〝美根〟

〝美根〟

【〝美根〟 インタビュー】
ここから〝美根〟は行くんです。
行かねばなりません!

部屋の片隅で作っていたものが
大きな世界になったのが嬉しい

「本当は人魚」は“生きにくさ”という感覚と向き合える曲だと感じました。

自分の生きづらさの原因、短所とかに関して、“周りがこうだから自分の良さを出せない”みたいな言い訳はしたくないというか。“それならば自分がやりたいことをやれる場所に行く努力をしなきゃいけない”って自分自身に言っている部分もあります。“辿り着けるまでは、私は歩くことができない地上に生まれた人魚でしかない。行きたい場所にもがきながら進んでいくしかない。じゃあ、どうするか?”ということです。周りのせいにしないで、自分で戦っていかないといけない、強さにしていかないといけない。《憧れたのはどこまでも深い青》は、辿り着いた憧れの場所が途方もないところだったりする感覚を描きました。私も音楽を仕事にしながら“どうやったらもっとたくさんの人に届けられるか?”と考え続けているんですけど、表現したいことも果てしなくあるんです。それは“果てのない海の中”みたいな感覚です。

孤独であることを受け入れるさまを描いた「この世界に」も、力強く生きる姿を感じました。

《生きてゆくのさ》からサウンドが広がっていくんです。その前の内省的な部分からの変化、自分の中で広がっていく空間をバンドサウンドでも表現できました。

「syrup」は世の中に対して感じていることが反映されていますよね?

はい。ポリティカルな内容の歌詞に挑戦してみたい気持ちがあったんです。今って自分の信じたいものを信じさせてもらえちゃう気がしていて。情報も私向けにカスタマイズされたものがピックアップされますから。

特にSNSで目にする情報はそうなる傾向があると思います。

そうですよね。全体像がなかなか掴みにくくなっていると思って。自分が信じたいものに流されそうになる中、“どう客観的になって見ることができるのか?”と。そういうことに対する自分自身の反省もあって、この曲が生まれました。

さまざまな切り口の曲がある中、物語性が強い曲にも引き込まれました。先ほど触れた「花言葉」もそういう作風ですが、「バスタブ・タイムワープ」「まぶしい宇宙」「メリーゴーランド」も物語がとてもイメージできます。

物語を描こうと意識していたわけではなかったんですけど、情景を思い描いてもらいやすいものにしたくて、景色とかを描き込んだりしているんです。それがおっしゃったような印象になっているのかもしれないですね。嬉しいことです。

「零れる光」はどのようなことをイメージしながら作っていきました?

これは改名してから最初にリリースした曲だったんですけど、自分の決意表明として書きました。《強く願えば強く光刺す 未来が近づいてくる》は決意表明でありつつも、“一歩踏み出す私と一緒に歩んでもらえたら素敵な未来が待ってるよ”っていうことでもあります。聴いてくれるみなさんへの気持ちも込められていますね。

文字の表記が“光刺す”なんですね。

動的なニュアンスにしたかったんです。“光差す”だと何か違うと思って。

「手を放して」は中学生の時に作ったんですね?

はい。原型みたいなものですが。クリーム色みたいなさわやかな感じの世界観を思い浮かべて書いた曲で、色合いとかはそのままにしながら、歌詞の内容はかなり変えています。

《それを君は 掴んで食べた》《それを僕は 掴んで食べた》という表現が目を引きます。

そこは私も好きなところです(笑)。

(笑)。中学時代の〝美根〟さんと今の〝美根〟さんのコラボの曲ということなのかも。

そうですね。中学の頃の自分が撒いてくれた種を今の自分のやり方で育てて完成させたイメージです。

このアルバムと向き合って、改めてどのようなことを感じていますか?

今の私だから届けられるものを集められました。部屋の片隅で作っていたものが、ここまで大きな世界になったのが嬉しいです。力があると信じて作った曲たちではあったんですけど、スタッフやバンドメンバーの力を借りて、こうしてかたちになりました。楽しみにしてくださるお客さんがいるのもありがたかったです。“届ける人たちがいる”っていうのは、本当に大きかったです。“ここから〝美根〟は行くんです。行かねばなりません!”っていう動力にもなりますし、聴いてくださるみなさんに未来を楽しみにしていただくこともできるアルバムになったと思っています。

今作のリリース後の12 月 3 日には渋谷 duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライヴ『A Special Day of Mine 〖焔心の砦〗』が開催されますね。

はい。レコーディングに参加してくれたメンバーと一緒のバンドスタイルのライヴです。“たくさんのみなさんにライヴを観ていただけるようになりたい”とか、野望はまだまだいっぱいあるので、まずは目の前のワンマンを成功させたいですね。

取材:田中 大

アルバム『焔心の砦』2023年11月10日発売 POWERPOP&Co.
    • PP-MINE006
    • ¥3,300(税込)

ライヴ情報

『A Special Day of Mine 【焔心の砦】』
12/3(日) 東京・duo MUSIC EXCHANGE

〝美根〟 プロフィール

ミネ:オルタナティブ・シンガーソングライター。6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2017年より“みねこ美根”名義で本格的に活動を開始し、22年4月に改名。その後も「零れる光」をはじめ、「本当は人魚」「この世界に」など配信シングルを精力的にリリースし、23年11月に待望の1stフルアルバム『焔心の砦』を発表。同年12月には東京・duo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライヴ『A Special Day of Mine 【焔心の砦】』を開催する。〝美根〟オフィシャルSNS

「花言葉」MV

「電波塔」MV

「この世界に」MV

「syrup」MV

「バスタブ・タイムワープ」MV

「本当は人魚」MV

「零れる光」MV

OKMusic編集部

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