THE King ALL STARSの
1stアルバム『ROCK FEST.』は
加山雄三が最高の
ロックアーティストであることの証明

山下達郎、桑田佳祐の熱きリスペクト

加山雄三にロックのイメージが感じられない人向けに、まず氏がいかにロックであるのかを簡単に述べてみたいのだが──。1950年代後半、大学在学中にElvis Presleyに衝撃を受けてバンド、カントリー・クロップスを結成し、そこでヴォーカル&ギターを担当したとか、件の『若大将シリーズ』で主人公が劇中で歌うというのはそのElvis Presleyと同じ手法だったとか、その『若大将シリーズ』での劇中歌は氏が“弾厚作”名義で作られたものも多く、氏はシンガソングライターの草分け的な存在であったとか、そうした来歴を細かく説明していく手もあるにはあるのだけれど、氏が後世に与えた圧倒的な影響について説明するのが手っ取り早かろう。山下達郎と桑田佳祐。この説明不要の日本を代表するアーティスト両名は加山雄三からの影響を公言している。加山雄三なくして現在の山下達郎も桑田佳祐もいなかった…なんてことはないだろうが、加山雄三からの影響がなければ両名は今とは少し趣を変えていたことだろう。

まず山下達郎。初めて買った邦楽の歌もののレコードは「君といつまでも」だったという。それは氏が13歳の時。“多感な10代において、歌モノの最初の入口が弾厚作、岩谷時子だったことは幸運だった”と述懐していたと聞く(※註:岩谷時子は作詞家)。1998年の11thアルバム『COZY』では加山雄三の「BOOMERANG BABY」をカバーしたことでも知られている。そして、桑田佳祐。ともに神奈川県茅ケ崎市出身であって、桑田氏にとって加山氏は同郷の先輩である。加山氏が経営していたパシフィックホテル茅ヶ崎で桑田氏がアルバイトをしていたことがあり、サザンオールスターズの「HOTEL PACIFIC」の舞台はこのホテルというのは、両名のファンの間では有名な話だ。[2017年4月11日、桑田佳祐・原由子夫妻と山下達郎・竹内まりや夫妻が発起人になりブルーノート東京を貸し切り80歳の誕生日会が実施]されたという。この日は[星野源と水谷千重子(友近)が参加]しており、桑田夫妻と山下夫妻のバックコーラスで加山氏が歌うという場面を間近に見た星野は自身のラジオ番組でかなり興奮して語っていた…なんてエピソードもある([]はWikipediaからの引用)。これらの逸話だけでも山下達郎と桑田佳祐とがどれほど加山雄三のことが好きかを分かってもらえたのではないだろうか。

加山氏から影響を受けたミュージシャンはもちろんこの御大ふたりだけではない。枚挙に暇がないので山下氏と桑田氏に止めたが、大瀧詠一、さだまさし、THE ALFEEらも氏への敬愛を表に出しているし、交流も深い(申し訳ないが、その辺は割愛させていただく。何卒ご容赦いただきたい)

OKMusic編集部

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