L→R ばんどう(Ba&Cho)、せつこ(Gu&Vo)、きゃまだ(Dr)

L→R ばんどう(Ba&Cho)、せつこ(Gu&Vo)、きゃまだ(Dr)

【血眼】すごくいいものができて良か
ったと思えるし、今は希望しかない

徳島発のガールズバンド“血眼”(ちまなこ)が、初めてのミニアルバム『whiteout』をリリース。陰りを独自の感性でポップに落とし込んだ同作であり、バンドについてせつこ(Vo&Gu)に訊ねてみた。
取材:高良美咲

まず、可愛らしい見た目やポップなサウンドと反した“血眼”(ちまなこ)というバンド名が気になりました。

他にもたくさん候補があったけど、“血眼になってバンドしようぜ”という意味で“血眼”にしました。よくメタルバンドやハードコアバンドに間違えられます。

もともとはどのようなバンドを目指して結成されたのですか?

メンバー全員高校の同級生で、もともときゃまだ(Dr)と私が他の同級生たちとコピーバンドを組んでいて、卒業と同時にそのバンドが解散したのですが、その後もバンドしたいという気持ちがあったので初めてギターを弾いたり、きゃまだとふたりでスタジオに入ったりしていた時にばんどう(Ba)が加入し、血眼が結成されました。結成当初は特に方向性とかも何も決まってなくて、ただ曲ができたら嬉しい!とかライヴができたらいい!みたいな感じでした。でも、普通の人生を送るのは嫌だから、何かドデカいことができたらいいなぁくらいの気持ちでバンドというものをしてました。

結成からはどのような活動を行なってきたのでしょうか? その中でバンドとしての変化があれば教えてください。

始めは何からやればいいのかも分からず、ライヴもなんとなく楽しくてやってるという感じだったと思います。やっていくうちにいろんなことに挑戦してみたいという気持ちが沸き、地元や全国のコンテスト等にも積極的にエントリーしました。それで得たものはすごく大きかったし、大きな力にもなったと思います。音楽性についてもライヴをやっていく中で、“ただライヴをするバンド”から“雨の日に聴きたくなるバンド”“言葉を降らせるバンド”等といったオリジナリティーも生まれたり。そこからさらに、音楽と生きていきたいという意識も高まったと思います。

4月8日にリリースとなる1stミニアルバム『whiteout』はいつ頃から制作に取り掛かったのでしょうか?

レコーディングをしたのは昨年の11月です。以前自主制作で作った『雨、五月』とは違って、今回は自分たちだけで作るのではなくレーベルの方も加わったり、全国流通といった点で本格的に全国の人に自分たちの音楽に触れてもらえるチャンスだという気持ちが強かったです。

そこで意識したのはどういったところでしたか?

CDが発売されても、自分たちの音楽を聴いたことのない人がほとんどだし、1枚目は一度切りなので、ライヴとはまた違った雰囲気、そこからライヴを観てみたいと思ってくれたら嬉しいなと思っていました。

今作のために書き下ろした楽曲はありますか?

今作のためにというよりかは、今ある曲のために今回のアルバムを作ったというほうが近いかもしれません。全曲を通した上で、『whiteout』というアルバムが意味を持ってひとつの作品になるという感じです。

制作の上で今作の主軸になった曲があれば教えてください。

特にこれと言って軸に置いた曲というものはないけれど、自分の中では最後に収録されている「溶ける」で、これは“物語の最後”というのを意識してます。それまでの曲からの流れや曲間などで、その“物語の最後”がこれからなのかこれまでなのか、感じ方はさまざまだけれど、感じた通りのそれを受け止めてもらえたらいいなと。

「涙のブラウニー」と「青二才」は2013年10月の自主制作音源『雨、五月』にも収録されていますが、再録のポイントは?

どちらも今作に向けての再録でした。まず、「涙のブラウニー」はPVを制作したこともあり、以前よりリアルに歌で情景を描きたいという想いが強かったです。始めのカウントや、2サビ終わりの間奏など、弾き方や歌い方は以前より分かりやすく演奏したつもりだし、歌詞などを聴いて、自由にその光景を思い浮かべてもらいたいです。「青二才」は以前とは違ってテンポもゆっくりで、サウンド的にも変わったと思います。タイトル通りの歌詞で、未来への不安と過去からの束縛から抜け出す希望が同時にあふれた気持ちをより意識して聴いてもらいたいです。

「涙のブラウニー」は浮遊感のあるギターが特徴的で、サビのフレーズも耳に残りました。

他の曲と違って、よく言えば、一番分かりやすい曲なのかなぁと思います。学生の時に作ったということもあり、すごく直球で、正直です。これを混ぜることによって他の曲のよさを、より浮き出せたらいいなと思います。

「八月十日」は6分半超えの大作ですが、ミディアムテンポでも飽きさせない展開でした。

ありがとうございます。実はこれも収録していなかっただけで『雨、五月』ができる前からあった曲でした。なので、情景や季節なども想像しやすく伝わりやすい内容なのかもしれないです。

最後を締め括る「溶ける」も約6分ありますが、最初の1分半はイントロで、さらに今作で一番短い完結な歌詞。間奏などでそれぞれ繊細に鳴る楽器の音も際立っていました。

“物語の最後”、エンドロールを語る曲です。途中の間奏は歌詞だけでは伝わらない感情そのものであり、離れていくものの様子を描いているつもりです。間奏に一番力を入れていると言っても過言ではありません。もともと自分たちの曲には、1番があり2番がありサビがあり終わるというかたちが決まっていて、目のやりどころと言えば歌詞しかないのかなと思ったので、歌詞込みで何か違うやり方で表現してみたいと思ったのが始まりでした。

アルバム全体を通して“雨”というワードが多く、語りかけるような歌詞も印象的でした。

雨は一般的にすごくマイナスなイメージが強いですよね。好きな人も多いけど。私はどちらかと言えば晴れのほうが苦手なので、そういった場面で聴いてほしいというのをすごく願ってます。さっき言った“雨の日に聴きたくなるバンド”“言葉を降らせるバンド”とあるように、雨の音みたいに心地良く包み込める音楽を作りたいといつも思ってます。

同じ歌詞の面で、「ルビースパークス」では他の楽曲で“僕”“君”と言っているフレーズが“私”“あなた”と書かれていたのも気になりました。

普段、映画を観て曲を作ることが多いんですが、「ルビースパークス」は“夢の中に出てきた女の子”という印象が強く、自分の中でこの曲は“僕”じゃないと感じたので、“私”“あなた”という風になっていて、聴いたほうも少し客観的な見方になるのかなと思います。

中でも思い入れのある曲はありますか?

思い入れのある曲は全曲ですが、8曲目の「ハイドランジア」はエンドロール前の曲ということもあり、大切な役目をしていると思います。大人に成り切れず、行き場のない自分を外の世界に連れ出してくれる人が現れるという曲です。“僕”が自分なのか相手視点なのか、その時によって違って、これもまたさまざまな捉え方があります。

今作をリスナーにはどのように聴いてほしいですか?

ライヴもそうだけど、この一枚は一本の映画だと思って聴いてほしいです。さまざまな感情や場面、登場人物、始まりと終わり…それがどんなものなのかは聴いた人にしか分からないけれど、それが人生のBGMの一部になればすごく嬉しいです。アルバム全体を通して、一連の流れをどれだけ自然に聴いてもらえるかすごく考えました。それぞれ違う顔を持っていて、それでも向かっている方向は同じです。一曲一曲別として感じてくれるのもいいけれど、この作品全体で何かを感じてほしいなと思います。

そんなアルバムのタイトルには“whiteout”と名付けられたわけですが、この言葉に込めた思いは?

ホワイトアウト現象というのは、雪や雲などの影響で視界が白一色となり、方向や高度などが分からなくなる上、太陽がどこにあるか判別できなくなる状態のことを言います。一見、最悪な状態ですが、そういった見方ではなく、夢を見ている感覚に似たものを感じてもらいたいです。良く言うと、“先が見えないならどこまでも行ける”という意味です。雨なんかもそうだけど、何事も先ばかり見て急ぐのではなく、違った見方で見るとこの世界はすごくきれいで神秘的なものばかりです。そういった部分にいつも敏感に気付いていきたいです。

制作で挑戦したことがあれば教えてください。

アルバム制作にあたって、自分たちだけが携わっていることではないという時点で、自分的にはものすごい挑戦だったと思います。結果すごくいいものができて、やって良かったと思えるし、そう思うのはまだ早いのかもしれないけど今は希望しかないです。

作り終えてみて、何か発見できたことはありましたか?

やっぱり自分は音楽が好きだということを再確認できたのが一番大きかったです。これから先、何が待っているのか分からない人生だけれど、これだけは続けていきたいし、表現し続けていけたら幸せだと思いました。

リリース後には今作を引っ提げてのツアーを行ないますが、どのようなライヴにしたいですか?

ひとつひとつ意味のあるライヴにしたいです。ツアーもライヴもひとつの物語であり、人生を懸けたものだということを深く考えながらやっていきたいと思います。行ったことのない場所に行くのはすごく楽しみだし、初めて会う人たちもたくさんだし、そういった場所や人に、私たちでしか残せないものを残していきたいです。
『whiteout』
    • 『whiteout』
    • RCSP-0058
    • 2015.04.08
    • 2160円
血眼 プロフィール

チマナコ:2012年8月結成。同年11月に初主催で行なった初ライヴを機に活動開始。活動開始から半年で地元徳島県内県内で開催されているコンテストにてグランプリを受賞し、その後もさまざまなコンテストで功績を残す。15年4月8日にミニアルバム『whiteout』を全国発売する。血眼 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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