『Nexus』は4人編成となった
ストレイテナーの
真の1stアルバムと言っていい
自信の漲った作品

『Nexus』('09)/ストレイテナー

『Nexus』('09)/ストレイテナー

6月5日のZepp Tokyo公演を皮切りに同世代3バンド、ACIDMAN、ストレイテナー、THE BACK HORNによる東名阪ツアー『THREE for THREE』が始まるということで(6月21日がZepp Nagoya、6月28日が Zepp Osaka Bayside)、今週はストレイテナーを取り上げるみた。いつも以上に個人的な見解が濃い原稿となってしまったのは少し反省しなければならないとは思うが、その分、いつも以上に正直に書いたので、その点をお含みいただければ幸いである。

異例と言える2人編成でデビュー

本稿作成にあたって、初めてストレイテナーのライブを見たのは2001年に行なわれたthe PeteBestとのスプリットツアー『DRAGORUM』だったかなぁ…などと思って、よくよく考えてみたら、それ以前に10-FEETだったかマキシマム ザ ホルモンだったかと対バンしていたのを見ていたような気もしてきた。どうもはっきりしない。未だ2人だった頃のストレイテナーを見ていることは間違いなく、“見た”という記憶はあるのだけれど、それが何時でどんなライブであったのか、まったく思い出せない。当時の彼らにインタビューでもしてその記事が残っていたとしたら、“そうそう、そうだったそうだった”などとなるのだろうが、それもないし、加齢によって短期記憶ですら怪しいのでそもそも如何ともし難いのだが、正直に言えば、筆者自身にとってその時の彼らが興味を惹かれるものではなかったからだと思う。上からの物言いとなってしまって申し訳ないけれども、それはあくまでも筆者だけにとってのことだったとご理解いただきたい。

その印象が少し変わったのは、2004年の『ROCK END ROLL』の時。この年からストレイテナーに取材させてもらうようになり、ホリエアツシ(Vo&Gu)とナカヤマシンペイ(Dr)両名に話をうかがったのだが、メジャーデビューフルアルバム『LOST WORLD'S ANTHOLOGY』から約半年後という短いインターバルで発表された『ROCK END ROLL』に何か熱いものを感じた。流石にどんな話の展開だったのかは記憶にないけれども、当時は未だ“レギュラープレイヤー”という肩書だった日向秀和(Ba)の名前を挙げて“サポートの日向さんとのアンサンブルもこなれてきた感じなんでしょうか?”みたいなことを言ったんだと思う。すると、ナカヤマが間髪入れず、“いや、(日向は)サポートではないですね。もうメンバーの1人です”と言い切った。当時、日向はART-SCHOOLを脱退してZAZEN BOYSのベーシストであったし、正式メンバーとしてバンドを掛け持ちするアーティストがまだそれほど多くない頃だったので(思えば日向はその先駆者だ)、最初は“ほとんどメンバーの1人と言っていいほどのサポートプレイヤーなのだろうな”と思っていたら、本当に正式加入していて少し驚いた。そして、あとになって『ROCK END ROLL』から何か熱いものを感じたというのはそういうことだったのかと妙に納得したものだった。

そこからストレイテナーには彼らがアルバムをリリースする毎に取材させてもらう機会に恵まれ、何度もホリエに話を聞いたのだが、実は彼とのインタビューが大きく盛り上がった印象がない。もちろんそれはストレイテナーやホリエに何か瑕疵があったとかいう話ではなく、筆者の場合がそうであったということで、完全に自分の訊き手としての力不足が原因だったと振り返るが、とにかく訊くことに窮した。今もよく覚えているのは、確か2006年の『Dear Deadman』リリース時の取材だったと思うのだけれども、“それでは、そうした楽曲が収録されたアルバムにこのタイトルを付けたのはどういう意図があったんでしょう?”みたいなことを訊いた時、“それを考えるのは僕じゃないでしょう”と返答されたことだ。物腰はやわらかかったので、○○○○○○や△△△△(※共に自主規制)に対峙した時のようなピリッとした緊張感ではなかったけれども、“さて、どうしたものか?”と焦った記憶は今も残っている。彼にはその手の質問はご法度であることは充分に認識したが、それ以後の取材では、楽曲のことを尋ねるにしても“この楽曲の背景は?”なんて訊けないだろうし、かと言って、その楽曲に対するこちらの印象を多めに語ってしまうと、インタビューではなく訊き手の感想文になりかねないし……なんて考えた。自分にとってのストレイテナーのインタビューはいつ頃からか憂鬱な案件となったし、包み隠さずに告白すると、彼らの音楽からの興味を失っていった。

そんな状態でのインタビューでもその原稿は世に出たのだが、やはりこちらの精神状態が行間に出てしまうのか、ストレイテナーと仲のいいバンドのあるメンバーから、それを指摘されたことがある。そのバンドの取材を終えてから、「前号のストレイテナーのインタビューを読んだんだけど、あれはないよ。(ホリエの意図を)分かってないね」と言われたのだ。かなりドキッとした。駄文に目を通してもらったのもありがたかったけれども、それが駄文であったことを白日の下に晒されるのは究極にばつが悪い。今もその時の叱咤には感謝しているし、大いに反省もしたのだが、そうは言っても、そこで彼らの音源への興味が出たかというとそんなことはまったくと言っていいほどなく、以後、それが傍からどう見られたかはともかく、仕事としてやるべきことをやった…という感じだった。念のため、再度断っておくが、そこにストレイテナーやホリエアツシに何かあったわけではない。単にこちらがインタビュアーとして実力不足だっただけの話だ。

OKMusic編集部

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