その後のJ-ROCKの基点にもなった
DEAD ENDの歴史的名盤『ZERO』
4thアルバム『ZERO』
さらに、メロウなミディアムチューンM4.「SO SWEET SO LONELY」、疾走感あるM5.「CRASH 49」、DEAD END風ブギーとでも言うべきM6.「TRICKSTER」、ポップでキャッチーなM7. 「HYPER DESIRE」と、バラエティー豊かだが、いずれも美意識が注がれている印象がある。先に述べたDEAD END最大の特徴であるバンドアンサンブルの妙味。個人的にその極北はM8.「PROMISED LAND」ではないかと思う。全体を支配するのはアラビアンなメロディーだが、パーカッション、コーラスワーク、シンセ等が積み重なり、ギターソロから各パートが密集した末、最終的にキャッチーに仕上がっていく辺り、これはもうロックバンドのフォルムが単純に美しい。以下、リフもののM9.「I SPY」、ヴォーカルが特にセクシーなM10.「I’M IN A COMA」、雄大なスケール感のあるM11.「SERAFINE」と、いずれも奥行きのあるバンドサウンドを聴くことができる。『ZERO』とはよく名付けたものである。この後に作られた多くのジャパニーズロックはここを基点にしていると言ってよい。
かように、『ZERO』は日本ロックシーンに燦然とその名を残す名盤であることは間違いないのだが、それは80年代に限るという注釈を付けておきたい。前述の通り、『ZERO』の発売後、1990年に解散したものの、2009年、約20年を経て再結成を発表。2009年に5thアルバム『METAMORPHOSIS』、2012年には6thアルバム『Dream Demon Analyzer』をリリース。さらに、MORRIE は2014年12月に、これまた約20年振りのソロアルバム『HARD CORE REVERIE』を発売と、ここに来て精力的に活動を展開している。再結成後のアルバムも素晴らしく、これからも彼らは自己ベストを更新する作品を送り出してくれることだろう。そうした傑作をまだまだ聴いてみたいし、DEAD ENDが佳作を発表し続けることで音楽シーンにいい刺激を与えてくれるのではないかと思う。その意味でも彼らの今後の活躍に期待したい。
著者:帆苅竜太郎
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