気になるワードでディグる! 〇〇なMV

気になるワードでディグる! 〇〇なMV

地下鉄のセットを組んだ星野 源や
京急線を舞台にしたくるりなど、
電車を題材にしたMV

12月に星野 源が電車のセットを使った新曲「Pop Virus」のMVを公開しましたが、他にも電車を題材にしたMVがたくさん思い浮かんだので集めてみました。実際に車内で撮影されたMVもあるので、ロケ地巡りをするのも楽しそうです!

「WENDY」(’16)
/ビレッジマンズストア

名古屋の5人組ロックバンド、ビレッジマンズストアが電車で撮影したMVは、楽曲の歌詞にある《選ばれなかった女の子》の物語をイメージしたパワー漲る作品。浮かない表情の女性がイヤホンで「WENDY」を聴きながら満員電車に乗り込むと車内にメンバーが登場し、水野ギイ(Vo)が至近距離で歌う画はインパクト大! そのまま堂々のパフォーマンスをする彼らに胸を打たれた乗客たちが拳で応える様子はまさにライヴハウスだ。味気のない日々でも、ビレッジマンズストアが鳴らすロックンロールがいつ何時も情熱を呼び起こさせるという彼らからのエールにも受け取れる。

「赤い電車」(’05)/くるり

2005年に“赤い電車”の京浜急行電鉄のテーマソングにもなったこの楽曲は、岸田 繁(Vo&Gu)が監督を務めたMVでも京急線の運転席から見える三崎口駅~品川駅間の走行景色を映し続けるというシンプルでマニアックな仕上がり。途中で岸田がフロントガラスを拭きにくる遊び心に笑いつつ、個人的には“ホームの床の途切れ目がいいな”なんて普段はまったく気にしない発見も。シンプルゆえに、映像と楽曲がしっかり頭に入ってくるのも魅力的で、歌詞の《ファソラシドレミファソー》は発車音であることにも気が付くし、《君の住む街へ ひとっ飛び》の部分に感じるロマンもMVを観る前とじゃ浸り方がまるで違う。きっとこの楽曲を楽しむためだけに京急線に乗りたくなるはず。

「女子かしまし物語」(’04)
/モーニング娘。

今や4児の母親となった辻 希美と、同期の加護亜依の在籍時ラストシングル。14年前の作品ということで、当時のメンバーたちの初々しい姿に懐かしさも半端ない…。女子高校生やOLなどの通学・通勤をイメージした都電荒川線に乗っている画をバックに、各メンバーの特徴をネタにした歌詞通りにひとりひとり紹介していく。藤本美貴はキャリアウーマン設定の歌詞に合せたスーツ姿で、特にラストの間奏のシーンでは誰も目を合せずに乗車しているので、“もしもアイドルじゃなかったら…”と想像もできる新鮮なMVだ。ダンスシーンでは14人のメンバーが並ぶと後ろが全然見えないのも電車ならではのアングル。もちろん辻&加護がセンターのカットも長めに収録!

「How to be a Girl」(’97)
/安室奈美恵

普段電車に乗っているところが全然想像できない安室奈美恵のMVに出てくる電車は、やっぱり普通の電車ではなかった…! まるでファッションショーの控室のようにスタッフやモデル、衣装でごった返す車内をクールに進み、衣装を選んで別車両のドアを開けるとそこはまさにランウェイ。カメラマンや記者、モデルなど外国人のエキストラが多い中でまったく引けを取らない安室の存在感もすごいが、身近な乗り物の電車の廊下をランウェイに見立て、トンネルに入って車内が暗くなるところはショーの舞台裏っぽく演出する発想とセンスにも驚く。気を引き締めたカッコ良いシーンとは別に、ちょっと気が抜けた表情が観られるソロカットにも注目してほしい。

「Pop Virus」(’18)/星野 源

位置情報を使って“感染エリア”に踏み入れると楽曲を試聴できるコンテンツ『POP VIRUS PLAYER』も話題となった星野 源の新曲「Pop Virus」は、MVでもタイトルにちなんで“Pop Virus”に感染した人々が笑顔になっていくというストーリー。山手線、田園都市線で実際に使用されていた車両を使ったセットで撮影されている。車内にはこの曲の収録アルバム『Pop Virus』のジャケ写を思わせる植木鉢が投げ捨てられ、メイクをする女性がいたり、壁はグラフィックアートまみれと普通の電車ならあり得ないことだが、楽曲を聴いた乗客が次々にノリ出すという自由で身軽そうな様子が印象的。楽器を演奏するメンバーがいても浮かないくらいに常識にとらわれない楽し気な空間が存在していて、この光景が電車内だけではなく日本…いや、世界に広がったらどんなに素晴らしいのだろう?という星野の想像力も感じる。

TEXT:千々和香苗

OKMusic編集部

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