【PK shampoo インタビュー】
波乱万丈な日々も経て完成した、
新たなスタートとなる渾身の一枚
バンドドリームみたいなものは、
まだちょっと大事にしたいと思っている
「新世界望遠圧縮」は再録になりますが、これも違ったアプローチで聴かせられたらという挑戦だった?
そうですね。3~4年前に録音した曲だったんですけど、これが表題曲のシングルを発売した日にコロナの緊急事態宣言が出て、タワレコが全部閉まるという悔しい想いもしたので(笑)、もう一回やり直そうという気持ちもありました。
コロナ禍で思うように活動できない時期が長く続きましたけど、その間にバンドとしてはしっかり地盤固めもでき、ここから再スタートみたいな気持ちで?
そうですね。それは僕らだけではないと思うんですけど、僕らの場合はそれに加えて、スタッフ陣の一新とか、僕自身が東京に出てきてとか、いろんなことが重なったんで。“気持ちも新たに再スタートしよう!”みたいなところはありますね。
上京してというところで、「S区宗教音楽公論」の歌詞も《西武新宿》と始まったり、歌詞に出てくる舞台も変わりましたよね。
大阪や京都の地名が出てこなくなりましたね。僕、もともと自分の日記を曲にしてるだけなので、それがクリエイティブかと言われると難しいんですが。例えば、僕が年を取ったりとか、大学を卒業するとか、そういうことを全部曲に書いてきたんですよ。人生のライフステージが創作に影響を与えるというより、そのまま歌詞にしたり歌にしているので。リンクしているとかでもなく、そのまま書いてるだけなんです。
ヤマトくんの歌詞はワードの強さがあるから、しっかり風景が見えた上で、そこにある心情や感情に気持ちを乗せることができるし、それをメロディーに乗せて、さらにメンバーがそこにある感情の機微を汲んで音にしてるから、日記だった歌詞が私的なものにならず、バンドでやる意味のある音になっていると思います。
いやいや、メンバーは本当にカスなんで、勘弁してください!(笑) 半分悪口で半分感謝なんですけど、うちのメンバーって全然演奏力がないんですよ。フェスに出してもらっているのに、演奏が途中で止まったりするんです。アレンジの提案力もないし、素人に毛が生えた程度。でも、それくらい愚直にしかできない奴らとやると、僕のやりたいことがめちゃポップに落とし込まれるんです。だから、あいつらとバンドをやっているってわけじゃないんですけど。ポップなメロディーを下手くそなバンドが演奏してるのとか、すごい好きなんですよ。“うまくなりたい”とか“こういう挑戦をしてみたい”という気持ちはもちろんあるし、それはメンバーにもあると思うんですけど、そういう気持ちはあるけど、うまくいっていないっていうのが良くて! 100メートルを全力で走ってるのに、18秒かかっちゃうみたいな(笑)。
ゴールしたら謎の拍手が起きるやつ(笑)。
そうそう(笑)。半分言い訳に近いけど、それでこそバンドだなみたいな部分はあるし、ロマンがあるというか。たまたま学校の同級生だった奴が“バンドを組もうぜ!”ってジャカジャーン!と鳴らしたところから武道館まで行っちゃうみたいな、そういうバンドドリームみたいなものは、まだちょっと大事にしたいと思っているんです。
愚直さも胸に響くところだしね。曲構成とかもセオリーどおりじゃないところにすごい素直な感情があるし、より伝わってくるとういうか。ヤマトくんの曲ってルールをしっかり理解した上で、ルールを無視するみたいな面白さがありますよね(笑)。
確かに(笑)。バースとコーラスしかない曲とか全然あるし、そこにCメロがくっついたみたいな曲もあるし。Bメロをつけるのが恥ずかしいんですよ。Bメロがついてる曲って、なんか売れようとしている感じがあるじゃないですか。(笑)。僕も売れるなら売れたいですけど、Bメロってめっちゃ説明的な気がして恥ずかしいんです。
あははは。初めて聞いたよ、“売れたい奴はBメロをつける”なんて理屈! Bメロをつけてまで売れたくないと(笑)。その点、「SSME」は1分50秒で潔く終わりますからね。でも、曲で伝えたいことはしっかり伝えきっている。
そうっすね。“ええやん、これで”と言う感じです。Bメロの歌詞まで思いつかないし(笑)。
7月からは最新作を掲げての全国ツアーも始まりますが、ツアーへの意気込みはいかがですか?
コロナ前にシングルをリリースして、お客さんが集まってくれるようにもなり、モッシュダイブとかも起こるようになってきて“嬉しいなぁ”と思っていたら、ツアーができなくなってしまったので、もう一回やり直すというか、いろんな意味でリスタートするツアーになるんじゃないかと思っています。あと、うちのバンドって対バンとかだと、しゃべりすぎてめっちゃ押すんです。それも“友達の亀井くんが夕焼け見て感動していた”とか、しょうもない大学時代の話とかで(笑)。ワンマンだとそういうのもなんぼやってもいいんで、それが楽しみです(笑)。
取材:フジジュン
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EP『Pencil Rocket Opera E.P』2023年6月28日発売
From World Wide Web.
『PK shampoo New EP『Pencil Rocket Opera E.P』Release One Man Tour “Pencil Rocket Opera”』
7/07(金) 福岡・DRUM Be-1
7/08(土) 岡山・ペパーランド
7/16(日) 宮城・仙台 CLUB JUNKBOX
7/17(月) 東京・下北沢シャングリラ
7/27(木) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
7/29(土) 北海道・札幌 ベッシーホール
8/06(日) 大阪・大阪城音楽堂
ピーケーシャンプー:関西大学の同音楽サークル出身者により2018年に結成。同年10月にデモ音源『星/京都線』を500枚限定リリースし、11月にはミニアルバム『Kanzakigawa E.P』発表。また、結成した年の9月に『TOKYO CALLING』に出演し、12月にはフジテレビ系列『Love Music』にて特集されるなど早くから注目を集めていた。21年11月にリリースした1stフルアルバム『PK shampoo.wav』はオリコンランキング16位を獲得し、リリース記念ワンマンライヴをバンドの結成地でもある関大前TH-Rホール及び新木場USEN STUDIO COASTにて開催した。23年6月にEP『Pencil Rocket Opera E.P』を、同年12月にはメジャーデビュー作となる EP『再定義 E.P』をリリース。PK shampoo オフィシャルHP
「SSME」MV
【LIVE】「市營葬儀」
in "Don't Trust PK shampoo"
「S区宗教音楽公論」MV