ブリティッシュファンクの
源流となった
アベレージ・ホワイト・バンドの
傑作『カット・ザ・ケイク』

『Cut The Cake』(’75)/Average White Band

『Cut The Cake』(’75)/Average White Band

スコットランド出身の、それも白人ばかりのソウル/ファンクグループがアメリカでチャートの1位になることなど、アベレージ・ホワイト・バンド(“平均的な白人バンド”という人を食った名前/以下、AWB)が登場するまでは誰も想像できなかっただろう。彼らの2ndアルバム『アベレージ・ホワイト・バンド』(‘74)に収録された「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」は全米のラジオ局から火がつき、インストナンバーであるにもかかわらず大ヒット、ポップチャートで1位、R&Bチャートでも5位となる。しかし、大ヒットの直前に創設メンバーのロビー・マッキントッシュ(Dr)が、ドラッグのオーバードーズで亡くなるという不運に見舞われる。ファンクグループにとってドラムはグループの要だけに活動の継続が危ぶまれたが、代わりに参加した黒人ドラマーのスティーブ・フェローニはマッキントッシュよりもグルーブ感に長けた重量級プレーヤーで、AWBはさらに飛躍することになる。今回紹介するアルバムは、彼らの3rdアルバムとなる『カット・ザ・ケイク』。チャート的には前作と比べると振るわなかったが、アルバムの充実度は本作のほうが上で、ブリティッシュファンクのみにとどまらないAWBの都会的なソウル感覚は多くの後進グループに影響を与えた。

AWBの結成とその影響

AWBは1971年にスコットランドからロンドンへ上京したアラン・ゴーリー(Ba&Gu)、ヘイミッシュ・スチュアート(Gu&B)、オニー・マッキンタイヤー(Gu)、マルコム・ダンカン(Sax)ロジャー・ボール(Sax)、ロビー・マッキントッシュ(Dr)の6人で結成された。当時、ファンクの元祖として人気のあったジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンを模範にしながら、彼らはイギリスのパブサーキットで徐々に力を付けていった。タワー・オブ・パワーのホーンアレンジなども取り入れながら独自の音楽を構築していく。ジョー・コッカーのバックバンドを務めていたスワンプロックバンドのグリース・バンドがファンク度を増してココモへと発展するのは間違いなくAWBの影響だろう。

余談だが、グリース・バンド〜ココモの流れは、はっぴいえんどからキャラメル・ママ〜ティンパン・アレイへの流れと、偶然ではあるがよく似ていると思う。なお、イギリスには他にもゴンザレス、バッツ・バンド、FBIなどの優れたファンクグループがあるが、それらはAWBに直接的間接的に影響されている。

ボニー・ブラムレットと
エリック・クラプトンのサポート

しかし、他のブリティッシュファンクグループと比べると、ファンクだけでなくポップソウル的な巧みな曲作り(このあたりはダニー・ハサウェイの影響か)のできるAWBが頭ひとつ抜き出ている存在であった。どういう経緯かはよく分からないが、彼らのデモテープを聴いたボニー・ブラムレット(元デラニー&ボニー)に認められ、彼女のソロデビュー作『スイート・ボニー・ブラムレット』(‘73)でリトル・フィートとともに参加することになった。そして、このアルバムでAWBのことを知った療養中のエリック・クラプトンは、自身のカムバック公演(レインボー・コンサート)のオープニング・アクトとして彼らを起用する。

そのあたりから徐々にAWBの名前が知られるようになり、MCAレコードからデビューアルバム『ショウ・ユア・ハンド』をリリースする。このアルバム、出来は悪くないのだが全く売れず、活動拠点をアメリカに移す。運良くアトランティックレコードと契約が成立し、2ndアルバム『AWB』(‘74)をリリースすると、前述のようにこのアルバムに収録された「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」が大ブレイクし、全米チャート1位を獲得する。この少し前にオリジナルメンバーで名ドラマーのロビー・マッキントッシュが亡くなるのだが、後任のスティーブ・フェローニは、マッキントッシュにも増して優れたグルーブ感を持っており、このアルバム以降AWBの音楽はパワーアップしていく。

OKMusic編集部

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