ポップスのヴォーカル・トリオという
イメージを覆す英国時代の
ビー・ジーズの名盤『オデッサ』
バンドだったビー・ジーズ
レーベルとの契約もあっただろう。ヒットメーカーだったバンドが簡単に解散を許されるものではなく、バリーとモーリス、ヴィンス、コリンの4人はロビン抜きで次作『キューカンバー・キャッスル(原題:Cucumber Castle)』(‘70)を出すものの失速し、チャートは振るわなかった。バリーとモーリスの間にも亀裂が生じ、その時点でビー・ジーズは空中分解する。一方のロビンのソロ活動は順調で初のシングルもヒットする。普通なら「俺はもう一人でやっていくさ。奴らのことは知らない」となるところだろうが、兄弟の絆は切れない。バリーとモーリスはよりを戻し、ロビンへ再度結束を呼びかけると、彼もあっさりビー・ジーズに復帰を決めるのだ。だが、ヴィンス・メロウニーとコリン・ピータースンと袂を分かっている。このあたりからビー・ジーズはギブ3兄弟のヴォーカル・トリオにバックバンドがつくという態勢に移行していく。だが、なおも低迷は続く。その時期に自分たちがいずれ活動拠点を米国に移し、驚くべき将来が待っていることを、3兄弟は想像できただろうか。
※余談だが、今やロシアのウクライナ侵攻でしきりと耳にするようになった黒海沿岸の都市、オデッサ(オデーサ)をアルバムタイトルにした理由は分からないが、「マサチューセッツ」「イスラエル」「トラファルガー」…。彼らは地名をタイトルにした曲がなぜか多い。