平岡優也

平岡優也

【平岡優也 インタビュー】
実話を歌い込んだバラードで、
シンガーとして次のステージへ

音楽活動を始めて10年経ったから
“いい味”が出るようになりました

なるほど。心の流れは分かりました。では、次は歌唱についてうかがいます。バラードをここまでエモーショナルで、なおかつ感情を剥き出しにして歌うのは平岡さんとしては珍しいんじゃないですか?

もちろんきれいな声で歌うこともできたんですけど、この曲は“そういう気持ちなのか?”と疑問が生まれた時に、温度のない感じで歌っちゃダメだと思ったんです。“ソングレター”という手紙を歌にして届けるんだから活字で届けるわけではないし、言葉ひとつ、語尾ひとつにしてもエモーショナルな感じで届けたくて。確かにこれまでのバラード曲とは違う歌い方だったと思います。

平岡さんが曲の中にどっぷり入り込んで歌っているところに一番驚かされました。

(手を叩きながら)おぉ〜! 嬉しい。

平岡さんは聴き手が想像する余白を残したいがために、曲にあまり入り込まないようにして、メロディーも歌もきれいな声で届けることが多いと思うのですが、今作はそれとは真逆なんですよね。歌に入り込み、声も感情的なのでちょっと粗めというか。こんな平岡さんはあまり聴いたことがないと思ったんです。

そうですよね。ただ、それでいいと思うんです。音楽活動を始めて10年経ったからか、今はこうやって粗めに歌っても“いい味”が出るようになりました。歌い手として、きれいなだけで終わっていく歌はもういいだろうって(笑)。

なるほど。それは大きな変化かもしれませんね。

歌い手として次のステージへ行き、次の引き出しをどんどん開けていきたいんですよ。今作の歌のディレクションをやってくださっている方はこれまでと同じ方なんですけど、この曲を録る時は厳し目なディレクションをしてくださって。それもあって次のステージに行くことができたのかなと思いますね。

Dメロの《伝えたい言葉を 空まで届けるよ》のあとのロングトーンで歌い上げているところとか、ディレクションで引き出されたのかもしれないですね。ここの歌唱も驚かされました。

あははは。実はこういう僕もいるんです(笑顔)。

ロングトーンがパンッと途切れて、音がサイレントになるところはドラマチックで。そのあとの落ちサビ前で転調を入れているからこそ“ありがとう”の繰り返しが明るい感じで届くところは、よく考えて曲が作られているなと思った部分でした。

ありがとうございます。この曲は2番のサビをあえて入れずにDメロがあって、間奏を挟んで落ちサビ、大サビと展開しています。だから、曲構成もこれまでと違うんですよ。僕はバラードを作るとテンポもかなりゆっくりだから一曲が長くなりがちで(笑)。曲の尺が5分とかになっちゃうんですよ。そういうことも考えて、バラードをコンパクトにするという挑戦も含めてこの構成にしてみました。2サビはないけど、伝えたいメッセージはしっかり伝えることができたと思います。

曲のアレンジはピアノとストリングスがメインになっていましたが、これは平岡さんからのリクエストですか?

そこはプロデューサーも含めてですね。「H」(2021年9月発表の配信シングル)という曲もそうでしたけど、ピアノのバラードは余計な楽器をあまり入れないほうがいいんです。なので、この曲もピアノとストリングスというかたちになっていまして。アレンジャーさんがいろいろ考えてくださったんですよ。今回のストリングスはあえて左右にバイオリンが1本ずつあり、真ん中にビオラという構成で組んで生音で録りました。

特殊なスタイルの弦楽器三重奏だったのですね。歌のレコーディングで何かいつもと違うことはありましたか?

いつもはレコーディング当日にスタジオで声出しも兼ねて2回ほど通しで歌うんですが、今回は5回くらい歌って、体力的に大変だったんですよ(笑)。それはたぶん声作りという部分で、あえて声を枯らせるためだったのかもしれないです。あの作業が今作のかすれ気味の声を作ってくれたのかなと思いますね。

こういう平岡さんも本当に珍しいし、これが泣きの声となって今作ではよりリスナーのメランコリックな感情を呼び起こしていくと思いますよ。

ありがとうございます!

今作はリリックビデオを制作されたんですよね?

僕、リリックビデオは「アマノガワ鉄道」(2020年8月発表の配信シングル)以来だと思うんですけど、曲の歌詞のワードを見てもらうにはリリックビデオが一番いいと思いまして。欲を言えば、この曲は感動的な映画作品のエンディングに流れるような壮大な曲でもあると思うので、そういうタイアップが決まるといいんですけどね!

そして、10月にリリースが控えているミニアルバム『∞ - infinity -』。こちらはどんな作品になりそうですか?

今年リリースしたシングルに加えて新曲が2曲入る予定です。新曲はミドルとアップテンポの曲。その新曲の中の1曲が10月から公演が始まる青春系の舞台作品の主題歌に使っていただくことが決まりました! タイアップソングはこれ以外にも4月に出した「春舞」が、リリース後にいろいろなご縁で僕の地元の秋田県にあるノースアジア大学の東北6県で流れるテレビCMに使われることになったんです。なので、「ソングレター」もいつかどこかの映画制作会社さんからオファーがあるかもしれないですよね。

実現したら最高ですね! 続報を楽しみにしております。さらにミニアルバムを提げて11月から東名阪で開催するツアー『平岡優也Tour2022「∞ - infinity -」』はどんなものになりそうですか?

ライヴハウスでの東名阪ツアーは初めてなんですよ。ミニアルバムの曲はマストで歌わせていただくので、ぜひお近くの方も遊びに来てください! 2022年はこの東名阪を成功で終わらせて、2023年はもっとライヴの開催地を広げていきたいです。

取材:東條祥恵

配信シングル「ソングレター」2022年8月31日配信 halu records

ライヴ情報

『平岡優也Tour2022「∞ - infinity -」』
11/12(土) 大阪・南堀江knave
11/13(日) 愛知・名古屋sunset BLUE
12/04(日) 東京・代々木LIVE STUDIO LODGE

平岡優也 プロフィール

ヒラオカユウヤ:1992年10月17日、秋田県秋田市出身のシンガーソングライター。観客が撮影した路上ライヴの動画がYouTubeなどにアップされ、そのうちのひとつの動画が瞬く間に900万回再生に到達し、“通行人が足を止める歌声”と話題に。21年10月に1stアルバム『20s』をリリース。22年3月に配信シングル「春舞」を発表し、4月にワンマンライヴ、5月には東名阪での路上ライヴツアーを開催し、6月に配信シングル「ビギナーズ」を発表した。さらに8月に配信シングル「ソングレター」を発表後、10月にミニアルバム『∞ - infinity -』をリリースし、11月からは東名阪ツアー『Tour 2022「∞ - infinity -」』を開催する。平岡優也 オフィシャルHP

「ソングレター」リリックビデオ

OKMusic編集部

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