THE MAD CAPSULE MARKET'Sが
ロックの十分条件を
満たしていたことを証明する
中期の傑作『SPEAK!!!!』
言いたいことを言い切っている
《俺はいつでも無視されお前はいつも権力者/だけどそいつもそろそろ終わりの時が来た様だ/俺を無視出来無くなり お前はスグに青ざめた/スベテ計画通り 俺に侵されてくだけ》《頭の固いオッサンは取り残されて行く/俺とお前は最初から 頭の作りが/まるで違うんだ》(M1「マスメディア」)。
《フクロのネズミはいつでも真実に溢れてる/抗争を繰り広げる度に何を見失なう/銃声の音はヤリ場の無さに引き金をひかせる/流れを変える色鮮かな街に潜んでる》《そうしていつでも高く吠えまくれ/テメエの未来はスグに果てるから/今あるそいつをスベテぶち壊せ/そんなセリフが吐けるなら》(M4「権力の犬」)。
《人がいて/オレはいる……/テレビアナウンサー/何かはっきり答えろよ/消えかけた顔が/朝のホームで歩き出す/計画者はオレの言葉を持て余す/オレがいて邪魔だろう……/早くどうにかしておけよ/油断してると今スグに/怒りをこめたハンマーを落とす》(M7「危険分子<DANGER BOY>」)
《ツカイフルシノ ソラガミサゲデル/ドレガホントノ ジブンカシラナイ/チッソクスンゼン シアワセナドレイ/ヒトリアルキノ オボレタテロリスト》《ナゾラレタメツキ タダアヤツラレルママ/ダレガユウウツヲ ヤスラギニカエル/チッソクスンゼン シアワセナドレイ/ヒトリアルキノ オボレタテロリスト》(M9「チェスノ兵隊」)。
《奴にしてみりゃ俺は犬で/鎖につながれて 大人しく/うまくやっていこうじゃないか》《うまくいったと思ってるだろう/飼いならしたと思ってるだろう/だけど飼い犬は主人の首を/食いちぎるスキを待っているんだ》《騙されたふりをしているだけ》(M13「家畜」)。
「マスメディア」や「権力の犬」などは、まさしくカウンターカルチャーであって、ロックのサブカルらしいところでもあると言える。何でも[この当時の状況をCRA¥(上田剛士)は、「(中略)『P・O・P』(1991年)作った後辺りからメーカーとモメ出して、いろいろ衝突が出てきて、そこでメーカーに負けたくないっていう気持ちも自分の中にはあった」と語っている]というから、そこでの反骨心みたいなものが形を変えたものかもしれない([]はWikipediaからの引用)。
そうした文字通り“権力”へ噛みつく姿も流石というか、パンクロックらしく思えるが、最注目すべきは、ただ不平不満を当たり散らしているだけではないところだろう。“で、お前はどうなんだ?”と聴き手に問うているようでもあるし、“独立独歩たれ”と促されているように感じるのは自分だけではあるまい。実際メンバーにどういう意図があったのは分からない。しかしながら、そこから感じられる熱と、それが連続している様子からすると、これがカッコいいからと適当に綴ったものではないことは確かである。言いたいことを言い切っていることは疑うまでもなかろう。反骨心を打ち出しているからでも、“権力”へ噛みついているからでもなく、やりたいことをやっているからこそ、カッコいい良く聴こえるのだろう。そこにも十分にロックを感じる。
TEXT:帆苅智之
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