れる光」をはじめ、「本当は人魚」「この世界に」など配信シングルを精力的にリリースし、23年11月に待望の1stフルアルバム『焔心の砦』を発表。同年12月には東京・duo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライヴ『A Special Day of Mine 【焔心の砦】』を開催する。〝美根〟オフィシャルSNS

【連載】〝美根〟『映画の指輪のつくり方』一覧ページ
https://bit.ly/37oAaSY

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