3ピースガールズバンドCOMezikが初の全国流通盤としてリリースするミニアルバム『他人』は、鋭利に描かれた情景と、サウンドの差し迫った緊迫感が聴く者に衝撃を与える。一度聴けばリン(Ba&Vo)の“ながら聴き、許すまじ!!!”という活力に満ちた言葉に納得せざるを得ない今作について訊いた。
取材:高良美咲
もともとはどのようなバンドを目指して結成されたのかを教えてください。
リン
脳髄のど真ん中を貫きたいという信念は結成当初から変わりません。今もなお。
活動の中でバンドとしての変化はありましたか?
mariya
ペットボトルの分別や、牛乳パックは洗って開いてリサイクル、そういうスタンスを身につけました、最近。って、違うかー!!
初の全国流通盤となるアルバム『他人』は、元気良く始まりを告げる「号令!」、雑踏の音や日常生活での音を取り込んだインタールード「事件発生」「帰宅と虚無」が区切りになって、バンドのさまざまな色をミニアルバム一枚の中にうまくまとめ上げていますね。これは、最初の構想の時点からあったのでしょうか?
リン
お、お前…聴き込んでるじゃねぇか(照)。空箱の中からのツアーを終えてすぐくらいから自分の中のメッセージが明確になってきた部分があって、前よりも一層社会風刺や、日常で陥りがちな怠惰に対する疑念を描きたいと思うようになった。その背景をより聴き手の日常の中に溶かすために、インタールードというか、音楽とは違う空気感をそこに埋め込みたかった。
今作の中で主軸になった曲は?
2010年にリリースしたライヴ会場限定CD『創造的自己破壊』にも収録されている「ETC (Enter The Comezik)」を今作にも収録した理由は? また、再録をしてみてどのような変化がありましたか?
リン
全国津々浦々のみんなにも、エンター ザ カムジックしてほしいと思ったから!!! 圧と深みが増した感じなんだよな。マジレスすると。
現代を風刺的に描いたような「110番」は情景が想像できるのはもちろん、繰り返されるフレーズが多く、歌詞として見た時のインパクトもありました。
リン
自分は、常識をいくら心得ていたとしても、正義と悪の境目が曖昧になってしまう社会が非常に滑稽で、それでいて危険をはらんでいると普段から感じています。まことしやかに“他人は危険”と言っておきながら“助け合え”と言ったり、“僕たちは他人だから”という言葉で誰かを切り捨てることもできてしまう。歌詞の《人混みは都会の景色の一部》という言葉がこの曲の発端で、そこを中心に浮かんだ情景をそのまま歌詞にしました。
「おもちゃ箱」では《造られた子供たち溢れてる》というインパクト大のフレーズも、時折キュートに歌い上げていて、そこがこのバンドの強みだなと実感しました。そんな切れ味が鋭いナンバーが並ぶ中「ラストシーン」はセンチな曲でいい意味で異質でした。
リン
聞き捨てならねぇなあ! 時折ってなんだよ! エブリタイムダヨ! 毎日ガエブリデイダヨ! 「ラストシーン」は“俺もまるくなったなぁ”とかいう言葉が嫌いだから作ってやった。
最後を締め括る「たにんごと」はリンさんの力強い独唱が印象的でした。この後ろに流れているのは波の音ですか?
リン
そうですよ、波の音です。音姫じゃないですよ。本物ですよ。『他人』っていうアルバムの制作が決まってからそれに宛てて書いた曲だから、締め括りにはこれ以外考えられなかった。
『他人』は、どのような一枚になったと思いますか?
リン
社会問題の産物の産物ですね。っていうか「ナイナイナイ」の感想なくない? なくなくないない? ナイナイナイ?
中でも思い入れのある楽曲、印象深い楽曲はありますか?
mariya
「ラストシーン」。ソロを弾いているから。
楽曲は歌のインパクトが強くありながら、各楽器の印象的なフレーズも多かったです。リスナーにはどのように聴いてほしいですか?
最後に、今後の活動などの展望についてひと言お願いします。
リン
ふざけてすみませんでしたけれど、一生やめないっ!
- 『他人』
- RICD-1021
- 2015.03.25
- 1620円
カムジック:3ピース・ガールズラウドロックバンド。2009年、現メンバーで初めてのライヴを行なう。自主音源のリリースだけではなく、自主企画やイベントのゲスト出演問わず、精力的に活動。15年3月25日、初の全国流通盤となるミニアルバム『他人』をリリース。COMezik オフィシャルHP