【Heli インタビュー】
新作EP『AWAKE』は
“1冊目のノート”のような作品
人の役に立てる
アーティストになりたい
3曲目の「behind the m.i.c」はダンスチューンでちょっと強気な印象もありますが、《君からメールが来た/今度いつ空いてるの?ってきた/隙は見せたくないのに/ちょっと多めの日伝えてしまった私》という人間味のある歌詞や、臆病で背伸びをしている表現があるからこそ、Heliさんのキレのある歌声が深みを持って耳に届きました。
堂々としたサウンドで一見強気な印象に感じると思うのですが、歌詞は意外とそうでもなくて。しっかりと自分を持っているのに、恋愛になったら悩みに悩んでしまう女性を描きたかったんです。ノリのいい曲は勢いだけで歌い上げてしまいがちですが、完全にパワフルな印象だけになってしまわないように意識しています。
歌詞はKanata Okajimaさんとの共作ですね。
私がある程度書いてかたちにできたものをオンラインで話し合いながら、最終的にKanataさんがブラッシュアップしてくだって、作中も展開や世界観の広げ方について教えていただきとても刺激的な制作でした。
「UMU 〜遊夢〜」は《この生の残り香を刻むよ/死ぬまで》というフレーズが印象的で、アーティスト活動を始めてからの漠然とした不安感も投影されている曲に思えました。
「初めてこの曲を聴いた時はトラックのトリッキーさが衝撃的で、どう世界観を広げていこうか困惑しながら作詞を進めていました。同時にこの頃の私は自粛疲れの影響なのか、何に対してもエンジンがかからなくて、制作に取りかかるまでに時間がかかってしまったんです。そんな時に一本のホラー映画を観たのがきっかけで、インスピレーションを受けて歌詞を書き上げました。主人公の男の子が幽体離脱したまま戻れなくなるかも…というストーリーが当時の私の無気力な部分と重なって、自分も幽体離脱して何処かへ行ってしまいたいという想いを込めています(笑)。この曲の世界観は少し本来の自分と似ているような気がしていて、激しい曲だけど、歌っている時はとても心地良いんです。良くも悪くも破壊的で開放的な一面が、家にいる時の私みたいにも感じます(笑)。
「Brand New Me」はUTAさん作曲ですが、最初に楽曲を聴いた時はどのように感じましたか?
プロデューサーのUTAさんにトラックを作っていただくところから立ち会ったのですが、まだ歌詞がついていない状態なのにもかかわらず自然と鳥肌が立ちました。何かを切り開くようなメロディーが迷うことなくこの曲のテーマへと導いてくれた気がします。
アコースティックのやさしいサウンドにのせて、Heliさんがどんな想いで音楽活動に取り組んでいるのかが伝わってくるような楽曲でした。
この楽曲は中学生3年の終わり頃に作詞しました。高校受験も終わり、残された中学生活の中で、新しい高校生活がはじまるドキドキと、Heliとして本格的に活動していくぞ! という覚悟がテーマです。自分にとっても応援歌のような曲で、頑張っている人、新たなことを始める人への励まし、あるいは逃げ道になれるような、心に寄り添えるような曲になれば嬉しいです。
「Balloon」は柔らかな楽曲ながら葛藤が詰め込まれた一曲に感じました。声高らかに歌うことで自分を奮い立たせているような印象がありますが、どんな想いを詰め込みましたか?
「Balloon」はすごく難しい曲でもあり、一番思い入れの強い楽曲でもあります。家族や自分自身の葛藤などをリアルに書き下ろした楽曲なので、構成や表現の方法にとても悩みました。タイトルの“Balloon=風船”にも自分のさまざまな部分を重ねています。
今作『AWAKE』はHeliさんにとってどんな作品になりましたか?
“1冊目のノート”のような作品です。『AWAKE』を制作していく中でいろんなことを学びました。インプットしたものをひたすら演習し、最後の1ページまで余ることなく今の等身大の私が書き込まれた大切なノートだと思っています。
Heliさんが思い浮かべるアーティスト像ってどんなものですか?
私は人の役に立てるアーティストになりたいと思っています。私の音楽で誰かの心を動かしたり、良い影響を与えられるような役割も果たしたいし、自分の音楽やエンターテインメントを通して、SDGsにも取り組んでいきたいです。昔からニュースをよく観ていて、歌手になりたいという想いを固める以前から、“自分は将来、貧困な国の子供たちと関わって必ず貢献できることをやるぞ!”という漠然とした想いを抱いていたんです。自分の音楽を活かして、どのような活動をしていくのかが課題だと思っています。
取材:千々和香苗
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配信EP『AWAKE』2021年9月30日配信開始
- ※各ストリーミングサービス/ダウンロードサイトにて配信
ヘリ:大阪出身のソウル、R&Bをルーツに持つ17歳のシンガー。SNSに投稿した歌唱映像がきっかけとなり2020年から本格的に音楽活動をスタート。同年、PanasonicワイヤレスイヤホンのCMに抜擢された。突き抜けるような伸びやかで力強いヴォーカルスタイルと、Z世代ならではの繊細な心情を綴った歌詞が織りなす楽曲でリアルな葛藤と希望を発信する。Heli オフィシャルHP
「Starting Again」lyric MV
「Brand New Me」MV
「甘風ドライブ」MV
「behind the m.i.c」Studio Live
「甘風ドライブ」Studio Live