L→R マリナティシャン(Ba&Cho)、あししオポチュニティー(Gu)、メイビーモエ(Vo&Gu)、舘 松子莉(Dr)、ミノリンチーノ(Key&Cho)

L→R マリナティシャン(Ba&Cho)、あししオポチュニティー(Gu)、メイビーモエ(Vo&Gu)、舘 松子莉(Dr)、ミノリンチーノ(Key&Cho)

【ぽわん】見え隠れする捻くれた部分
がすごく愛しく感じられる作品

デストロイポップバンドを掲げてきたぽわんが、新メンバーにキーボードのミノリンチーノを迎えて5人体制に! 新体制で挑んだ、前作から約7カ月振りのアルバム『98%J-POP』について話を訊いた。

今年5月25日にミニアルバム『こわれちゃう』をリリースしましたが、リリース後のリスナーからの反響や、ライヴなどを通してどういった手応えを感じていますか?

あししオポチュニティー
僕が加入してから初めての作品だったのですが、ぽわんが素直にバンドというものに向かい合ったアルバムだと思います。みなさん各々の感想や愛着を抱いてるようで、曲の旨味をシンプルな構成で引き出しているのでリスナーの入り込む余地が多かったのだと思います。
舘 松子莉
これまでと違って、『こわれちゃう』はいわゆるロック色の濃い作品になったと思いますが、この作品以降、ぽわんをより“バンド”として認識してもらえるようになったと思います。
マリナティシャン
振り返ると、個人的には2枚目ということで“私が進化してないと!”という謎のプレッシャーとの戦いでした。結果、バンドとしての葛藤や移り変わりを表したアルバムになったと思います。

そんな前作から約半年でリリースとなる『98%J-POP』は、2016年秋に現在の5人体制となって初の作品となるわけですが、どのような作品にしたいと思っていましたか?

メイビーモエ
とにかくその時のぽわんの状態や思考を表現しようという気持ちが強かったので、移り変わる気持ちにも従順に従おうと決めて制作していました。なので、イメージというよりも信念みたいなものを持って作っていたような気がします。ほとんど書き下ろしで、音や歌詞やアレンジの全てに通ずる今作のテーマが“98%のJ-POP感”だったので、曲を作る時にはそこを意識しました。全体的な物差しがしっかりしていたので、7曲全部雰囲気が違うけどまとまりがあるのではないかなと思います。
マリナティシャン
前のツアーが終わってすぐには取り掛かっていて、その時はまだ4人で出すつもりでいました。4人の時点ではデストロイな部分がすごく強かったこともあってアレンジもかなり違ったんですよ。例えば1曲目の「OH!体操着」はもっと狂気じみた曲にしようという方向だったのですが、より分かりやすく伝えるためにもっとポップに変えよう!ということになって。そういった気持ちの変化からキーボードを募集したり、J-POPっぽさを出して理想に近付けていこうという方向に進みました。

ぽわんはもともとは2012年2月に3ピースガールズバンドとして結成されたわけですが、メンバーチェンジを経ていく中でバンドの音楽性としてはどのような変化がありましたか?

メイビーモエ
5人だと音の厚み的にも、私がギターを弾かなくていい曲が増えるので嬉しいです。ギターを弾いてるとどうしても動きに制限が出ちゃうし、私はロックスターじゃなくてアイドルになりたかったから。すごく偏見的に聞こえるかもしれないけど、私にとってはとても重要なことなんですよ。今はキラキラと自由に動き回って、“誰にも掴まれないぜ!”みたいな存在になりたいです。ミニアルバム『こわれちゃう』を作って、そのツアーを回っていなかったら、自分のそういう根本の気持ちにも気付けなかったので、今年1年はものすごく必要な時期だったなと思います。今はもうとにかくワイヤレスマイクが欲しいです!!(笑)
あししオポチュニティー
5人になるまではオーソドックスなロックバンド体制だったので熱量やシンプルさに重きを置いていたのですが、ぽわんとしての表現がポップス然としたものを求めていたのでキーボードの彩りが必要でした。結果、より多くの人に親しんでもらえるようなサウンドになったと思います。

ぽわんの楽曲はさまざまなジャンルの融合的な部分がありつつ、全てキャッチーに昇華されていると思いました。

メイビーモエ
ぽわんの曲を作る時に意識していることがひとつあって、“ほぉ〜ら、J-POPだよ〜!”という顔をして近付いて、一度聴かせたらタダじゃ帰さないっていうところなんですけど。それが良い意味でも悪い意味でも裏切りであり、お客さん的には“こんなはずじゃなかった”みたいな(笑)。J-POPの懐の広さって音楽としてとても魅力的なので、せっかくJ-POP育ちの感覚を持っているなら存分に活かしたいなと思って作っています。
あししオポチュニティー
僕は曲のイメージやメロディーから作ることが多いんですけど、歌詞のテーマなどは曲が運んでくれるような感覚で乗せていきます。どんな曲を作ってもフレーズが頭の中ぐるぐるするようなキャッチーさは心掛けていますね。

「しあわせゲットだぜ」は煌びやかなシンセと疾走感、メロディーの中に入った異国的なフレーズやコール&レスポンスに心が踊る一曲ですね。

メイビーモエ
作り手の思う“しあわせの価値観”で作られる曲はたくさんあるけど、“自分なりのしあわせの価値観を見つけてしあわせになろうぜ!”っていう曲はあまりないなぁと思って。ぽわんの持つピュアで真っ直ぐな部分と、照れ隠しであるイェーイ的な部分がうまく混ざっていていい感じです。この5人で、このタイミングだったからこそできた曲だなと思います。
ミノリンチーノ
最初の1音目から曲に引き込まれるキラキラポップソングで、ぽわんの良いところがギュッと詰まった代表曲ができたと思います。《ぽわん言えるかな?》の部分を友達の名前とかに変えてみんなでワイワイ歌ってくれたら嬉しいですね!
あししオポチュニティー
もともとクラウドファンディングで作るMV用の曲として制作したので、曲から映像がイメージできるということを念頭に置いて組み立てていきました。メビちゃんのアイデア力とぽわんの武器であるエネルギッシュさが結実した傑作なのではないでしょうか。

クラウドファンディングにより実現した「しあわせゲットだぜ」のMVはスマホゲームをオマージュしていて、さらに楽曲を楽しめる映像に仕上がっていますね。

舘 松子莉
撮影が大変だったけどとても楽しかったですね。出来上がりを観てみると、ぽわんの物語が詰まってて泣けました。
マリナティシャン
撮影は屋内と屋外で丸々3日間くらいかけたのですが、監督のイメージにメンバーそれぞれの思い付きを足していくのがすごく面白かったです。完成MVを観て、みんな素で笑っている顔ばかりで。ぽわんは笑顔が似合うな〜と思いましたし、何より参加してくださったみなさんと一緒に作れたことが嬉しいです。個人的にはしあわせをゲットするということで、ずっと食べたかった大きいパフェを食べたりして本当にしあわせでした!
ミノリンチーノ
私はMV撮影自体が初めてだったので、数分の映像を作るだけなのにたくさん移動したり、朝から深夜までスタジオにこもったり、こんなにも人が関わっていて時間も労力もかかっているんだなぁと驚きました。縦型MVなので、ぜひスマホで観てほしいですね。個人的にはモエさんがカフェラテをゲットできず、悔しがるシーンがお気に入りです! 古典的な悔しがり方が(笑)。

ラップ調の「アナーキー・イン・ザ・パンケーキ」はビートとシンセのリフが印象的でした。

あししオポチュニティー
メビちゃんの“ゆるふわラップみたいな曲作ってよ! タイトルは“アナーキー・イン・ザ・パンケーキ”で!”というありがたい無茶振りもあり、個人的に新境地です。タイトルから、やはりここでもぽわんの伝統芸能のオマージュをふんだんに使いました。可愛くてなんか気になってしまうような曲になったかなと思います。
メイビーモエ
あししがたまに私のことをジョン・ライドンと呼ぶので、可愛いタイトルを考えて無茶振りしてあげました!

「モテたぃ。」はゆったりとしたシティポップで、その中に“モテたい!”というコール&レスポンスが入ってきてびっくりしました。こういった良い意味で期待を裏切る思考がぽわんの面白さですよね。

メイビーモエ
最初から期待を裏切る気満々で書きました。なので、歌詞やコール&レスポンスの裏切りの部分から作り、あとからそれっぽくしていったという感じです。個人的にいうとこういう曲調は大好きなのですが、ぽわんではなかなかやりづらいので、やるならとことん裏切らなくちゃ!という気持ちでした。Shiggy Jr.の鍵盤などをやっている植木晴彦さんにアレンジを頼んだのも、自分たちだけでやってしまうと裏切るも何も裏切る前に入ってきてもらえない!と思ったので“一番それっぽく聴こえる感じでお願いします!”と伝えて、やっていただきました。素直に音楽を作れないのがぽわんなんです(笑)。
マリナティシャン
最近流行っているお洒落なシティポップに対して、“私だってシティポップっぽい曲に触れてモテたい!”という曲です。ぽわんにはこの“ぽい”がすごく大事で、そこが持ち味のコール&レスポンスだったり、メイビーモエの歌詞に出てると思います。

キーボードのミノリンチーノさんが入ったことによって、バンドで表現できることも変わったのではないかと思いますが。

あししオポチュニティー
キーボードが入ったことで、リードギターの存在というものを改めて見直す機会になりました。リフやバッキングでも、できるだけ歌やキーボードを引き立てるような役割、でも引っ込み思案にならないように試行錯誤しました。ギターソロは心の中にあるファンタスティックを解放させてあげました。どれも100点です。
メイビーモエ
キーボードアレンジは私が先導してやりました。夢中すぎてどれを自分が考えたのかもう忘れちゃったけど…全部ぽわんっぽくて良い感じになりました。何曲かは辞めたメンバーも手伝ってくれたり、ぽわん愛にあふれた作品です。
ミノリンチーノ
シンセが入った5人のぽわんの音になっているので、コーラスや掛け声など、全員で作ってる音を感じてほしいですね。
舘 松子莉
音作りにかなり挑戦しましたね。スネアひとつでも1曲ずつ丁寧に作っていって、そのせいでドラム録りに時間かかって申し訳なかったんですが…。でも、納得いってます。プレイ的にはシンプルなフレーズを、シンプルにいい音を鳴らすことだけを心掛けました。
マリナティシャン
植木晴彦くんにアレンジしてもらったこともあって今までにない効果だったり、リズムなどの変化の付け方を実践した曲になっています。「モテたぃ。」のベースは苦戦しました。個人的には2番のAメロがお気に入りです。

収録された7曲の中で思い入れのある楽曲や印象深い楽曲は?

メイビーモエ
一番のお気に入りは「アナーキー・イン・ザ・パンケーキ」です! 私の声をこんなにも活かしてくれる曲はなかなかないです。あと、自分じゃ絶対作れないから歌ってて楽しいし。歌詞は「モテたぃ。」が一番気に入っていて、私の自分らしさの中には“ありえないほどのコンプレックス”っていうのがあるんですが、それが存分に出せてるなと思います。
あししオポチュニティー
「OH!体操着」は、まだ4人だった頃に生まれた曲だったんです。その時この曲に足りなかったポップソングとしてのエッセンスが、5人になってアレンジをし直した時にバチッとはまった気がして、とても感動したのを覚えています。この5人でやる意味を感じさせてくれた大切な曲になりました。
マリナティシャン
「勝手にしちゃうぞ♡」ももともと4人の時にあししがデモを作ってきたのですが、車で聴きながらみんなで泣いたのを覚えてます。この曲は98%じゃない2%のほうの成分が一番前に出ているので、これからのライヴでも大切な曲になると思います。“新しいぽわんだ!”と示すために1曲目に持ってきた「OH!体操着」も印象深いですね。
ミノリンチーノ
やっぱり私は「しあわせゲットだぜ」ですね。メンバーとの初顔合わせとして入ったスタジオ日に、“新曲できたからちょっと合わせるね”って聴いたのが「しあわせゲットだぜ」で、私が初めてのリスナーでしたね(笑)。同時期にグループ加入した仲間みたいな感じに勝手に思っています。

7曲全てが違う面持ちで、ぽわんの幅広い側面と探究心が顕著に出た作品だと思います。

メイビーモエ
98%のJ-POPを作ることに成功しました!! 失いかけていた自分らしさも取り戻せましたね(笑)。
あししオポチュニティー
作った時期やテーマもバラバラだったのですが、その好き勝手作った感じが良い意味でJ-POP感を強めていて、絶妙な聴き応えと聴きやすさのバランスに仕上がっていると思います。素直にぽわんらしい作品ができました。今までは音楽の刺激的な部分に興味を抱いていたのですが、この作品を通じて誰ひとりとして置き去りにしない音楽のやさしさにものすごくパワーを感じました。誰も仲間外れにしない、この『98%J-POP』というおもちゃ箱のような作品をこのメンバーと作れたことを愛しています。
マリナティシャン
全曲違う表情を持っていても、やっぱり見え隠れする捻くれた部分がすごく愛しく感じられる作品です。音域の住み分けやキーボードの効果など、今後に活かせる学びもありましたし、バンドの中での自分の役割も見出すことができました。徐々に5人のバランスがとれてきているので、もっと研ぎ澄まして制作やライヴにつなげていきたいです。
舘 松子莉
世の中にはいろんな音楽のジャンル分けがされています。ジャズやロックやメタル…。でも、その中でJ-POPが一番作るのが難しいジャンルだと分かりました。J-POPにカテゴライズされてる人たちの曲をいろいろ聴いたんですが、ほんとによく作られていて素晴らしかったです。

リリース当日からは『みんなでしあわせゲットだぜTOUR』で全国を回り、2月23日には下北沢SHELTERでの『ぽわん祝5歳!5時間耐久ワンマン〜持ち曲全部やります〜』を控えていますが。

あししオポチュニティー
ついに完全体になれた喜び、これに尽きます! 鮮やかでパワフルなサウンドで全国各地のモヤモヤを吹き飛ばしにいきます! その先で5人で作れる音楽と向き合って、さらに捻くれカラフルハッピーな音楽を届けますので乞うご期待!
舘 松子莉
早くみなさんに会いに行きたくてウズウズしてます! 久し振りに行く場所もたくさんあるので、ほんとに楽しみです。5時間耐久ワンマンは…今のところ体力面の不安は考えないようにしてます(笑)。なので、みなさんも体力の心配なんかしないで遊びに来てほしいです!
マリナティシャン
今までのぽわんとこれからのぽわんをつなぐような大事な時間になると思います。ニューアルバムからの全曲ワンマン、今までを知っている人にも新しく聴いてくれる人にもこの先の可能性を感じてもらいたいです。ここからがスタートって気持ちで。そして、何より私たちも心を丸裸にして会いに行くので、ライヴの時間はみんなにも全部ぶつけてきてほしいです! 私たちとしあわせゲットしましょう!
ミノリンチーノ
レコ発含む、遠征、ワンマンライヴ全てが私にとって未知の世界なので全力で楽しみます!! メンバーとのお泊まりもわくわくです! バンドとしてひと皮もふた皮もむけ進化した、ニューぽわんにご期待ください。
メイビーモエ
ぽわんの曲をおかずにして、目の前の君と“超楽しい今”を作りたい! やばい景色、一緒に観よう!
『98%J-POP』
    • 『98%J-POP』
    • HNKR-0002
    • 2016.12.14
    • 2160円
ぽわん プロフィール

ぽわん:2012年結成。東京都を中心に活動するデストロイポップバンド。幾度かのメンバーチェンジを経て、16年秋にキーボードのミノリンチーノが加入し現在の5人編成となる。これまでに5枚の作品を発表。16年12月14日、新体制初となるアルバム『98%J-POP』をした。ぽわん オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • the Homeground
  • Key Person
  • 気になるワードでディグる! 〇〇なMV

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada(PRIZMAX) / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • Yun*chi / 「Yun*chiのモヤモヤモヤ」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • エドガー・サリヴァン / 「東京文化びと探訪」

新着