ギャング・オブ・フォーの
『エンターテイメント!』は、
数あるUKポストパンク作品の中でも
最重要アルバムのひとつ

『Entertainment!』(’79)/Gang of Four

『Entertainment!』(’79)/Gang of Four

来週に迫ったギャング・オブ・フォーの日本公演。今回の公演は彼らのデビュー作『エンターテイメント!』の40周年記念として、本作から全曲を演奏するという予定になっている。78年、セックス・ピストルズが空中分解し、その後のポストパンクと呼ばれる時代になると玉石混淆の多くのグループが割拠した。そんな時に現れたのがギャング・オブ・フォーである。自由奔放なリズム隊と鋭いギターカッティングを中心にしたそのサウンドは、後のオルタナティブロックの原型とも言える攻撃的なエッセンスが詰まっていた。PIL、ポップグループらと並ぶUKポストパンクの最重要グループがギャング・オブ・フォーである。

ポピュラー音楽としてのロック

50年代に誕生したロックンロールは、それまでの都会的なポピュラー音楽と違って、ブルース、R&B、カントリーなどのルーツ音楽をベースにした労働者階級の音楽であった。60年代になるとアメリカからボブ・ディランが、イギリスからはビートルズが登場し、ロックンロールからロックへと進化する道筋を作っている。60年代後半にはブルースロックをもとにしたハードロックや、クラシックやジャズをベースにしたプログレッシブロックが生まれ、サイケデリックロックやシンガーソングライターの登場により、ロックは多角的な成長を遂げていく。

当初、ロックを聴くのは若者たちに限られていたが、その若者たちも成長し70年代中頃には社会人となっていた。この頃には、かつての貧乏なロック少年が所得のある社会人となることで、レコードの売り上げは膨大なものとなりレコード会社は巨大化し、マーケティングやタイアップなどを駆使して、売れる音楽が計算され生み出されていく。耳触りの良いAORやフュージョンが主流となり、もはや暑苦しく汗臭いロックなど時代遅れのものになりつつあったのだ。そんなわけで、70年代中期に10代を迎える怒れる若者たちは、聴く音楽がなかったのである。

ポピュラー音楽を破壊したパンクロック

かつて若者の代弁者として存在したロックが、いつしか商売の道具として使われるわけだが、そんな時に相次いで現れたのがパンクロッカーたちであった。若者の反逆的なパワーがニューヨークやロンドンで巻き起こったパンクロックムーブメントで爆発し、ロックは再び息を吹き返す。堕落してしまったロック界に喝を入れるかのようなその動きは、あっと言う間に全世界に広がり、中でもセックス・ピストルズは、音楽的技術は稚拙であったがロックの本質(反逆・自由・否定)をアピールし、多くの若者の心を掴んだのである。ピストルズの登場で、それまでに先人たちが築き上げたロックの方法論は破壊され、次の世代のアーティストは若者たちに向けた新たな音楽を最初から創り上げる必要に迫られた。パンクはロックを破壊するというポピュラー音楽界の革命的な試みであったと言える。

混沌としたポストパンク時代

生きざまそのものがパンクだったピストルズは、たった1枚のアルバムと2年活動しただけで崩壊した。その後のロック界は混沌を極め、見せかけのパンクロックで大手レコード会社に依存する者や、インディーズや自主制作で先鋭的な音楽を極めようとする者など、極端な2極化が進んでいくことになる。

OKMusic編集部

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