オルタナカントリーの
先駆けとなった
エルヴィス・コステロの
『オールモスト・ブルー』

『Almost Blue』(’81)/Elvis Costello

『Almost Blue』(’81)/Elvis Costello

パンク〜ニューウェイヴ文脈で77年に登場したエルヴィス・コステロ。彼のデビューアルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー』はロック史に残る傑作である。実際にはパンクロックではなかったが、「アリソン」をはじめとする名曲群を収めたこのアルバムが、パンクロック嫌いのロックファンをパンクロックに振り向かせるきっかけとなったことは間違いない。今回取り上げる本作『オールモスト・ブルー』は彼の6枚目となる作品で、コステロ作品の中で最も聴かれていないアルバムかもしれない。それは、本作がカントリーのカバー集であり、アレンジも至極まともな正統派カントリーに聴こえるので、特にパンクロック好きには敬遠されたからである。しかしこのアルバム、80年代初頭のヒットチャートがポストパンク、シンセポップ、ディスコなどの音楽で占められていた時に、一部の若者にとってはとても新鮮なサウンドとして受け入れられた。『マイ・エイム・イズ・トゥルー』とは逆に、本作はカントリー嫌いの若いパンクファンをカントリーに振り向かせることとなり、90年代初頭に台頭したオルタナティブカントリー・ムーブメントに大きな影響を与えるのである。

アメリカ音楽に大きな影響を受けた
イギリスのパブロックシーン

イギリスのパブロックシーンは60年代半ばから活況であった。多くのグループやシンガーが、アメリカのソウル、フォークロック、ブルースロック、カントリーロック等のカバーや、それらに似たオリジナルを居酒屋で演奏し人気を博していた。60年代後半からは主にバーズ、ザ・バンド、CSN&Yに影響を受けたアーティストが増えたが、その中でもニック・ロウが在籍したブリンズリー・シュウォーツは大きな人気を集め、大手レコード会社(ユナイテッド・アーティスツ)と契約している。彼らが先陣を切るかたちで、ギャラガー&ライル、グリース・バンド、ダックス・デラックス、ドクター・フィールグッド、グレアム・パーカーなど、パブロックならではのアーティストが次々にデビューする。

パブロッカーとして活動する
エルヴィス・コステロ

コステロはブリンズリーに影響を受け、ブルーグラスやカントリーロックを演奏するフリップシティというグループで演奏を続けるものの芽が出ず、ソロアーティストとして再スタートを切る。そして、ニック・ロウのプロデュースでデビュー作にして名作『マイ・エイム・イズ・トゥルー』をリリースするのである。

『マイ・エイム・イズ・トゥルー』はアメリカのグループでイギリスのパブに遠征に来ていたカントリーロックグループのクローバーがバックを務めることになるのだが、このグループにはのちに大成するヒューイ・ルイスをはじめ、ドゥービーブラザーズに加入するスーパーギタリストのジョン・マクフィーらが在籍していた。このアルバムのレコーディング時、コステロはマクフィーやロウらと、リスペクトするグラム・パーソンズ(バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズに在籍)の音楽について語り合いながら、ひねったカントリーロックアルバムの制作を模索していたようだ。実際、のち(1993年)に発表されたこのアルバムのアウトテイクのひとつ「Stranger in the House」ではマクフィーのペダルスティールギターをフィーチャーし、ストレートなカントリー(ひねりはない)を披露している。

OKMusic編集部

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